劇場公開日 2020年6月6日

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「面白いだけでなく良い作品だった」お名前はアドルフ? つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0面白いだけでなく良い作品だった

2025年6月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

冒頭ピサの配達人に難癖をつける主要人物の一人シュテファンの如何にもアクが強そうなキャラクターはそのあとの展開を期待させるには充分なものだったね。
案の定、シュテファンとトーマスの言い争いは瞬時にヒートアップして、そこへトーマスの妻アンナ合流。ここから面白さに拍車がかかる。

誤解、告げ口、とばっちり、口論は相手を代えながら次から次えと広がって笑い・・・あれ?思ったほど笑わなかったかもしれないと急に思ったが、自分が大爆笑したような錯覚に陥るほど面白かった。
その中に、観ている私たちをも誤解させる展開もありビックリドッキリでもあった。

ヨーロッパ映画、特にドイツ映画だと、つい移民問題の影を探してしまうし、妻はヨーロッパ映画に限らずだけどフェミ的視点で観てしまう。
そんなコメディとは無縁そうなテーマも多かれ少なかれ盛り込まれていて、なんなら他のシリアスな社会派ドラマになりそうなテーマでさえ内包している、ある意味、今時の作品で、そんなことに全く気付かないとしても問題なく面白い怒濤の展開は素晴らしい脚本と褒めるしかない。

そして、面白いだけではなく良い作品だったと感じた理由もある。
アンナを除く四人は30年来の付き合いがある幼なじみで、いわば兄弟や家族同然なのだ。だからこそどんなに激しく口論になろうとも、もう二度と会わないとか、お前とは友達の縁を切る、ここから出ていけとか、最悪の展開にならないことだ。
そこへアンナの出産を経てより絆が深まる。
口論ばかりしていても結局は仲の良い家族を観ただけだというのが良いよね。新たな家族の誕生も喜びである。

つとみ