護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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佳作だと思いますが、しっくりこない部分も
生活保護についての問題点を支給する側、される側双方からあぶりだしています。誤解も多い問題だけに、映画を通じて訴えることに意味があると思いました。
一方で、制度運用にかかわる職員たちがなぜ殺されなければならないのか。カンちゃんの憤りは理解できるものの、なぜ殺すまでしなければならないのか、疑問を抱きました。カンちゃんのように賢い子が人を殺すようなことを考えるでしょうか。殺すことはすでにまともでないことを表しています。もう少し細かいことを言うと、自分より大きな男に対し、あのような殺し方ができるのかとも思いました。フィクションなので、これぐらいの極端な描き方はあっていいのですが、あのカンちゃんを悪者にはしたくないのです。
1人でも多くの大人に観て頂きたい…
見終わった感想から。
もう精神の状態が良く分からない…ただ、名作であることは間違いないです。
ストーリーは、現代と3.11東北大震災の時間軸が交互に進みます。
その中で、本作の髄である2件の殺人事件の全容が明らかになるーと言ったストーリーです。
私自身、震災時20代東海地方在住で、震災の実情(報道は原発の事ばかり・行政の無能感ばかりだったと記憶しています。)を余り知ろうとせず恥じるばかり。
今になって少し考えれば、この映画の内容は全くの現実なんだよなと考えさせられました。
震災孤児や養子縁組、県外からわざわざ不正受給目的で来る屑など。
うつ病シングルママ、外車を乗り回す輩など、多分コロナという“化け物”(終盤に震災をこう表現していました)と戦う現在も似た事があるんだろうなと思いました。
俳優陣も素晴らしく(個人的感想ですが佐藤健が暫く浮いてた気が笑)、端役も豪華で入り込めました。相変わらず清原果那が凄い!瑛太も良かった!
最後の佐藤健が言った「死んでいい人間〜」は、お泊まりのシーンがあったらこその成長だし、最後の阿部さんのセリフも事件の真相(深層)を知ってこそだし、兎に角脚本も最高です!!
大人になると、“理不尽な事・不平等な事”が沢山あって、上手く精神の落とし所というか妥協点を見つけるのが上手になるのですが、色んな意味で幼い(多分、大人のそれが劇中の叔父さん)人間だと乗り越えられない葛藤があるかもしれません……別に全然悪いことでは無いです。
長文感想書かないと寝れなさそうだったので、長文にて(´・ω・`)
是非、ホテルや総理の映画もありますが、本作を観てください。ありがとうございました。
※来年にでも東北に慰霊に行きます、本当に。
安全圏から無責任に感想を
最初から最後まで泣いてしまい、途中嗚咽が漏れそうに。ヤバいヤバい。
やっぱり佐藤健も清原果耶も上手いなとか、震災と生活保護と殺人事件がこう絡んでいくのか!と映画としてはとても面白かった。ちょっとずつ関係性がわかり、事件の背景がわかっていくから退屈してる暇がなかった。
でも見終わった後は日本の福祉行政における矛盾や不備や未熟さに対する憤りしかない。
きっと生活保護だけでなくて、児童福祉とか医療現場とか災害現場とか誰かの生死がかかっている現場では日々こんな葛藤している人達がいるんだよね。自分が手を離したら助からない人達を抱えながら。頭が上がらない。
こんな風に映画を楽しめて今のところ安全圏から好き放題言ってる自分が一番無責任だ。
けいさんとの日々をもっと描いてほしかった。
原作を読んだ時、私は涙が止まらなかったし、しばらく遠山けいの衰弱していく姿が(想像で)目に焼き付き、食欲がわかないほど悲しかった。
だから利根がヤクザにリンチを受けている時にけいさんが助けた出会いや、ヤクザの道を選択しようとした利根をけいさんが命懸けで守った原作のシーンがあれば、もっと賠償美津子さん演じるけいさんの死に感情を揺さぶられるのではと思った。2時間では足りないので仕方ないです。「境界線」も阿部寛さんの苫篠刑事で是非観たいです。
あ、どなたか教えて下さい。ラスト、苫篠刑事が利根にありがとうと言ってから最後に何と言ったのですか?一人で観たので誰にも聞けず💧
加賀恭一郎的なエンタメ作品ではなかった。
確かに、評価できる映画なんだろうが、期待したエンタメ作品では無かったので、私的には残念。
謎が謎を呼ぶ展開ではなく、東日本大震災と生活保障に関するヒューマンドラマだったのね。
そして時系列が、震災時と現在と、それにその中間期と3つの時代がいったりきたりする作り方なのが特徴的でした。
加賀恭一郎以上に、渋い阿部寛もなんか活きてないし、佐藤健もうーん、どうなんでしょ。という感じでした。
今こそ見ておきたい社会派サスペンス
「護られなかったものたちへ」とはどの人々のことを指しているのか?
先の大震災をテーマにしているだけあって想像に難しくない。
また、その9年後に起きた「連続餓死殺人事件」の被害者たちも行政に携わる人間たちであるだろうこと、犯行の動機もなんとなく想像がつく。
本作で肝なのは罪を犯してでも護ろうとした犯人、主体はいったい誰なのか?その詳細な背景は?製作者が原作読者・映画鑑賞者に伝えたいメッセージ、震災や生活保護を軸とした社会に投げかけたい問題提起は何なのか?
テーマがテーマなだけに感傷に浸らぬよう出来るだけ冷静に作品の結末を見届けた。
感想を申し上げると、
コロナ禍で行政も経済も機能不全に陥った今だからこそ多くの苦しんでいる人に観てほしいと感じたし、あるいは社会問題に鈍感で無頓着な人らにもできれば観てほしい作品だと感じた。
震災に限らず思わぬ不幸で疲弊した人々はなかなか余裕のある的確な対応はできない。
各々の事情や苦渋の決断により、招いた人災や犯罪。
加害者だろうが、被害者だろうがそれぞれが導き出した考えや言動が招いた不幸故にただの怨恨や行政批判の物語だと切り捨てるのは浅はかな解釈だ。
ただ、素直に不誠実だなと感じる人物は随所に出てきてはいるが。
いずれにしてもお役所だろうが、市民の方々だろうが立場がちがえど苦しみを背負っている。
大事なのは表に出さないようにしたり、強要や蛮行に及ばないことなのかもしれない。
なかなかに難しい事だが。
亡くなった方を供養する、壊れた建物や破綻した事業・生活を立て直すだけが復興ではない。
というか、そもそも生き残った被災者たちはただでさえ苦しい人生、より一層苦しみを感じながら生きていかなくてはならない。
そんな中で求められる共助、公助のあり方を改めて本作では描き、問うている。
登場人物については、阿部寛演じる刑事としての姿は真相解明への貢献はもとよりそこに至るまでの過程には男気と直に観察することで人を見抜く直感力、不必要に語らない一方で、必要とあらば語りかけることで相手の心をほぐし、職分を誠実に全うする公務員ヒーローを描いている。
また、それとは対照的で無鉄砲で不器用な優しさを示す青年役の佐藤健の演技もまた毛色の違うヒーロー像を見せてくれた。
『死んでいい人なんていないんだ。』その言葉がずっと頭に残っている。
震災をテーマにした作品はただ感動だけで終わってしまっているものが多い。しかし本作『護られなかった者たちへ』では非常に考えさせられるテーマであった。
主に震災の直後、数年後、9年後と3つに分けて構成されている。9年後(現在)に起こっている事件は震災当時とどのようにつながっているのかというミステリー要素もありながら、生活保護を必要とする人間の差し迫った人生についても書かれており、ひとつの映画で色々な感情が混じりあった。
この映画では日本映画のテーマのひとつといえる『震災』について多くの人々の視点から注目している。生活保護を受け取りたい被災者、年金だけでは生きていけない高齢者、それを支える周りの人々、家族をなくした刑事、多くの人々を助けたい職員...
誰もが誰かを助けたいと思っている。だがそれには何かを犠牲にし、本当に護りたいものとは何かを考える必要がある。そんなことを思ってしまった。
年一だ!って言いたかったのにぃ....
瀬々敬久監督らしい作品。撮影は「楽園」「ひとよ」の鍋島淳裕さんで、相変わらずの丁寧で綺麗な画の連続。瀬々作品のキモですよね。役者さんは全員気合い入ってます。無茶苦茶、熱入ってます。渡辺真紀子さん、完全ノーメイクです。倍賞美津子さん、樹木希林感に溢れてます。
途中まで「年一だで、こりゃ」な泣かされ方です。カンちゃんとの添い寝シーンとか、完全に魂持って行かれます。
が、そこからの失速と言うか、完走出来ないスタミナ不足と言うか、なんかそれて来た感と言うか。そこが瀬々敬久らしさ、って言うか。
推理サスペンスってんじゃ無く、人間ドラマ。カンちゃんのメッセージが全て。風呂敷を広げ過ぎず、主題を明確にして結ぶ結末が好き。
でも。なんで、毎回失速感があるんか、ホントに不思議なんだけど。カンちゃんに、細やかなサイコ感を匂わす描写があるだけで、緊迫感が維持出来て、ヒヤヒヤドキドキしながら見れるんちゃうかと思う次第。
と。黄色いパーカーの件は、やり過ぎじゃないかとも。
などなどなど。色々と難癖つけてしまいましたけど。
良かった。結構。
清原加耶は来ましたねぇ、今年、完全に。芳根京子の次は、彼女だと確信の一本でした。かね。
【”死んで良い人なんかいないんだ!”2013年に改正(悪)された生活保護法に対する激しい怒りと、東日本大震災を背景に、”人間の絆”を鋭利に描いた作品。現代日本の闇を取り扱った真の社会派映画でもある。】
ー 劇中にあるように、2013年、第二次安倍内閣は、
”諸外国への忖度”及び
”受給率の低さ改正”
”不正受給対策強化”のために、生活保護法を改正した。
だが、それにより、生活保護を受けるハードルは逆に高くなり、
(この、法改正の多大なる瑕疵である。)
国によって護られるべき人々を救うべきセーフティネットの綻びは、更に酷くなった。
当時、一番腹が立ったのは、今作でもメインテーマとして描かれているが、復興半ばにも至っていない東北地区の現状(一昨年まで、私は福島に自費で足を運んでいた。)が改善されていないのに、生活保護法を改正した第二次安倍内閣の姿勢に対してである。ー
◆感想
・今作では、悪人は一人も出て来ない。では、何故、福祉に携わる三雲(永山瑛太)と城之内(緒方直人)は、殺されたのか。
ー 二人の身動きできない状態のまま放置され、”脱水、餓死”という殺され方が、後半大きな意味を持って来る・・。ー
・大震災により、家族を失ってしまった黄色い服を着た女の子、カンちゃん(成長してからは清原果耶)と、ケイお婆ちゃん(倍賞美津子)、哀しき過去により笑顔を失ったかのような利根(佐藤健)の3人の血のつながりが無いのに、徐々に家族の様になっていく様。
ー ケイお婆ちゃんは、利根とカンちゃんに”笑いなさい””お帰りなさい・・”と笑顔で声をかける。そして、元理髪店の腕を振るい、利根の散髪もしてあげている。
利根の表情も徐々に柔和になってくる。勿論、カンちゃんも・・。
ケイお婆ちゃんは、善人の代表の様な人である。だが、彼女にも人には言えない事情が有った。ー
◇劇中でも、現在国会議員になった元福祉保険事務所で働いていた上崎(吉岡秀隆)が口にした
”スティグマ”という言葉。
訳せば、”汚名、恥辱”という言葉である。
特に、年配のこの国の高度経済成長を担って来られた方々が、”国には頼れない・・”という思いで、生活保護法の受給申請をしないのは、この思いが強いと言われている。
一方、劇中で描かれる高級車に乗りながら、不正受給により、”遊んで暮らす”愚かしき人間の数も減らない・・。
そして、福祉事務所で働く人々は、国や厚生労働省の意向を”忖度”し、徐々に疲弊しているのである。
劇中、上崎が悔恨の想いと共に口にするように・・。
・今作品の現代社会に対する、鋭い問題提起のシーンは数々あるが、成人し、福祉事務所で働くようになったカンちゃんが、支援する人々に言う言葉
”声を上げなければいけない・・”や
利根が血を吐くように言う”死んで良い人なんかいないんだ!”という言葉である。
そして、それらのシーンで、観ている側は、”殺人犯は、利根ではない・・”と気付くのである。
<利根が、自分が全ての罪を被ってでも、守ろうとした”血の繋がっていない”大切な人・・。
そして、津波に呑みこまれてしまった笘篠刑事(阿部寛)の奥さんや、黄色い服を着ていた男の子を含めた多くの犠牲者の様に
”死んで良い人なんかいない!”
という想いと共に、
”現行の生活保護法は、それに合致した法制度になっているのか!”
という、問題意識を観る側は、持つのである。
今作は、瀬々敬久監督が、東日本大震災を背景に、激しい怒りと共に、現代日本の貧困層に対する生活保護法の瑕疵を糾弾した骨太な社会派映画である。>
■この作品に出演した俳優さん達について
・清原果耶さん、倍賞美津子さん、佐藤健さん、阿部寛さん、吉岡秀隆さん。
テーマ性の重さに屈する事無く、夫々大きな悩みを抱える、キツイ役柄を演ずる姿には、途中から涙が沁み出てきた。
特に、清原果耶さん、倍賞美津子さん、佐藤健さんのお三方には、本当に参りました・・。
清原さんって、どこまで凄い女優さんになられていくのであろうか?
月光の聖者達
去年あたりに今作の情報を知り、東日本大震災をテーマにした作品が続々と出てきているなぁとひしひしと。
今作、サスペンス要素と人間ドラマの配合が上手で、134分という時間の長さを感じさせない作品でした。
擬似家族的な要素もふんだんに盛り込まれていて、それでいて見せ方は完全なひとつの家族みたいで素敵でした。倍賞千恵子さん演じるけいさんの優しさにずっとずっと包み込まれていました。佐藤健さんの避難所でのダッシュはるろ剣を彷彿とさせる今作のテーマとは違うアクションが光るシーンでした。
今作の遺体の描写もこの手のサスペンス作品としては珍しいもので、縛られた状態、しかも遺体の損傷は無いという餓死が死因という放置するというのはとても斬新でした。
生活保護の有無をテーマにしており、不正受給で車を乗りこなす勝手な者、不正受給でなんとか塾に通わせようとする母親、受給自体が恥だと考える者と、多種多様な考えが渦巻いています。自分自身その境遇に至った事がないので分からないことが多いのですが、数十年後にどうなるのかが分からないので、学びの一環としてとてもタメになりました。
役者陣全員の熱演がお見事で、汗滴る表情、険しくも優しい眼差し、と顔から伝わる演技がお見事で佐藤健さんの善悪が混同している感じが素敵でした。余談ですが、清原果耶さんの制服姿が可愛いすぎました。
ラストの犯人像には少し驚かされましたが、ここまでの道のりを辿っていくと妥当だなと思いました。守ると護るの違いが分かっていく良作でした。
自分の頭じゃ追いつけない部分もあったので、もう一度見てこようと思います。
鑑賞日 10/2
鑑賞時間 12:15〜14:40
座席 H-14
豪華な素材で取ったあくだけ飲まされる感じ
あれこれ手を出しては居るものの
それぞれ深みが無くて
犯人も読めてしまうし
ミステリーとしても社会派としても
中途半端な気がしてしまった。
意味ありそうに見せといてほったらかし多し
それに汚名は返上するものだし
(後から東大が嫌味ったらしく訂正するのかと思いきや、それも無し。苫篠の渾身のボケだったらどないすんねん!w)
円山も円山で、実際に職員として働いてみたら見えてくるものもあると思うが……
女性1人での犯行も無理がある気がする。
利根も急に人格が変わった様に思えてしまった。
出演者はベテランのやり手ばかりですごく贅沢に使われていた。
なんだか勿体無い。
追記(2021.10.04)
他の方のレビュー見てたら
原作者が「ドクター・デスの遺産」と同じだったんですね
なるほど……
衝撃的だった
東日本大震災から9年後、宮城県で全身を縛られたまま放置され餓死した連続殺人事件が発生した。被害者はいずれも善人、人格者と言われていた男たちだった。宮城県警捜査一課の笘篠誠一郎(阿部寛)は、2つの事件の共通項を見つけ、利根泰久(佐藤健)を容疑者として行方を追うことになった。利根は知人を助けるために放火を起こして服役し、刑期を終えて出所し、溶接工として働いている元模範囚だった。利根を逮捕し取調べしてる時に第3の事件が起きた。犯人は誰だ、という話。
そうかなぁ、とは思ったが、やはり衝撃的な結末だった。
佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子、など演者が素晴らしかった。
途中でなんとなく分かるけど
最近、映画を見過ぎたためか、
最初の30分くらい見たあたりで怪しいムーブする人は大概犯人ではないのでは?という見方になってしまった。
この映画は、、、。どうでしょう。
佐藤健さんはじめ、皆さん好演技で総じて良かったです。
ラストはちょっと想定外ではありました。
締まった映画だと思います。
演技が上手い役者さんがたくさん出ていて、映画自体は締まっています。3.11や生活保護、それぞれの事情や正義が入り混じりドラマは進みます。
気になった点
①けーさんが死に際におかえりと襖に書きましたが、少し違和感。2人が来てくれるだろうと、見てくれるだろうと死に際に書いた言葉ですが、あんなに一生懸命生活保護の申請を勧めて、最後には取り消して死んでしまう。ある意味、2人を裏切ったのに、その2人におかえりと言葉を残す。その意味は?
②吉岡さんが火葬場に駆け込んできて、死んだらおしまいだと話したことに対しての最終的なかんちゃんの反応。その意味は?
③最後に佐藤健と阿部寛が浜辺で、黄色いジャンパーの子供の話をするところ。いらないかなぁ
④最初の殺人現場で阿部寛が部屋から出て納屋の様なところのブロックにたすけてと書いてあった意味は?
などなど
取り方はいろいろですが、皆様はどう感じましたか?
人と人が織りなす複雑な社会生活
東日本大震災が生み出した人災(生活保護受給)にフォーカスを当てた作品。
原作は読んでいませんが、この映画は絶対に観ようと思い公開初日に映画館へ。
私は埼玉県の東日本大震災で被害を受けた方々が沢山移り住んできた地域にある映画館に足を運びました。周りはお年寄りの方が大半を占めておりおそらく被害を受けた方もいたのではないかと。劇中に遺体が安置された映像が流れるとどこからか嗚咽混じりの泣き声が聞こえできました。もしかしたら当時の事を思い出したのかもしれません。
作品の感想として、護りたい護ってほしい護った護られなかったというのは人それぞれであり、人々の思いや行動がすれ違い、どこにもぶつけようがない憎しみが誤った形を作る。利根の「死んでいい人なんていない」という言葉に全てが集約されているようにどんな人間であっても生きている意味がある。そう思える為には自分の身を守る、大切な人を守る為にこの国の子供達を愛し大切にしなければならないと言うこと。愛を持った子供達はきっと他人を尊重できるから。この映画のタイトルでもある護られなかった者たちというのは全員に当てはまるようにも思えた。
そして最後のシーンは全てをのみこんだ海が皮肉にも蒼然と美しくさえ思ってしまう様は生命の原点を彷彿させ命が還っていったのだと思わせるほどに生命を感じずにはいられなかった。
タイトルの意味と重さ
「護れなかった」、じゃなくて「護られなかった」
一文字違うだけで立場が逆になる
震災で生きててよかった、と思う人と、生きててよかったのかな?と思う人、初めて3人で寝た夜に言った台詞がタイトルにも関連してて、見終わった後に気付いた
実際に震災で被害を被った訳じゃないけど、被害者やその家族のことを考えると物凄く考えさせられる
早いもので震災から10年
いちえふのような大きな事件ではないが、映画の台詞を借りれば「怪物」が起こした人生や心を大きく変化させた出来事だったんだな、と改めて考えた
それにしても予告だけで判断すると佐藤健が犯人なんだろうな、と思ってたけどフタを開けたら、清原果耶の静かに見える、とんでもない憎悪をラストシーンで見せつけられた
完全に阿部寛と佐藤健を食ってた
あんな可愛い顔してるのに…
佐藤健は普段の役柄とは真逆だったけどいい演技してるし、倍賞美津子も本当に素晴らしい演技
震災や貧困、生活保護など扱ってるテーマは重いけど、見て損はない映画
原作の良さを自ら放棄。中途半端に。
前半の避難所のシーン尺取り過ぎ。
3.11の凄さは他の作品以外でも十分語られているのにわざわざ原作に無いシーンをふんだんに織り込む必要があるあった?
かんちゃんの服装とラストの回収くらいしか意味見出せないんだけど…
って言うかかんちゃんの母親、津波で逝かせてしまうって!
長屋で家に帰りたがらないかんちゃんのシーンが有るからこそ3人の絆がより強くなる!って良いシーンなのに(怒)
『生活保護受給者は子供を塾にすら行かせられない!』って怒りのシーンはもっと深くても良かったと思う。
生活保護のシーンは全体的に大人しめだよね。
やっぱり御上に目をつけられたく無い?
1番のビックリ点はかんちゃんガクブル女の子設定って事!
原作もそうだっけ?(結構前だから…)
初回の殺人もアパートの一階だったはず。
女性じゃ全く動かない成人男性(約70K)を古い階段の上を2階まで引きずって上げるなんて!
まぁ健と阿部ちゃんの演技に救われた感ありありのは作品。
良い映画でした
震災がテーマの作品はドラマも含めていくつか観ましたが、どんなに悲惨なものだったのだろうと考えるといつも悲しくなってきます。生き残った人達が肩を寄せあっていく様、行政への理不尽な思い、そして行政の人も、みんなが一生懸命だったと思います。殺人はいけないし極端ですが、辛抱して辛抱して色んな事を乗り越えて来られて、同じ日本の離れた地域で悲しい思いをされた方々が、今日も幸せで一日を終えていて欲しい、投げかけられた生活保護の問題もありますが、とにかくそう願わずにおれない映画でした。
演出面では、役がそれぞれはまっていて、役者がみんな上手かったです。最も意外だったのは犯人で、透明感と同時に持ち合わせている暗さが躊躇なく存分に発揮されていて、その度胸が評価できると感じました。
護ろうとした者たち
“魂が泣く”とは言い得て妙だ。
事件が起きた背景を知ると憤慨と哀しみで胸が締め付けられる。誰も本作の犯人を責めることはできないだろう。もっとも憎むべき相手は国なのかもしれないが…。
本作は社会福祉の在り方や不条理さを巡って描かれるミステリー。未だ大きな爪痕を残す3.11東日本大震災の背景も絡められることにより“護られなかった”との言葉がより幅広い意味合を持ち私たちに訴えかける。
大筋は原作と同じであるが(細かい部分は大きく脚色されている)、映画の方が東日本大震災との関係をより深く絡めながら時系列も細かく入れ替えている。映画の脚本も申し分ない。
かんちゃんを護ろうとした利根
飢えで意識が薄れていく中で利根とかんちゃんを護ろうとしたケイさん
家族を護ろうとしたが護れなかった笘篠ーー。
『護られなかった』とはケイ達のように生活保護を受けられずに命を失った人、東日本大震災によって命を失った者、それにより愛する人を失った者たちのことで、私たち皆が大切な“何か”を護ろうと生きている。
本作を観て涙を流す人は多いだろう。だけどただ泣いて終わりではない。護られようとすべきものが護られず、護に値しない者を護る(不正受給など)今の法律と歪んだ社会が変わらないといけない。そのためには私たち一人一人が声をあげる必要がある。
そして、終身雇用制度が崩壊し、幸せな未来が約束されない不安定な現代の日本を生きる私たちはまさに「一寸先は闇」で、よほどの資産家か富裕層の家庭出身でない限り、誰しも貧困の沼に引きずり込まれる可能性があり、本作に描かれている事は決して他人事ではないのだ。もし自分自身が、または愛する人や身近な人が貧困の沼に陥った時に、私たちはどうすればいいのか、ラストのカンチャンのSNSへの投稿が印象的だ。
以下原作から。
「声の大きいもの、強面のするものが生活保護費を掠め取り、昔堅気で遠慮や自立が美徳だと教え込まれたものが今日の食費にも事欠いている。護られなかった人たちへ。どうか声をあげてください。恥を忍んでおらず、肉身に、近隣に、可能な環境であればネットに向かって辛さを吐き出してください。この世は思うよりも広く、あなたのことを気にかけてくれる人が必ず存在します」
それにしても、ちょっとした役にも主役級のキャスト達が顔を揃えていて、豪華すぎる。かんちゃんに清原果耶を差し出すあたりも心憎い。
もう一度観るには重すぎるけど、より多くの人に観てもらいたい作品だ。
全101件中、81~100件目を表示