サンダーロードのレビュー・感想・評価
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鉄板ジャンル「笑うに笑えないコメディ」にまた傑作が現れた!
人間のダメさ、愚かしさを赤裸々に活写するコメディは傑作の宝庫だ。『サンダーロード』も、痛々しくて、到底笑っていられない瞬間の方が多かったりするが、可笑しさと哀しさの濁流に放り込まれるような、さしづめ感情のローラーコースターみたいな映画なのだ。
主人公の警官ジムが善良か否かは、正直自分には判断がつかない。不器用な善人とも言えるが、近所にしればはた迷惑な隣人だろう。ただし、確実に言えるのは、良き父親、良き夫、良き息子、良き市民であろうという必死だということ。、なんならいつだって善行を積もうとしているのに、すべてが裏目に出てしまう、善人であることがあまりにも向いていない人物なのだ。
ジムくらい無様に失敗を繰り返すのは簡単ではないが、ジムは、誰もがハマりかねない落とし穴に真っ先にハマってくれる男でもある。個人的にはショーン・ペン主演の『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』を思い出したが、人間の愚かしさに心が震えてしまう人たちすべてに激推ししたい傑作だと思う。
おかしさを通り越して哀愁や胸の痛みすら覚える奇作
奇妙な映画と言わざるをえない。冒頭12分間にわたる長回しの中、いったい何を見させられているのだろうと思う。全てがアドリブのようにも、緻密な演技のようにも見えるが、くすくす笑いはやがて苦笑いに転じ、もはやこれをコメディに分類していいのかさえわからない。少なくとも踊ってる彼はとにかく必死なのだから。
口を開くと人を不快にさせる。すぐキレる。かと思えば後悔し、また次の瞬間には私はこんなに苦労してるんですよ、と主張する。すぐ身近なところにもこんな人間の一人や二人いるような・・・もしくはそこに重なるのは自分自身だろうか。そういった鏡面的なものを感じるからこそ、彼のことを決して見放せないのかも。
かつて母親が歌に感化されて故郷を飛び出したように、彼にも全身全霊をかけて誓う時が来る。人生とはその瞬間の訪れを信じてひた走るサンダーロードーーーー未だ聞いたことのない歌の真髄に少しだけ触れられた気がした。
【”空回りする人生。”愛する母の葬儀でブルース・スプリングスティーンの”涙のサンダーロード”を曲なしに踊りだした不器用で憎めない男の人生が空回って行く様を描いた作品。ラストシーンには救われます。】
■愛する母の葬儀で悲しみに暮れるテキサス州の警官・ジム(ジム・カミングス:監督・脚本・編集・音楽も担当)は、母が敬愛したブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダー・ロード」をカセットデッキが壊れてしまったので、無言で踊りだし顰蹙を買う。
別居中の妻と娘クリスタルの親権を争っていた彼は、葬儀で踊る姿を奇行の証拠として提出され、親権を失ってしまう。
◆感想
・序盤の母の葬儀のシーンから、クスクス笑える。
ー 涙しながら、母の思い出を語りつつ、最後はブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダー・ロード」を踊るジムの姿。
あんな人が居たら、可笑しい。-
・ジムは、娘キャロラインの週に数日だけ会うが、ナカナカ意思疎通が出来ない。
ー そのうちに学校から呼び出され、キャロラインの素行の悪さを注意されるジム。-
・更には、警察も行き違いから自ら辞める事になるジム。
ー 上官から叱責され、警官の上着を脱ぎ棄て、最後はハンケツで歩いて行く姿が、クスクス笑える。-
<親権を取られた妻が、キャロラインが居ながらオーヴァードーズで自宅で自死してしまうシーン。ジムは娘を気遣いながら、勝手に死んだ妻の頬を引っぱたくのである。
そして、娘のキャロラインと再び新しい人生を歩んでいくことになるであろジムの姿が印象的な作品である。>
これコメディなのかな?
とても彼を笑うことなんて出来ない
笑えない…
少しは黙ってろ。
ベネツィアよりサンダンスの方が好きだわ、やっぱり。
離婚後、娘の監護権を元嫁と争う事になった痛い男の話。失読症だが、よくしゃべる。うっざい。マジでうざいです。
前日見た「佐々木」も痛かったけど、この主人公ジム・アルノーも負けてません。母親の葬儀でのスピーチから訳わからんフラダンス。娘の前で演じる良いお父さん。親友家族と食卓を囲んでもイタイ話しかできません。全身全霊がイタイ。離婚した元嫁が一人娘のクリスタルの監護権と給料と年金の半分を寄こせ裁判でも。痛さ全開で判事に絡みます。敗訴を弁護士に告げられて、ドドドドとブチ切れて、最後は破れたパンツ。あぁ、イタイw
親友の救いで上向き気分も、状況が劇的に変わる訳じゃ無く。これがアーバズレッな元嫁のオーバードーズで裁判は吹っ飛び、念願の父娘生活。
それだけ。教訓も高説も何にもない、あるイタイ男の生活をのぞき見してる風な物語。勤め先でも、家庭でも、押さえつけられ、鬱になりそでやってらんないよ、と言う野郎共は共感してしまいそうなジム・アルノー役は、監督と脚本の三役のジム・カミングス。どこまでが体験談なんでしょうか?って言う詮索は無しで。
ジム・カミングスの次作も楽しみです。
好き。結構。
うーーーん
イタくて滑稽な生き様が妙にしみる
笑っていいのか迷ってしまう。
冒頭12分間の長回しで、亡き母への弔辞と踊りを披露するジム・アルノー。母の思い出を語るところには悲しみが詰まってるとはいえ、踊り出したときには引いてしまう。全体通しても、コミカルとシリアスが混在しているため、笑うに笑えない作品でした。
大学に入るまで失読症だったことも明かされ、精神面でのトラブルは彼の人生において絶えなかったことだろう。そのため、ジムの精神的疾患や時折キレる性格に注目しながら見てしまいました。ハリウッド俳優にも多い失読症。その彼がが警官となってしまうのだから、通常は問題なしなのだが・・・
そんな彼も愛情だけはたっぷり。ちょっと過敏すぎるところもあるが、10歳の娘クリスタルに対しても別居中の妻に対しても愛はあるのです。ちょっとしたことでキレるという点だけが問題で、相棒とのケンカでも拳銃に手をかけてしまう。
何もかもリセットして旅に出る。B・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」そのままに人生の勝者になるため新たなスタート。スプリングスティーンの歌が聴けないのは残念だったけど、誰しもが経験する人生の岐路を見事に演じていた。愛する娘と一緒なんだから未来は明るいはず。
終盤、自分のマスクの下がほっこりした笑顔になってるのに気づいた
じんわり効いてくる良い作品。
コミュ能力が欠落している男性がすぐに怒ったり謝ったり。大きな出来事は起こらない。
けど必死に喋ってる/生きてるのを見るとジュワンと胸を掴まれる。
帰り道にMitskiを聴いたら今までで一番心に染みた。そんな映画。
怒りを押さえられず、思ったことが口に出てしまう男性が主人公。
カウンセリングが必要なレベルでちょっと変。
でも謝ることもできる。必死に生きてる。
よくある”実は良いヤツ”でもない。
正直近くにいて欲しくはない。けど胸がざわつく。
不思議な主人公でした
つい口が出てしまって、転げ落ちていく主人公はコメディ風。めちゃくちゃ面白い。のに一度も吹き出したりはしなかった。笑っていいのかわからない、の極地。
ただ終盤、自分のマスクの下がほっこりした笑顔になってるのに気づきました。
うん、良い作品。
冒頭が終盤に見事な形で生かされてるのには感動しました。
”あぁ、この映画好きっ!”ってなった。
最後までひねくれた形でブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」を使う。
全然”サンダーロード映画”じゃないようでど真ん中に”サンダーロード映画”なのです。
アンビエント/ニューエイジ系のBGM。これが素晴らしかった。
コメディの後ろで鳴る美しい音。それが主人公のエキセントリックを”笑う”より”心に響く”モノにしてました。体感する映画。
マック赤坂の映画がBGM効果でエモ散らかしてた感覚を思い出しました。
基本はアンビエント系のBGMだけど、後半にかかるカントリー/フォーク系のBGMも素晴らしい。
躍ってるようで、悲しい。
調べたらBon Iverの曲のストリングス・アレンジなんかも使ってたのですね。センスあるー。
英語がわかったほうが面白いシーンは多いかも。主人公のエキセントリックさは特に。
”クソ野郎!”の訳の元は”Shit Head!”。
この絶妙なニュアンスが最高なんだけど日本語にするのは難しいか……。
ってか今作の翻訳はかなり攻めた意訳をしてます。ある意味おもしろかったです。
主人公を務めるジム・カミングスの演技は素晴らしい。ほぼ彼ひとりの振る舞いで成り立つ構成の映画。
しかもこの人は監督・脚本・編集……さらに先ほどべた褒めした音楽まで担当しております。
基本ほぼ無名のインディーズ上がりの人らしいけど……マジヤバ。
主人公に感情移入はしない。
ド派手なコトが起こらない。
大爆笑があるわけでもない。
でも見終わったら身体のなかが優しい夕焼け色になった感覚がありました。
めちゃくちゃ好きな作品かも。
体感する映画。
好き嫌いはあるだろうけどとりあえず”見てみ?”と。
なんか残ってる...
なんだかなぁ。
主役のシーン多すぎ。
主役のシーン多すぎで、最後の方はちょっとうざかった。
切れ方がどこか中途半端でね、ちょっとね。
突っ込みをいくつか。
読字障害とのことだけど、もう治ってるのかな。訴状のあたりでそんな感じがしたけど。
娘がお母さんが巨乳とか言ってたけど、そうでもない気がしたが。
後半、元相棒に家に送ってくれとか言ってたけど、ガラス割った車はどうしたんだろうか。
まあ、勢いがある映画ではあった。
うーん。。。
障害があると生きにくいけど、、、、、応援するよ。
教会のシーンから始まる。母親ブレンダが亡くなった。気になった言葉はジェームス(ジム カニングス)の母への哀悼の言葉や母親の好きだったブルースの曲、サンダーロードのダンス。教会の葬儀に出席している人々はちょっと?というような雰囲気だ。
でも、いいことに、司会の女性は『哀悼の表し方はいろいろある』という。この言葉が好き。この言葉がジムに安心感を与えたかどうかは察することができなかった。
ジェームスは識字障害で母親が教科書を読んでテープに吹き込み耳から学問を学ばせた。学業は大変だったろうが母親がいたからこそ、ここまでこられた。彼はテキサスのクリスチャン大学(LCU)を卒業したようだ。
まず最初の衝撃は母の死。それから、解雇、娘クリスタルのクラスでの性的発言、離婚訴訟、親権を失う、識字障害、次から次へと、彼に、困難が降るかかる。降りかかるというより彼が故意にそれを選んでるように思える。上手く説明できないが、運が悪い人は運の悪いことが続くといった方が適当だろう。識字障害もだが、彼は、怒りやすく、怒ると見境がつかなくなるし、人々との会話のリズムに乗れないし、話が飛びすぎるし、なにかパニック症候群のようにも見えるし、タイプA的な人のようにも見える。診断できないが、精神的な問題を抱えている。その彼に
司会の女性は『哀悼の表し方はいろいろある』というのが、私は心のなかで、ジムに『安心していいよ。そのままの姿でいいんだよ。』といってあげられるような気がした。
この障害のひとつひとつがジェームスの人生にかかってくるが、この映画だけを観ているとコメディーのように滑稽な印象を与える。でも、現実問題はジェームスにとっていきていくのは挑戦なんだよね。
この世の中はジェームスにとって生きにくい世の中かもしれないけど、二人で助け合っていってほしい。応援するよ。
最後の親子二人のシーンは『孟母三遷』を思い起こさせた。
蛇足:この映画のもとは13分の短編。
2016 (winning Jury prizes at Sundance
Jim Cummings' 13-minute short Thunder Road
https://vimeo.com/174957219
良い映画
人生に挫折した中年男(失読症という設定)が、もう一度再出発しようともがくが、過去に囚われてきっかけを見つけられず、"あたふた"する物語(笑)
タイトルは、ブルース・スプリングスティーンの曲から…でも、スプリングスティーンのサンダーロードは劇中でかかること無く、ちょっと肩透かし(笑)
色んな場面でクスッと笑えるシーンは多いんですが、主人公である警官ジムの言動がちょっと突飛過ぎて…???…という感じでした…鑑賞中、何度か置いてきぼりを喰いました(笑)
…言葉の壁を感じると、ちょっとストレスですね。
この作品、アメリカ人には彼の行動やその人生の社会的背景に共感出来て、面白く何とも哀愁があるんでしょうね…。
スプリングスティーンの楽曲がタイトルだったり、ロッテントマトでは96%フレッシュと高評価だったりで、かなり期待してたんですが、今ひとつ楽しめなかったです…残念!(笑)
人生快調だよ。今ならワ二と戦ったって勝てる。
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