「恋は盲目だから。」恋する寄生虫 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
恋は盲目だから。
極度の潔癖症の高坂と視線恐怖症の女子高生ひじり。
とある依頼によって出会った2人が辿り着く愛の境地とは。
12月24日クリスマスイブ。
あのツリーの下で、世界の終わりを共に。
予告編のフタゴムシの件に惹かれて鑑賞。
映像作家柿本ケンサク監督による、芸術的な令和の恋愛映画。
マスク姿で閉じこもりがちな高坂の姿は、どうしてもコロナ禍の人々を彷彿される。
相手を勝手に形作り、他人を拒絶し破壊衝動を抱く。
そこに現れた救世主ひじり。
似た苦しみを抱えながらも、2人で少しずつ克服、更生していく姿は今の世の中の希望でしかない。
共通点を感じ惹かれあった2人は恋に落ちる。
それは虫のせいだというが、
本当に愛までもが虫に侵されているのだろうか?
目に見えず知らないうちに身体を蝕む寄生虫。
虫とは共生できるという最後のアンサーも、withコロナ社会への暗示に感じた。
厨二病のMVだけで終わらない、2人の変化を追える点は良かったけれど、個人的には勢いのある前半が好み。
最終的には愛に落ち着いたけれど、テーマも常に揺らいで安定していなかった印象。
虫の生かし方も難しいながらも頑張ってはいたけれど、少々物足りなかった。
一方、映像と音楽には文句なし。
正直今年1番のものを見せられた感覚。
カメラワークといい、無理のないCGといい、紛れもなくアートだった。
音楽もどタイプだった。Awichさんの主題曲含め、劇中曲の芯の通った強さと包容力のある優しいメロディー。
サントラ出ないかな。
そういえば…
小松菜奈さんご結婚おめでとうございます。
正直なところ、あまり今まで魅力的に感じたことはなかったけれど、結婚報道から少し意識し出して今回この映画で良い女優だと確信した。
女子高生役いつまででも見られそう。
メインキャストが4人ともあって、主演の2人にしっかり目が行くようになっている。
林遣都のゲロ、小松菜奈の鼻血。
鑑賞後すぐにはピンと来なかったけれど、なんだかんだ好きなのかもしれない、この作品。