護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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魂が泣いた
エンドロールは泣いたことを隠すためのものなのに、
サザンの曲が流れてまた涙が溢れた。
こういうの困るんだよね、明るくなった時。
散々驚愕のラストに涙すると聞かせられたので、
おそらく真犯人はあの人と想像していた。
そして、やっぱりの結果だったので、
ミステリーとしては3.5。
私としてはラストの佐藤と阿部のシーンが心に刺さった。
黄色いジャケットの意味が明らかになり、
阿部がお礼を言うシーンでは思わず嗚咽が漏れそうになった。
震災時福島にいた私としては、
常々放射能汚染に比して津波被害が軽く扱われている気がしてならなかった。
放射能汚染で直接的に亡くなった方はいないが、
津波では非常に多くの方々が命を失っている。
阿部のように今でも家族を失った傷が未だに癒えない方々や、
佐藤のように目の前の命を救えなかった自責の念に苦しむ方も多かろう。
改めて人々の思いが胸に迫った。
よって、ヒューマンドラマとしては4.5。
それにしても放射能被害者への手厚い補償に対して、
津波被害のそれの貧弱さはどうにかならないものだろうか。
佐藤、阿部両者の演技は見応え十分。
アカデミー賞の主演、助演はぜひこの2人にと思わせられた。
どんでん返し、大失敗。
佐藤健×阿部寛ということで期待して鑑賞。
大震災と生活保護という題材なので、観てて楽しい話ではありません。
原作は未読です。
鑑賞後の素直な感想ですが、この物語に「犯人は誰か?」みたいなプロットやどんでん返しを狙う仕掛けは要らなかったと思います。
しかも途中で何となくわかってしまい、大失敗です。
おかげで犯人の動機も手段もちぐはぐで意味不明になり、物語が破綻してしまいました。
冒頭から、主役たちがヘンに狭い空間で接触していたり、ラストの無理な符合も「そんなバカな」と言いたくなってしまいます。感動しかけて出かかった涙も止まってしまいます。
災後の混乱した中で、彼らが出会っていた演出はあり得ないし無用だと思います。
倍賞美津子さんの演技が素晴らしい分、もっと違う演出が出来たのではないか・・と悔やまれる残念な作品になってしまいました。
夢も希望も…
暗くて捻れている阿部寛!
犯人の心理描写が支離滅裂
犯人がなぜ、残酷な殺人を犯さねばならない心理状態になったのかがさっぱりわかりませんでした。
しかもこのタイミングに?です。
犯人は「護るべき人を護りたい。そのためには自分が犠牲になっても良い」と考える人で、だから、「護られなかった人」の悲しみを晴らすために殺人者になったのだ……と、理屈では理解できます。不自然さ満開ですが。
さらにストーリーの中でそれがまったく語られず、唐突感でいっぱいです。
また、それぞれのキャラクターが、まったく深掘りされていないような気がしました。
林遣都さんが被害者たちのことを「何が人格者だ!何が善人だ!!」と憤慨するシーンがあるんですが、なぜそう感じたのかがわからない。
震災で膨大な生活保護申請者がある中で、厳格に審査をせざるを得なかったのは、この映画を観なくても理解できるし、窓口での対応を見たなら余計に「断るのはつらいんだろうな」と共感できるのではないか?????
登場人物の思考や行動があんまりにも浅すぎやしないか……と、違和感でいっぱいになりました。
でも、震災は多くの犠牲者を出し、役所は膨大な問題を抱えさせられ、二次被害、三次被害を生み出していったことを、被災地から離れた人間に再認識させてくれたことは良かったと思うので、星一つおまけです。
家族の絆より強いものは❗️
倍賞美津子さんに尽きる
ストーリーは、大衆向けに作られ、メリハリを付けつつも、そこに社会問題をポンと振りかける、瀬々監督らしい映画構成だなと思った。相変わらず役者陣は豪華で一流なので、多少ストーリーがチープに感じられつつもやはり見てしまう。
なかでも倍賞美津子さんの役作りは素晴らしかった。おそらくは一番この映画の中で伝えたかった肝となる部分で、一気に見ている側を引き寄せる力がある演技だった。最後は悲しかった。
本作内のケースワーカーが語った「みんなに看取られながら亡くなるのはもはや無理なんです」みたいな台詞が痛烈だ。まあ、お前が言うなよってのはあるけど、実際自分もそうなるのか。年金で賄えるわけもない老後。70歳過ぎても働かなければやっていけない人が多くいるこの国。
どうしてこの国は見せかけは先進国なのに、こんなに将来が真っ暗なのか。
映画を見て少し暗くなった。
自分を曲げる
俳優陣に拍手
(以下、事件の核心には触れませんが、予備知識なく観たほうがいいので、一応ネタバレ扱いとします)
震災という絶対的破壊者に全てを奪われた人々が、不正受給や社会的背景のおかげで救われない国。
そして現場でもがく人々が、誰かの為に…と振りかざした正義が、他の誰かを不幸に追いやっていく。
なんという皮肉。
この映画、明らかな悪人は一人しか出て来ない(笑)
物語もさることながら、俳優陣の素晴らしさに尽きる。
※恐れず言うなら、役者の存在感に演出やお話がついていってない感じ。
中でも清原果那のすごさよ。
まだ19歳?
これからの成長が楽しみ。
【蛇足】
コレ観て帰って来たら、その夜に関東で震度5強の地震。
あの時のPTSDが戻ってきた。
被害が最小限でありますように。
51
泣ける
ミステリーというよりは人間ドラマだなぁ と思います 自然災害からの...
#81 そこに繋がるのか〜
実に良くできたストーリー。
幹ちゃんと刑事の息子が同じ色のパーカーを着ているのは、最後にそこにたどり着くからなのね。
ってゆうか絶対最初は幹ちゃんが男の子だと思ってた。
震災後で誰もが心に傷を負った中で、善人と悪人が出来上がり、殺人に至るまでになる人間の心理がよく描かれていた。
佐藤健って、カッコ良い役より殺人者とか悪人役の方が絶対似合うよね。
護られなかった者たちへ
セリフも演技も丁寧に作られているただ最後まで人を美化するほうにバランスが行き不埒な奴が少ししか出てこない。
突然暗い夜の公園の会話シーンで背景の無観客の野外ステージで若い女性ダンサーがレオタードでスポットライト受けて踊っているさすがに違和感を感じ後のストーリーまでしらけてしまった。迫真の演技も台無しにする制作者の安易な演出で途中から醒めしてしまった。この後はベストセラーを台本どおりやるテレビドラマに見えて残念だった。
護られた者から
ドラマとしては、かなりの良作。素晴らしいと思う。なのに、なぜか満足感が薄いのはなぜだろう。ひとつひとつが綺麗なパーツの、立体パズルを組んでいったら、これまた綺麗な形にピタリと収まった感覚。ただ、あまりに整い過ぎていて、触れずに置いておきたいような感覚だ。
ストーリーは、震災の心の傷と、その後の貧困問題を取り上げた社会派。それでいて、それぞれ抱える過去があり、震災の同じ傷を持つ登場人物達が、物語に深みを与える。そしてそれぞれの関係が、救いや悲劇を生み出す。展開は綺麗に流れるようで、伏線も収まるところに収まり、しっかり決まっている。
役者陣は最高。阿部寛が、津波で妻と子供を失った刑事笘篠を迫力の熱演。特にラストで佐藤健の独白を受けた後、数刻の沈黙のシーンは圧巻。感情の大きな動きを沈黙の中で伝わって来て、本作の幾つかの名シーンのひとつだ。過去に大きな心の傷を負った青年利根役の佐藤健も、三白眼と稀に見せる優しい眼差しを武器に好演。震災で、唯一の肉親である母を亡くした幹子役の清原果椰が絶品。朝ドラからガラリと変わった雰囲気で、最初はあれ?別人か?と思ったほどの名演は素晴らしい。大女優への道を着実に歩んでいるようだ。幹子の子供時代の石井心咲ちゃんもしっかりしていた。
避難所でそれぞれ孤立していた利根と幹子に関わり、交流し始める"けい"は、倍賞美津子。2人に手を差し伸べ、特に、誰も寄せ付けない利根の閉ざした心を開かせる、自立した老女に、安定感抜群で扮する。
他にも林遺都、永山瑛太、緒方直人などもがっちりと役をこなして隙が無い。
これらの人々から全てを奪った震災と、セーフティネットからも漏れて護られなかった人々という社会の課題。心の傷を負った過去を絡めながら、現在の連続殺人事件を解決していく。いくつもの要素がありながら、構成が巧みで混乱は全くないし、ストーリーも無理なく追える。心揺さぶるシーンも随所にあり、エンドロールを盛り上げる桑田佳祐の主題歌と、どこからどこまで完成度が高い。スタンディングオベーションの要素は満載なのだけど…。
「楽園」「友罪」などを創り、日常に潜む、非日常や闇とのまだら模様を描かせたら天下一品の瀬々敬久監督。完成度はやたら高いが、個人的に相性が合わなかった作品なのかな。
生きる
本作では容疑者視点(主に2011年)と捜査視点(主に2020年即ち現在)の二つの視点が並行して進んでいく。
この事によってミステリーとしては少し弱いかな?
ストーリーで魅せる映画かな?と思っていたが最後の方で意外な展開を迎える。
もちろんストーリーでも十分魅了してくれる。
やはり瀬々監督の作る映画の重厚感がこの原作にぴたりとハマったんだろう。
そして役者さんはみなさん素晴らしい
特に佐藤健さん、清原果耶さん、永山瑛太さんが印象に残った。
清原さんの生活感あふれるナチュラルな演技、佐藤健さんのいかにも悪くて怪しそうそれでいてその人物の不器用さも表現する目付きと表情、永山瑛太さんの残酷な笑顔、その全てが印象に残る。
ちょっと苦しくなった
市民とトップの板挟みになるケースワーカー
憲法25条生存権が劇中語られ、セーフティネットである生活保護 今のコロナ渦でも「他法優先」の原理原則によって、制度はあるけれどなかなか申請にはたどりつかない現実がある たどりつくまでに、あきらめ、恥ずかしさ、他の親族への照会、申請主義と言いながら「自発的な取り下げ」を待っているかのような仕組み・保護決定までの過程があり、本人以外の立ち合い・同席が認められないので、余程「強い意志」がなければ生活保護開始にはならないという現実がよく描かれていると思う 現場の生保のケースワーカーの中には、福祉職としてきわめて良心的な方もおられる一方で、一部の不正受給が殊更に取り上げられ不正を取り締まることが評価されたり、強引な就労支援などで「保護率を下げる努力」が評価されるケースワーカーもいる 困っている人に出向いて行って制度の適用を働きかけるべきところが、申請主義で役所の窓口でしか受付をせず、扶養や資産調査の委任状をたくさん書かせる「法令順守」は、良心的なケースワーカーですら管理されることで委縮してしまう 一人100ケース以上の担当を持たされれば、細かい支援などできるはずもなく、新規申請はケースワーカーの仕事を増やすだけと現場が思えば、ますます相談に来る市民に冷たい対応を取ることになる 私が就職した昭和の頃は保護に要する費用は、国が全て負っていたのが、今は自治体負担もあり、保護が地方財政圧迫かのような非難のされ方もある
たくさんのケースを持たされたり、不正を取り締まることが指示されたり、現場ケースワーカーの苦悩もよく取材されていたと思いました この映画を観た方が、ケースワーカーが殺されたり、狙われて当然と思われないことを願います(10月6日 イオンシネマりんくう泉南にて鑑賞)
やっぱ見て正解
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