「ソニーはこれがやりたかった!夢の対決が実現!!あれ……ト〇シンは??」ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
ソニーはこれがやりたかった!夢の対決が実現!!あれ……ト〇シンは??
ソニーにとっての念願のひとつ、ヴェノムとカーネイジの対決がついに実現した。それを語るには2007年、いや2002年にまで遡ることになる。
サム・ライミ版『スパイダーマン』の1作目から、ヴェノムの登場を匂わせていたソニーとしては、とにかく早くヴェノムを登場させたいという願望があった中で、「スパイダーマン」シリーズの中でも1988年に登場したという比較的新しいキャラクターであったこともあり、クラシックなスパイダーマンファンであるサム・ライミがヴェノムをあまり好きではなく、サムの描く物語のトーンには合わないという理由から、却下を続けていた。
ソニーの意向に折れるかたちで『スパイダーマン3』でヴェノムを登場させたが、結果的に失敗作と言われ、さらに登場人物が多すぎたことでかなり散らかった印象を残した。それでも引き続き『スパイダーマン4』の企画に携わっていたが、ソニーの意向に従うことができずボツになってしまった。
しかし、この時からソニーは別ラインでヴェノムのスピンオフ企画を進めていたこともあって、『スパイダーマン3』でヴェノムを紹介することができたこともあり、スピンオフではいきなりカーネイジと対決させる気でいたのが、サムが企画から離れ、『アメイジング・スパイダーマン』としてリブートするなど、完全に映画化のタイミングを逃したことで、ヴェノムというキャラクターを再び語り直さなければならなくなってしまった。
ウィキペディアには『アメイジング・スパイダーマン2』の後にスピンオフ企画が浮上したと書かれているが、これは間違い。本当は『スパイダーマン3』公開時にはすでに企画が存在していた。
ソニーとしては、ヴェノムを皮切りとして、スパイダーマン以外のマーベルキャラクターに関しても映画化企画も進める気でいた。何よりMCUよりも前から「スパイダーマン」ユニバースの拡大はソニーが計画していただけに、MCUの成功は、かなり悔しかったに違いないし、未だに権利関係がなんだかごたついているのも、そういった嫉妬心が根底にある気がしてならない。
そんな長い期間を経て、ついに2018年に『ヴェノム』をようやく完成させたが、まずは誕生秘話が必要になってくる。そこで1作目でカーネイジとの直接対決は避けるしかなかった。
約19年も夢に見ていたヴェノムとカーネイジの対決がついに実現したということをまず祝ってあげなければならない。
1作目でヴェノムや周辺キャラクターの設定は紹介済みということで、冒頭からカーネイジの物語が全開で語られるのと同時に、今作では「シュリーク」という新たな存在が登場する。
このシュリークというキャラクターは、今作の下敷きとなっているコミック「マキシマム・カーネイジ」にも登場する超音波のような声を持つ能力者である。
本来であれば『モービウス』が先に公開されるはずだったこともあって、ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター改めSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)においての、能力者の扱いがどうなっているのかが、いまいち把握できない部分はあるが、現時点では、シンビオートという宇宙生命体以外に超能力を持つ地球人が存在していることを提示したことにもなるのだ。
ヴェノムとカーネイジの1対1の構図では、前作のライオットとの対決に類似してしまうこともあって、シュリークという存在を登場させたのは納得できるが、バランスは少し悪くなってしまっている感じがしてならない。
今作にパトリック・マリガンというキャラクターが登場することで、原作を知っていれば、事実上トキシンが誕生するかどうかも期待できる展開ではあったが、非常に消化不良な活躍であり、その点は残念でならなかった。