「【違和感を越えて】」恋する寄生虫 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【違和感を越えて】
心に痛みを抱えた人たちと、それを理解しない社会を印象的な物語に仕立てたファンタジック・ラブ・ストーリーだと思う。
視線恐怖症は、何でも見た目で判断したり、従来の観点でしか物事を評価しないことに違和感を感じる人のメタファーだろう。
この作品の面白いのは、潔癖症の位置付けだ。
潔癖症は、自分や自分以外の場所は、”単純に”汚いと感じる、実は、視線恐怖症の対極の存在のはずだ。
そして、視線恐怖症のひじりと、潔癖症の高坂を出会わせることによって起こるケミストリーで、こうした心の痛みから解放されるという物語仕立てにしているのだ。
心の痛みは病気とは違う。
ましてや、感染症や寄生虫のなせる技でもないだろう。
例えば、ノン・バイナリーを”へき”だとして認めようとしないのはおかしげなことのはずだ。
一見、対極にあるような人だって、恋に落ちることもある。
だから、恋は素敵なのだ。
そして、人が人を好きになることの意味や、既成の価値観で推し測ることが出来ないようなことも理解出来るようになるかもしれないのだ。
それは素敵なことだと心から思う。
映画は、まあ、面食らう分、想像力が必要な演出の作品だと思った。
小松菜奈さん、最近、単純なコマーシャリズムに乗っかったのとは違う、象徴的な演出の作品に出ることが多いように思うけれども、頑張ってほしい女優さんだ。
ますますキレイになった気がする。
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