「サムネイルがラスト直前なのやめない?」ミッドサマー ディレクターズカット版 kozoiさんの映画レビュー(感想・評価)
サムネイルがラスト直前なのやめない?
ディレクターズカットとオリジナル版が別々になってるようだったので、オリジナル版の感想と同じものを転載します。
なおディレクターズカットをみるくらいならネタバレ気にしないはずなので警告も外してあります。未見の方はここで読むのをやめることをおすすめします。
ミッドサマーの評判の良さは、単に民俗学的な知識(いや知識ですらない。単に聞いたことあるかどうか)がない人たちの間でワーワー盛り上がってるだけのようだ。
5ちゃんの感想みてると頭クラクラしてくる。
共同体に外部から人が招かれて歓待される、民俗学でいうところのまれびと信仰、およびまれびと殺しについての映画。
5ちゃんに感想、疑問として「なんでよそ者が女王になるんだ?」などと書かれている。なるほどこういう人たちが見て面白がってるのね。
民俗学的にはむしろ逆です。
女王という地位は妬みを生む。共同体の中での争いや対立をなくすためには外部の人間こそふさわしい。女王はまれびとたるヒロインでなければならない。生贄みたいなもんです。
「外部から来た人に統治できるはずない」だろって?
そもそも統治させません。祀るだけです。用が無くなったら殺します。祭りの期間が終わるか、子どもを産ませるか、共同体にとって利用価値がなくなったら、それこそ生贄かなんかにして。
民俗学知らなくてもこのことを推測させる描写があります(当方ディレクターズカット版のみ鑑賞)。
若者が泊まる宿舎に歴代の女王の写真が飾られてます。あれ何枚ありましたか。パッと見で10以上はあったとおもいます。
写真が発明されたのはせいぜい150年前かそこらです。
あの村では72年で死ぬことが決まってるとして、女王はかなり早いサイクルで交代させられてることになりませんか。
仮に夏の時期の18〜36歳の間の18年間だとしても、18年×10人でも180年。写真や肖像画が多すぎる。
そもそもいつ、どういう基準で女王を降ろされるのか、直前の女王の姿を誰か見ましたか?
またいつから女王の写真や肖像画を飾りだしたのか。何の根拠も示されない。
90年に一度の祀りであるとか、村の側から提供される情報は基本的に疑ってかかるべき。
ちなみに村の女と彼氏がセックスさせられるのも「客人婚」といって民俗学でも珍しくないならわしです。血が濃くなることを避けるために旅人の子を産み、村の子として育てます。父親はいりません。
これは映画の方にはありませんが、昔の祭りで夜になると顔を隠してセックスしてわざと普段のパートナーとは違う人と交わったり、となり村の女をさらって嫁にするなど色々な方法でそれがなされていました。
古代の村落や原始宗教の価値観をいまの目でみると残酷なものであるという点はそのとおりだなとおもいますが、わざわざこの映画で確認する必要は自分にはないので。