護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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震災とかトラウマとかミステリーの映画だと聞いてきたけど、生活保護プ...
おもしろそうだったのになぁ‥
3.11、生活保護、殺人ミステリーの映画で、主人公の二人は、密かに怒りと不満とやるせなさを抱いている。怒りの演技は、笑いの演技よりもたやすいのだな。眉間に皺寄せ、無愛想にしてれば良いのだから。とはいえ、主人公二人の目力はすごくて、目が大きくないと俳優にはなれないんだなぁと思わせてくれた。で、瑛太、オリバーな犬でのチンピラ役から、この小役人役、振り幅大きく、やってくれたね。とてもよかった。
この映画は、殺人ミステリーを入れなくても、3.11後の生活保護の問題や、人々のやるせなさをすくい取って、もっと問題提起して描けたのではなかろうかと思った。だって、最後のシーンはどうしたって現実的に無理っしょ😫なんぼ、サイコパスだったとしても。そういう点で、脚本に難あり、重いテーマなのに薄っぺらくて、私の心には残らなかった。
映画から学ぶ日本の現実
3.11から今年でちょうど10年。
あっという間に時間が過ぎて、次から次へと日本国内では災害やコロナといったものがニュースとなり、その都度私たちは過去に起こった大切な事や人を置いてけぼりにしていっているように思う。
ただ、本作を見て、過去を振り返ることができ、現在を改めて見直すことができた。
自分自身の身に起きた事でなければ、なかなか想像力や人の話を聞いただけではことの重大さに気付くことができない。残念やけど。
実際にこの映画の当事者のような人たちがたくさんいて、そんな方々はこの映画を見て何をどう感じるのか。
東日本大震災以降、この日本という国で、人間が大切にされる世の中になったという実感が私には湧かない。そもそも、苦労したことのないおっちゃんが首相してたんやから、それもそうかと。
本当に必要とする人達へ、行政からの助けがいかないのは生活困窮者だけではない。いろいろなケースがある。
何度も何度も児童虐待など悲しいニュースを目にするが、そこも似たような事が問題なんじゃなかろうか。
本作品に出演していた役者さんが皆どのような気持ちでこの作品に挑まれたのか分からないが、よくこの映画に出ることを決め、素晴らしい演技でこの映画を世に送り出してくれたなと思う。
清原果耶さんへの評価がとても高くされているように思うが、将来が確かに楽しみな女優さん。
アミューズの映画!感アリアリですが、良い映画を鑑賞できたなぁ。。。健くんの演技力には今回も大満足させていただきました。静かな正義と激しい怒りを見事に演じ、魅せてくれました。
世の中にはいろんな価値観や考え方があるけれど、護られなければいけない人が、その立場を権利を声に出せる世の中を私達は作っておかないと、自分がその立場になってから動くではやはり遅いんですよね。
ネット社会に対するアンチテーゼ
本作は、東日本大震災と“生活保護”が物語の重要な背景 となっていて、特に“生活保護”に対する社会の認識が重要なテーマであり核となっていますが、あまりにもタイムリーな有名ユーチューバーのネット炎上騒動があった後の公開だったので、ネットを利用している人々にとっても色々と考えさせてくれる作品だったと思います。
そうした事を考えると、本作はまさにネット民に対する映画民からの回答の様な作品であり、言い換えると両者の価値観の違いに対する回答の様に思えました。
ネット世界にはインフルエンサーという存在がいて、それのファンというか信奉者も多くいるようだけど、物事を合理的かつ功利的に考え、それを優先に沿った生き方を煽る様な発言が目立ち、聞いていても何か引っかかり気持ち悪く釈然としないモノが多く、こういう作品を観ることで自分をニュートラルに戻すことが出来ます。
本作での行政が考える仕事としての福祉の在り方への問題提起は、映画では児童虐待や介護が絡んだ作品は今までにもよく見かけましたが、“生活保護”についての作品はあまりなかったので、それを真正面から問うた作品としても非常に意味のある重要な作品になったと思います。
それと本作はサスペンス映画であり、事件が起こりそこに被害者と加害者がいる訳ですが、その両者共に単純な善悪では図り切れない様々な人間の感情や態度や行動があり、そういう細かな事を感じらる感性や想像力こそが、現在ネットやマスメディアに氾濫している乱暴で無神経で無責任な発言に対しての唯一の防衛・対抗手段であるとの映画人からのメッセージだと私は受け止めました。
本作は「最近はネットばかりで、テレビも映画も全く見ない」という人にこそ是非観て欲しい作品でしたが、そういう人は結局観ないのでしょうね。
テーマ、着眼点は非常にいいと思うのだが…
作られた物語が予想外に面白いものだった
震災のことなど関係のない創作ものだったけれど、決してこじつけとか興味本位の付け足しという印象は受けなかったし、かなり巧妙に本筋に絡ませていて、予想外の面白さを味わえたような気がしました。
物語の落とし方は、相当微妙だと思いましたが、あの震災から・・・とはじまる物語としてみると、全く想像しなかったし、しかもかなり難しい感情に持っていかれたので、やられてしまった感があります。
絵は終始鈍い印象を受けましたが、それは内容に即した演出だと感じることが出来て、それ故に非常に力強さも感じました。
あの悲しみをただ悲しいとばかりに嘆くのではなく、こうして悲しみを利用して涙を誘うような作品を創作していく逞しさのようなものを勝手に感じた次第です。
果耶ちゃん凄い
監督不在の脚本映画 監督はプロヂューサーを務めていたようだ。
呆れるほどの煩悩監督ぶりに、普段では見えないようなものまでもが視れてしまった。
撮影をはじめ、優秀な全スタッフと優秀な演者はみな 自分のギャラぶんの仕事はきちんとこなしているようだった。
映画を観ていると、”脚本には「右を観る」「頭をかく」「目を左右に動かして 落ち着かない様子を示す」等の演技までもが精細に書かれていた”事さえも判ってしまいます。
そして、各カットは存在するが、そのカットが繋がらず 映画としての連続性がまるでない。
予告編にせよ、シナリオにせよ、最後の顛末に向けた布石であることは、途中から解ってしまい製作者側の浅知恵に呆れかえってしまった。
東日本大震災を題材にしているが、あくまでもきっかけであって、本題ではない。
生活保護の問題点をエグル社会派映画に成るべきなのに。。。原作があるとは思えない”内容の雑さ”にも呆れた。
倍賞美津子さんはドーラン化粧して、外見は老人ポイが元気良過ぎ!
この映画を観るよりも東日本大震災を題材とした映画作品では「凪待ち」や「裸のいとこ」を観た方が良い。ずっと心をえぐる。
ストーリーはいいが、おそらくセリフチョイスがミスってる…。
期待していたのだけれど…
予告動画を観てかなり期待をしていましたが、正直少し拍子抜けした感じです。
震災と生活保護と殺人事件、社会派の作品で観た人に問題提議を投げかけるような題材ではありますが、福祉に近い現場に身を置いている人間としては、もっと複雑な問題を抱えているからこそ、素直に感情移入することは出来ませんでした。
それでも倍賞千恵子さんの演技は素晴らしく、円熟した女優さんをスクリーンで観られる嬉しさは何者にもかえがたいものがありました。
事件の真相は佐藤さんの熱演で最後まで見応えはありましたが、結果を知ってしまうと現実的ではなく無理矢理な感じを受けました。途中の演出も一部気になってストーリーが入ってこないところもありました。最後の阿部さんとのやりとりもあまりにも出来すぎていて…。
もう一度観れば印象はかわるかもしれませんが、期待値が大きかっただけに肩透かしをくらった印象です。
作品の核がそのまま出てくる、受け取るのも難しい今がここに
メッセージは凄く重くてストレートだが、肝心のストーリーが問題提起にしかなっていないのが気になった。状況説明に終始写った感じ。
ココ最近の瀬々敬久監督作品というと、やはりキャストも揃えられた大規模な物が目立つ。ただ、やはりハマりにくいというか、合わないことが多い。倫理観のズレだったり、唐突な展開だったり…その点、この映画ではそこまでズレていることも無かったように思える。ただ、東日本大震災が作品のフックとなっている中で、作品としてのドラマが機能しているようには思えなかった。耐えかねる現状と静かな分断は確かにリアルで、たぶん知らないだけの世界。でも、じゃあ事件は起こるべくして起きたのか?とも思う。寄り添い方を知っているなら尚更。
やはり阿部寛のリードと佐藤健の目付きはとにかく心強い。ただ、作品としては抉ってくるほど問いかけては来ないので、両者の駆け引きを観ている感じ。また、生活保護に関してもなかなかゴールの入らない試合を見ているようなせめぎ合いの様。妥当とまではいかないが、事件の理由にやや同情してしまった。また、清原果耶のポテンシャルの高さに改めて慄く。凄い俳優さん。あの中でも格段の存在感と演技のキャパシティを見せてくる。
言いたいことは分かるし、とても辛い。だが、そのリアルな世界のメッセージがあまりにもダイレクトで受け取るにも難しいと感じさせた。解決しない方が有り難い輩もいると思うとなんだか悲しい。
なんでだろう…
出てくる役者さん役者さん、みんなが大物ですごく驚いた。
しかもどの役もキャラクターが立っていてそこにいる必要性がしっかりとあるからすごいと思う。
ただ、ヒューマンストーリーと社会への問題提起がごちゃごちゃになって降り掛かってくるために登場人物に感情移入したくともそうにも行かずにストーリーは進んでいく。
きっと1回では誰が善で何が悪なのかといった心に浮かぶ疑問は脇に置いて目の前に起こることをただただ受け取ることしか出来ないのだろうと思う。
そこが観終わった後のモヤッとした気持ちなのかもしれない。"観て良かった"がすぐに湧いて来ないから不思議。それが狙いなのだとしたらまんまとなのだか…瀬々作品今回はどうかな?と不安がよぎるのも事実。
もう一回観る!
「健康で文化的な最低限度の生活」とは。
最初から最後まで集中力が途切れることなく画面に引き込まれていった。シーンごとの密度が高いし演技も絶賛ものである。これは心温まるヒューマンドラマであるとともに、殺人事件を追うサスペンスドラマでもある。物語の中心には、けいさん、利根君、かんちゃん3人の暖かい交流がある。身寄りがなかったり、震災で亡くしたりで孤独という面では共通している彼らが家族のような関係になるのは当然ともいえる。震災が彼らを「家族」にした。けいさんを救えなかった「生活保護」の問題や、利根君の「生活保護」への怒り、かんちゃんの「生活保護」の仕事にかける思いなどこれだけで十分物語になる。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」と言いながら、現実は理想とはほど遠く、救われない者も多くいる。「生活保護」の問題はナイーブで奥深い。支給する側も受給する側も悪い者はいないのにどちらかが悪者になったりする世界である。
ヒューマンドラマとサスペンスドラマの融合はよくあるが、この作品の場合どうだろう。憎しみの感情は理解できるとしても、10年も経ってから復讐に及ぶような事だろうか。生活保護の担当者は悪人ではない。「制度」や「運用」の欠陥の責任を彼らに押し付けただけで、殺害する理由はどこにもない。瀬々監督の作品は、俳優が素晴らしい演技をするが、内容が腑に落ちない場合が間々ある。
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