劇場公開日 2020年10月30日

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「二重以上の意味で奥深い作品。」ザ・ハント yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0二重以上の意味で奥深い作品。

2020年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 今年45本目。
…にしても、鬼滅の刃の大ヒットはいつまで続くんでしょうか…?
(新作なのになぜかシネコンでも別館に追いやられてました。まぁ、人多すぎでコロナ問題に巻き込まれるよりは別館のほうが人も少ないし安心できますが…)

 さて、こちら。15+ということもあり、グロテスクな描写が多いので、誰にでもお勧めできる映画ではないと思います。
ただ、そこまで極端なものはないですし、100分を切る映画とは思えないほど時間がゆっくり進むほど濃厚で、しかも色々などんでん返しがあるといった、結構こう、奥深いところがあります。
内容については100分に満たないし、うかつにネタバレにもなりかねないので細かくは避けますが「生き残りサバイバルもの」というのが妥当な表現でしょうか。
とはいえ100分は100分なので、「会社・学校の帰りにさくっと2時間を切るような映画を見たいな」と思った場合、一つの選択肢になると思います。

 また、「アメリカでは一時問題作扱いされた」とのことですが、結局ひと悶着あっても現在は放映されているようです(もっとも、コロナ事情もあるのであちらでも延期はされてる)。
この原因は、R15+というグロテスクな事情以上に、大統領批判や、アメリカ社会の闇の部分を描写する部分があり、「とても見せられない」(見せたくない=大統領選挙にも影響しかねないし、みんなが暗黙に黙っていることをまた思い出させたくないので)事情があったのだと思いますが、あちらだと国がストップをかけたらそれで延期になるのと違い、日本だと映倫という自主機構はあっても極端に支離滅裂(犯罪行為を助長する、作品としておよそ成り立っていない)な映画でない以上、誰でも見ることができ、そこで自由な議論ができます。それ(憲法の要請する思想良心の自由や表現の自由)は日本のいいところなのだな、って二重に思いました。

 評価は下記の0.3減に対して+0.1として4.8で5.0まで切り上げました。

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 0.2減: グロテスクな表現が多い以上に、この映画の「真に伝えたかったこと」は、アメリア社会の色々な闇(差別問題や州による格差問題、移民問題など)を理解していなければならず、そうでないとただ単に「殺し合い生き残りバトル」というとらえ方しかできず、そこはちょっと何というか、もうちょっと説明があってよかったのかな、と思います。
(こうした部分は、日本の高校世界史でも深く学習することではないですし、興味を持っていないと、ニュース報道等でわかる範囲を超えては、なかなか理解できない)

 0.1減: 字幕版なのであまり気になりませんが、ストーリーの「ネタバレ」となる部分に「英語表現」にまつわる部分(単数複数の違い、強調したい部分は全て大文字で書く(例: THIS IS A TEST)など)が隠れており、その説明が字幕ではちょっと不足しており、やや英語力が試される(語彙というより、英文法的な話なので、日本だと英検/TOEICどちらでもOK)ところが、「ある意味で」人を選ぶかな、と思ったところ。

+0.1増: オープニングにLINE(ツイッター?)でやり取りをしているところ、結構こう、自然な英語であったり、「(そのくらい)自分で調べろ」が google it! だったり(google には動詞として「ネット検索する」の意味がある)、こう、教科書英語ではないネイティブが自然に使っている英語表現に自然と触れられる点が随所にあったところです。
こうした点はやはり現代もの特有のメリットなのだと思います(20世紀初頭のテーマだと、どうしてもまだ、規範英語としての「正しい英語」しか出ないので)
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yukispica