護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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期待していたのだけれど…
予告動画を観てかなり期待をしていましたが、正直少し拍子抜けした感じです。
震災と生活保護と殺人事件、社会派の作品で観た人に問題提議を投げかけるような題材ではありますが、福祉に近い現場に身を置いている人間としては、もっと複雑な問題を抱えているからこそ、素直に感情移入することは出来ませんでした。
それでも倍賞千恵子さんの演技は素晴らしく、円熟した女優さんをスクリーンで観られる嬉しさは何者にもかえがたいものがありました。
事件の真相は佐藤さんの熱演で最後まで見応えはありましたが、結果を知ってしまうと現実的ではなく無理矢理な感じを受けました。途中の演出も一部気になってストーリーが入ってこないところもありました。最後の阿部さんとのやりとりもあまりにも出来すぎていて…。
もう一度観れば印象はかわるかもしれませんが、期待値が大きかっただけに肩透かしをくらった印象です。
作品の核がそのまま出てくる、受け取るのも難しい今がここに
メッセージは凄く重くてストレートだが、肝心のストーリーが問題提起にしかなっていないのが気になった。状況説明に終始写った感じ。
ココ最近の瀬々敬久監督作品というと、やはりキャストも揃えられた大規模な物が目立つ。ただ、やはりハマりにくいというか、合わないことが多い。倫理観のズレだったり、唐突な展開だったり…その点、この映画ではそこまでズレていることも無かったように思える。ただ、東日本大震災が作品のフックとなっている中で、作品としてのドラマが機能しているようには思えなかった。耐えかねる現状と静かな分断は確かにリアルで、たぶん知らないだけの世界。でも、じゃあ事件は起こるべくして起きたのか?とも思う。寄り添い方を知っているなら尚更。
やはり阿部寛のリードと佐藤健の目付きはとにかく心強い。ただ、作品としては抉ってくるほど問いかけては来ないので、両者の駆け引きを観ている感じ。また、生活保護に関してもなかなかゴールの入らない試合を見ているようなせめぎ合いの様。妥当とまではいかないが、事件の理由にやや同情してしまった。また、清原果耶のポテンシャルの高さに改めて慄く。凄い俳優さん。あの中でも格段の存在感と演技のキャパシティを見せてくる。
言いたいことは分かるし、とても辛い。だが、そのリアルな世界のメッセージがあまりにもダイレクトで受け取るにも難しいと感じさせた。解決しない方が有り難い輩もいると思うとなんだか悲しい。
なんでだろう…
出てくる役者さん役者さん、みんなが大物ですごく驚いた。
しかもどの役もキャラクターが立っていてそこにいる必要性がしっかりとあるからすごいと思う。
ただ、ヒューマンストーリーと社会への問題提起がごちゃごちゃになって降り掛かってくるために登場人物に感情移入したくともそうにも行かずにストーリーは進んでいく。
きっと1回では誰が善で何が悪なのかといった心に浮かぶ疑問は脇に置いて目の前に起こることをただただ受け取ることしか出来ないのだろうと思う。
そこが観終わった後のモヤッとした気持ちなのかもしれない。"観て良かった"がすぐに湧いて来ないから不思議。それが狙いなのだとしたらまんまとなのだか…瀬々作品今回はどうかな?と不安がよぎるのも事実。
もう一回観る!
「健康で文化的な最低限度の生活」とは。
最初から最後まで集中力が途切れることなく画面に引き込まれていった。シーンごとの密度が高いし演技も絶賛ものである。これは心温まるヒューマンドラマであるとともに、殺人事件を追うサスペンスドラマでもある。物語の中心には、けいさん、利根君、かんちゃん3人の暖かい交流がある。身寄りがなかったり、震災で亡くしたりで孤独という面では共通している彼らが家族のような関係になるのは当然ともいえる。震災が彼らを「家族」にした。けいさんを救えなかった「生活保護」の問題や、利根君の「生活保護」への怒り、かんちゃんの「生活保護」の仕事にかける思いなどこれだけで十分物語になる。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」と言いながら、現実は理想とはほど遠く、救われない者も多くいる。「生活保護」の問題はナイーブで奥深い。支給する側も受給する側も悪い者はいないのにどちらかが悪者になったりする世界である。
ヒューマンドラマとサスペンスドラマの融合はよくあるが、この作品の場合どうだろう。憎しみの感情は理解できるとしても、10年も経ってから復讐に及ぶような事だろうか。生活保護の担当者は悪人ではない。「制度」や「運用」の欠陥の責任を彼らに押し付けただけで、殺害する理由はどこにもない。瀬々監督の作品は、俳優が素晴らしい演技をするが、内容が腑に落ちない場合が間々ある。
3.11×ミステリ
護るという意味
倍賞美津子が好演。生活保護はどうあるべきか考えさせられる。
こんな日本に誰がした
MINAMATAとどっちか迷って
良作社会派ミステリーだが。。。
東日本大震災をベースに生活保護に紐付けられた殺人事件という題材は、良かったと思う。
ただ、時折入る佐藤健演じる容疑者の避難所生活の回想は、また別のドキュメンタリー映画を観ているようで、ミステリーという文脈を邪魔してしまっている気がした。
それがちぐはぐというか、一番違和感を感じたのは、ミステリーらしく最後に事件の真相が明らかになるパート。その辺りからミステリーにありがちな絵に描いた様などんでん返しを入れてくるものだから、急にフィクションに引き戻されるというか、冷めてしまった。
原作は未読の為、原作でどういう流れなのかはわからないが、映画としてはもっと上手く現実的な問題とフィクションを馴染ませる技量があれば傑作になっていたかもしれない。
何なら、犯人は佐藤健でサスペンスとした方が面白かったかもしれない。
逆にその辺りの違和感以外はあまり欠点がなかったように思う。
強いて言えば、もう少しテンポがいいと良い
やっぱ
大学生です
忖度の結果?
生活保護に関して様々な問題点があるのは聞いていました。不正受給がある一方で、本来受給できる人々に支給されないという不公平。予算に限りがあるからといって極端に制限したり、圧力をかけて申請を取り消させたという事案もあり、国にはばら撒き政策をする余裕があるんだから、自治体で足りないなら国に出してもらえないのか?と憤ります。
だから、取り上げるテーマとしては良いと思いました。
ただ、作品としてはあまり響きませんでした。佐藤健さん、清原果耶さんの演技はとても良かったですが、色々入れ込みたかったのか、無駄なシーンが幾つかありました。
唐突なセリフ、不毛なやり取り、過剰演出の度にため息が出てしまいます。主演の佐藤さんを中心に据えれば良いのに、警察内部のゴタゴタのシーンが余計で、阿部寛さんのせいではないですが、ちょっと冷めました。テーマを絞っていたら、もっと感動できたと思います。
明日は今日より素晴らしい(涙)
まだ、東日本大震災から10年しかたっていないことに驚く。
風化していた記憶が、映画を通して蘇る。
当時TVで観た様々なニュースが、スクリーンの映像とだぶる。
清原果耶さん演じるかんちゃんの言葉、「困っているなら声をあげなきゃ。そうしたら、存在に誰かが気付くかもしれない。助けてもらえるかもしれない。声をあげて」が心に残った。
今の日本は、戦時下や大規模災害時のような非常時ではない。
みんなの叡知を集めて、年齢や財産の有無で命の選別を行わなくてすむ社会システムを何とか創れないのかな。
誰だって、老いや事故、病気で、切り捨てられる側になる可能性はあるのだから。
エンディングの桑田佳祐さんの歌声は、心に沁みる。
「明日は今日より素晴らしい」
昭和世代の私は、昔も今もそう思って明るく年齢を重ねてきた。
令和の今、この言葉は、なんだか重く、一種呪いのように感じる。
でも、明日が今日よりよくなるように、願い努めようと思う。
10年過ぎても・・☆
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