劇場公開日 2021年10月1日

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「新参者ではない。おかえりモネでは・・・あるかも?」護られなかった者たちへ ガゾーサさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0新参者ではない。おかえりモネでは・・・あるかも?

2021年10月2日
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阿部寛が刑事というチラシを見て「加賀恭一郎シリーズの新作か?」と期待して、原作者が違うという事を知った後は「新参者のイメージを越えられるか?」と不安だったのですが、開始早々まるで違うバックボーンを持つ刑事という事が分かり一安心。主演は佐藤健で、デビュー当時から屈指の演技派な彼の基本つっけんどんな表情からの笑顔はこちらも嬉しくなるのですが、もう一人の主演ともいえる清原果耶が今放送してる「おかえりモネ」で演じている役と共通点があるのに全く違う方向に突き進んでいるのが印象的でした。でも多分(おかえりモネはまだ未完なので)同じところに着地するのでしょうね。映画観ている時は気づかず泣きましたが、後から気づいて笑ってしまいました。
「新参者」シリーズ(ドラマの演出の話なのであえてこう泣きます)は真相をなるべく引っ張って、どうしてこういった不思議な事件が起きたのか最後に一気に明かして涙を誘います。それに対して、この作品は連続餓死殺人事件という、一見「セブン」の胃が破裂して死ぬまで食べさせるという猟奇的な事件の逆バージョンかなと思うくらいショッキングな事件の真相が作中なんとなくこういう理由かな、と捜査状況より先にいわば神の視点で先読み出来る作りになっているのでサプライズ的な楽しみは減りますが、2時間サスペンスによくある後出し感は感じずに済んで、すっと納得できる作りになっていました。サプライズが薄い代わりに本筋と関係ないところで主に阿部寛がフッと言うセリフで泣かされてしまうのです。
また、この映画、連続殺人事件なのに根っからの悪人がいないんですよね。犯人も被害者も全員善人。そこがこの作品のすごい所だと思いました。

ガゾーサ