「この哀しみに」護られなかった者たちへ あさちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
この哀しみに
相応しい言葉が出てこないのでネタバレ注意でつらつらと書き留めておこうと思う。
切ない気分の中にドップリといる今も、この作品に出会えてとても良かったと想っています。登場人物たちは誰も悪くなく、だけどしてはいけない悪いことをしてしまう。震えが止められないような深い哀しみと抗えない怒りの発露の数々を目の当たりにして、やるせなく切なくなった。
ハッキリ言って強者、支配者の論理で構築し執行される日本の行政組織は常に何かしら問題を抱えている。僕らは勤勉に働き、様々な租税を素直に納付し、震災復興税も払っている。今回、焦点を当てた生活保護の問題点も中山七里さんの原作、そしてこの映画を観るまで自分には闇の中。心ある者が勇気を振り絞って作品を生み出し世に問うまで僕らは知る由もない。
今をときめく役者も顔を揃えたが、話が佳境に近づくにつれ全く気にならなくなり、迫真の演技にスクリーンの向こう側に引きずり込まれてしまった。脇を固める倍賞美津子さん、吉岡秀隆さん達も言葉に出来ない素晴らしい演技で、これだけの個性豊かな一流の役者を揃えながら、抑揚がありながら、悪目立ちなど破綻のない瀬々監督の演出の手腕に改めて敬服いたしました。
震災発生3ヶ月後から4年間かけ、被災した沿岸線の道を青森から茨城まで自転車で走破した日々に見聞きしたことが自分の中で木霊している。一生忘れることが出来ない、忘れてはならない光景と言葉が甦っては消えてゆく。
今夜は久しぶりに一献だな
(-_-)
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