劇場公開日 2021年11月12日

  • 予告編を見る

「かっこよさとファンタジーな非日常が同居する音楽と演出に救われた作品」恋する寄生虫 C0mariさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0かっこよさとファンタジーな非日常が同居する音楽と演出に救われた作品

2021年11月15日
iPhoneアプリから投稿

最初はグロシリアス系で最後はファンタジーで終わる。
この流れで観客を納得させるのはなかなか難しい構成だと思うが、非日常にすっとひきこまれるような、かっこよくて謎めいた音楽のおかげもあって、なんだかんだ観れてしまった。

愛は論証や理屈では語れない、証明できないことなんだということをちょいグロなファンタジーでラッピングしました、というような映画だった。潔癖症の描き方が今まで見た作品で最もグロテスク寄りだった。そんなにグロいるかなってほど。でもきっとファンタジーとのバランスを取るためなんだろうな。

グロ苦手な私でも観れてしまったのは、グロからファンタジーから現実からファンタジーにワープするストーリー展開に観客を置いてけぼりにしないように、演出や音楽で脚本を強力に補助していたからだ。
例えば、心に血が通い始めたことを主人公の部屋のカーテンの色や照明の温度の具合とかで示していたり。クリスマスや遊園地という非日常のイベントの画を織り交ぜたり。
展開の境界線をマーブル模様にぼかしてしてもらえたことで、ギャップに興醒めせずにストーリーにもなんとかついていけたかな。そういった効果的なバックアップがあってこそ成り立った作品だったと思う。音楽も、かっこいいと非日常のファンタジー感は両立できるのか、と衝撃だった。
音楽や撮影のカメラさん美術さん照明さんの力ってすごいなと改めて。

C0mari