「事前にあらすじを把握してないと理解し辛い」護られなかった者たちへ レイトショーが好きさんの映画レビュー(感想・評価)
事前にあらすじを把握してないと理解し辛い
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全体的には良い映画だと思う。
出演俳優の演技力の高さと華やかなルックスによって悲痛な出来事ながら映画自体に華があり、非常に惹きつけられた。
ですが、泰久兄ちゃん、カンちゃん、ケイさんの3人の関係が映画だけ観てても分からない事と、字幕で時期を表示する様な説明もないまま、シーンの移り変わりが激しく、時系列もわかり辛いのが難点だと感じたが、俳優陣の演技力の高さには目を見張るものがあり、心に響く作品の一つになった。
少し残念なのは、若い女性ひとりで成人男性の体の自由を奪って餓死させると言うのが、現実的ではないのと、そこに至るまでの犯行の一部始終は描かれておらず、空き家に連れ込むまでの一連の流れが部分的にでも描かれていればなおリアリティがあって良かったと思う。
泰久さんが配給のパンを巡ってカンちゃんの為に憤り、一般市民に取り押さえられ、水溜まりの中に顔を押し付けられるシーンは本来なら目を覆いたくなる様な痛々しい有り様だけど、震災で一瞬にして日常を奪われた人の心の荒みがよく描かれていると感じた。
不正受給がまかり通る人がいる中、本当に必要としてる人には辞退申請に持ち込もうとする役所の人間による入れ知恵があり、どこの社会でも弱者は侮られる現実に、生物の本能とでも言うべきか、弱肉強食の法則に無意識に従う言動をとってる本人が気付いてない所に人間の真の恐ろしさとは無意識に行われる事の中にあると感じた。
あらすじを把握した広い視界の観点で観ると、回数を重ねるほど心に沁みる映画だと思う。
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