青くて痛くて脆いのレビュー・感想・評価
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異常者
内容は説教くさくて嫌いだけど、作品の作りとしては良かったので☆4内容をちゃんと受け止められるなら☆5とかだろうか。
反面教師とか警鐘とか教訓として受け止められるならこの作品の意義は大いにある。
現代っぽい話ではあり、タイムリーというか時代を反映してた。「異常者」とのタイトルにしてみたけど、彼のような人間が今後増えていくのだろうと思う。
現代病と言ってもいい。
だが、その処方箋はおそらくない。
俺も含め、この病に冒されてはいないとは断言できない。彼程症状が顕著に現われてこないだけなのかもしれない。彼自身、自分が異常者などと露程も思ってないだろう。締め括りに使われる「ちゃんと傷つけ」って言葉さえ、身勝手な思考だとも考えないだろう。
それがキッカケにはなり得るのだろうけど。
彼は常に受け身が多かったように思う。
その意見を受け入れた自分を無視するかのようだ。
他人に委ねたり依存するのは責任回避ではない。自分の意思を他人に委ねたという責任が発生する。
「自分は間違ってない」と思いたいが故の防衛本能だろうか…終盤のマウントし具合は不様だった。
その行為自体は昔からあるものではあるけれど、その内容だったり、単語が辛辣だ。
自分を優位に見せる為の選択は、理論的は会話ではなく、相手をいかに傷つけられるかに終始する。
相手の間違いを諭すでもなく、誤解を解こうとするわけでもない。直向きに刺し続ける。
…そこまでして守りたいものって何だろう?
そして、その行為を背負いきれず後悔する。
他人を否定し自分の足場が固まって、今度は許してほしいと相手に懇願する。
それがラストの台詞なのだ。
「お前いい加減にしろ」と胸糞悪くなる。
吉沢氏を観たくて行ったのだけれど、そんな胸糞悪くなる主人公に徹し、好演してた。
杉咲さんもそうだけど、なんか日本人の芝居が次世代に差し掛かってきてるのかとも思う。
なんか…形がなくなってきたかのように思う。
今の若者にこそ見てもらいたい作品にも思うので、同世代にしっかりとアピールできる人材がいた事に感謝したい。
初めは復讐劇かと思って見てたのだけど、どおにもそおではなくて…だけど彼自身は明確な敵意を剥き出しにしてる。中盤に差し掛かかり、その敵意に見合うだけの原因がないと感じてからは、一体何を見せられてるのだろうと、暫く居心地が悪い。
途中どちらかが嘘をついてはいてサスペンス風にもなるのだがあんま盛り上がらない。
物語の核はそこではなく、彼の内情だからだ。
厄介なのは、その敵意が燻って熟成し、こねくり回された挙句に発露するとこだ。そして、彼に不利な事が起こらない限り発動しないとこだ。一体、お前ら何をその身に住まわせてんだと、怒鳴りちらしたくなる。
でも、多分ならこおいう人間は増え続ける。その土壌がこの国にはあると思ってる。
個を大切にするのは結構な事だけど、優先順位と度合いは誰かが説かないとと思う。
家庭の在り方とか、教育の在り方とか…人格形成の過程における不自由さは結構大事なんではなかろうか…行き過ぎた自己肯定論の弊害にも感じる。
1番怖いのは
「彼は別に悪くないじゃん、しょうがなくない?」と言っちゃう人間が相当数いるんじゃないかと思えちゃう事だ。
サイコ野郎が主人公のホラー映画に等しいと思われる。現代が反映されてるようにも思うので尚更恐ろしい。
良い意味で裏切られた
タイトルから恋愛が中心のモノかと
思ったら、恋愛要素は薄めでした。
終盤の教室での二人の掛け合いは
ちょっと必見です。
自分が言い争いをしているような気分に
なりました。
杉咲花は上手いですね。
何か引き込まれます。
最後は結ばれるのかな?
でもほぼ触れられず。
ヒロインうざすぎwwwざまあwww
とにかくヒロインが痛くてうざくてキモい。自分は本当に理想論ばかり語るヒロインが生理的に気持ち悪かった。ストーリー内容も、「何故かクソうざいヒロインが死んで、元々主人公とヒロインが作ったサークルが乗っ取られて飲みサーになったから潰す」っていう、本当にどうでもよすぎる内容でクソつまらないし、ヒロインが出るたびに吐き気がして、最初の1時間は本当に苦痛で何度も途中で帰ろうと思いました。
ただ後半に、ヒロインが死んだというのが主人公の嘘で、ストーリー内容が、「ヒロインに彼氏ができ、ヒロインに裏切られた(と思い込んでる)卑屈で陰キャラな主人公が、ヒロインを逆恨みして、ヒロインが楽しそうに運営してる陽キャラサークルを潰す」という内容だと判明し、見事サークルの闇を暴いてサークルをぶっ潰しざまあみろと言わんばかりにヒロインに暴言をぶつけた時は、ヒロインと陽キャラが嫌いな私は、最高のカタルシスを得られましたね。
主人公だけが陰キャラで嫌なやつ、他の登場人物は陽キャラで良いやつ。その中で嫉妬心と被害妄想の力で孤軍奮闘し勝利した主人公は最高に気持ち悪くてかっこよかった。
あと吉沢亮まじイケメン好き。ヒロインの人誰だか知らないけど吉沢亮と釣り合ってないからwお前の方が気持ち悪いわwww
僕も、世の中に暴力は要らないと思いますっ‼️
久しぶりに劇場に行けたので、杉咲花を見ようとこの映画を観賞。
なかなかのサスペンスだった。
冒頭の方で、杉咲花が吉沢亮に野望を持つことについて語りかけるシーン。歩く二人を平行移動で追っていたカメラが、杉咲が横断歩道にさしかかると次第に視点が上がっていき、白だけを踏んで歩く杉咲と後をついて行く吉沢の二人を俯瞰で見せる。何気ない演出だが、まだサスペンスに転じる予兆すら見せていないこの段階で、期待感を刺激する。
さて、物語はザックリ言うと「逆怨み復習劇」だと思う。
主人公楓(吉沢亮)によってストーリーが語られるが、そこに虚偽がありどんでん返しとなる。
これは原作小説の構成なんだろう(未読)。
一人称で語られ、語り手が犯人だったというアメリカのサスペンス小説で見られる仕掛けだが、楓の行動をちゃんと見せて、犯行を隠すのではなく動機を隠すというアレンジが良い。
田端楓は、主体性に欠ける男だ。この男にはやりたいことなどなかった。
秋好寿乃(杉咲花)に興味をもち、流されて秘密結社の結成に協力した。
寿乃にとって自分が一番の男だと思い込んでいたのに、見事に覆され、裏切られた、騙されたという妄想に支配されるに至る。
物語としては現実場離れしていて、見方によってはシラケてしまうかもしれない。
吉沢亮が二枚目過ぎて、他の女子が放っておかないだろうから、一途に寿乃を怨み続けてなんかいないだろうと思ってしまう。
杉咲花、柄本佑、その他のキャラクターたちにはリアリティがあって、演者たちも役柄に合っていたように思う。
特に光石研がイヤな役だが、相変わらず見事だった。
そして、映画は、自分の愚かさから大切な人を傷つけてしまい、大事な関係を壊してしまったことに気付いた楓が、最後に廻ってきた懺悔のチャンスにかけるところで終わる。
タイトルに表されている若者ならではの罪と罰。若いうちは取り戻せる、と思いたい。
思い込み
まず、予告で勝手にストーリー思い描く。
変な団体にはまって死んでしまった彼女の為に、復讐を決意する彼!って感じの映画かな?
映画が始まって、?なんか痛い感じの彼女じゃないか?みんなに引かれてるし…
前半部分、それは楓から見えた物語だった。
その人の感情を通しての話は、別の人から見れば別物になりうるということ。
自分の思い通りにならなかった現実を、『挫折』として受け入れて人は成長していく。でも、『今まで守ってきたものを壊された上に、酷い目にあった』と感じれば、これは憎しみ、恨みの塊となる。そこには、『正義』があるかも知れない。が、正義は人それぞれ、同じでは無い…と思った方が良い。
しかも、今時のSNSを使って、自分は表に出ないで他人の力を使って懲らしめようとする、姑息な反撃。心の非力を感じる。
秋吉は、自己肯定感があり、社交的で、やりたいことのために進める強い女の子だ。
楓にも何度もちゃんと聞いていた。それに圧倒されて拗ねていたんだね、楓。その気持ちもよくわかる。
『間に合わせ』ですれ違ったとしても共有した時間は人生において『必要』だったから起きたと思いたい。
そう思えれば、全ての幸せにつながる気がする。
長く生きてくればこそこそわかることですが…。
心に突き刺さる
心に突き刺さりいつまでも忘れられない映画になりました。
大学生のお話で青春サスペンスと宣伝されていたのでいい大人年齢のわたしには合わないかな、と思いつつ鑑賞。
見事に号泣しました。
特に最後のパラパラ漫画のシーンは胸に突き刺さり、全てが楽しく自然で、なぜ主人公はそちら側を選ばなかったのだろう…と思った時、自分も同じなのではないか、そちら側をいつも選ばなかった人間なんじゃないかと、衝撃を受けました。
涙が止まらなかったです。
吉沢亮さんの笑顔の後の腫れ上がった泣き顔との対比といい、素晴らしい演技力にも泣かされました。
忘れられない映画になりました。
また見たい映画です。
モアイからMOAIへ…
・モアイの急発展ぶりや、クオリティの高さにビックリしました。
・人は誰かを間に合わせにして生きて来ている…。このセリフは心に刺さりました。
・最終的に楓は人として成長出来たので、良かったと思いますが、とてつもない暴走ぶりで、復讐の内容もよろしくないので、ちょっとヒイテしまいました。
・森さんの迫真な演技素晴らしかったです。
青くて痛いけど、脆くなくて良かった
原作未読の為、予告編のイメージで誰か死ぬんじゃないかと心配しながら鑑賞していたんだけど、違っていてよかったです。
あと、住野さん『キミスイ』のイメージが有るから、どこかで話を捻ってくるかと思ったけど意外とストレートでした。
それでですね、結論から先に言うとこの映画、良かったと思うんです。
それは何故か。青くて痛かったけど、最後脆く崩れる直前で踏み止まったから。
私は最後の終わり方、好き。
青くて痛かったけど、ちゃんと自分のした行為に向き合って、覚悟を持って謝る行動に移したから。
許してもらえるかなんて後の問題、もしかしたら姿の似ている別人かも、でもとにかくそういう気持ちになれた事が重要だと思うんです。
そういう気持ちになれた事こそが成長で、この映画を成長物語と考えたら良い終わり方なんじゃないかと。
もう少し楓の事を考えてみましょうか。
中盤の彼、確かにキモかったですね。
ただ、彼がキモいだけの男なのだとしたら、あれだけ秋好以外にも迷惑を掛けたのだし、後輩の川原から見捨てられてもおかしくないと思うんです。
でも、川原は連絡をくれた。きっと楓の中の良い部分を見てくれていたんだと思います。
モアイ立ち上げの頃の楓は、単純に秋好との時間が楽しかったのかもしれません。
そんな中で見せたフリースクールで瑞希と接する時の彼の姿、積極的に手を差し伸べるわけではないが、押し付けがましくなく気持ちに寄り添う。
人に自然と寄り添えるのって、凄い事じゃないですか。これ、秋好と会う前から持っていた彼の資質だと思うんです。
川原も彼のそういう所に惹かれていたんだと思う。
そしてその良さを、騒ぎを起こした後に自分を見つめ直し、取り戻す事が出来た。
そんな彼だから、川原も連絡してきたんだと思うんですよ。
一方の秋好。彼女は楓の目線でしか描かれてないんですよね。
だから想像になっちゃうけど、楓が思っているより繊細で、楓が思い込んでる程変わってない気がするんだけど、どうなんでしょう。
もっとも、秋好がどんな人物かっていうのは、実はこの映画にとって重要じゃないのかもしれませんが。
この映画、想像していたより面白い成長物語でした。
吉沢亮の芝居だけが救い
何でこんなに皆が評価高いのか分からない、、、
吉沢亮演じる楓はそのままでええやん。
見てて楓側についてしまう。
秋好が悪いよ。【世界を変える】って大義名分出してるけど、1番近くに居てくれた楓の気持ちすら分からん奴がイキんじゃねーよ。って思った。
きもちわる。じゃねーよ。お前が気持ち悪いわ。観ててしんどくなったわ。
多分、少数派の意見だけど。
何を伝えたかったのか分からんかったわ。
吉沢亮の芝居の巧さだけが救いでした。
大学生として共感できるところが多かった
予備知識なしで映画を観てみた。
楓の復讐心が、中盤から秋好に向けた復讐心だと分かり、一気に心がザワザワした。あのゾクッと感を味わえただけでもう満足笑。
大学入学当初、誰でも仲良くなろう、といった雰囲気があるのは自分も数年前に感じた。嫌ではなかったけど、変に距離が近く、楓と同じく自分も一歩引いてあまり関わらないようにしてたのを思い出す。
関わらないとその分、関わる人とのつながりはより大切にしたいと思うので、その大切な人から『裏切られた』時の気持ちは余計にでも悔しく、悲しく、怒りが込み上げてくる。
秋好は飲みサーみたいになったモアイの中でも、自分の意思はしっかりと貫こうとしていて、咎めるべきところが見当たらない。それだけに楓の気持ちはより腹立たしいと思う。
責めたいけど、責めるべきところが見当たらず、結局自分が秋好にはじめに気持ちを寄せてしまったがための復讐心だと気づいた時のやるせない気持ちはなんとなくわかる。
自分は少しでも楓と同じような気持ちを抱いたことがある分、この映画に共感できるところは多かった。
刺さるものがあった
私は、映画を見終わった後、単純にもやもやした。自身も大学生であるため、大学での人間関係、主人公が持つ意志、意思を成し遂げようと行動すること、大学生であるからこそできることについて、共感しながら鑑賞した。
復讐劇と言われているが、それだけでこの作品を理解するのはもったいない気がして、2時間ぐらい映画を自身の頭の中で振り返った。
この作品は、人によって感じ方が本当にそれぞれ分かれると思う。ただ、一個人の見解としては、楓と秋吉お互いに不足していたものがあったと感じる。これは、私自身にも通ずるものであり、欠如しているものがあるからこそ、思いが通じあったり、通じ合わなかったりして、現実は様々な展開へ進み、一回一回の決断が今を導いているということだと思う。
また、この作品をみて共感が出来たところは自然に相手に対しての理想像を通して見ていることがあるということである。自身の理想としてた相手と違っていたとしても、受け入れられる強さも必要である。
そのため、この作品を通して得た『伝えたいことはきちんと伝える』『出会いを大切にする』そして、一度起こってしまったことに対して復讐をしようとしても何も変わらない、だからこそ『今を大切に生きる』ということが大切であると考え、感想をまとめたい。
主題歌は作品にピッタリの曲であり、映画の理解を助けるものでもあり、作品を見たあとに歌詞の中での『僕』と『君』の感じ方が変わると感じたというのが個人的な意見である。
日本人に多いかも
文明に慣れすぎて人との距離を置いてしまっているのを上手に表現している、他の作品見て無いのですが、自分がどうしたいかを言い合わないSNS上で自分を守っている今を象徴しているのだろう。現代人は自分のした事にSNS上で自白出来るのだろうか?習って無い事に対してはモラルが無い無法地帯化している、そこに参加するなら自分の行動/言動に責任持って欲しいと感じました。
青くて痛くて脆い
この映画は単なるラブコメではなく、青春とは何かというメッセージを詰め込んだシリアスな内容も含まれており、加えてオリジナルストーリーが多く含まれているので小説とは違った「青くて、痛くて、脆い」が感じられるので、映画、小説どちらも見ることをおすすめします。
まず、映画の内容ですが吉沢亮さんの演技が、普段とは違ういい痛さを出していて、でもどこか否定できない自分との共通点があり楓というキャラクターと自分を重ねている場面がいくつもありました。学生はもちろん大人にも刺さるところがあると感じました。
主役以外の役者も素晴らしく、特に森七菜さんのリアリティーのある演技には息を呑みました。
この作品では、楓の自分の感情をコントロールできない青さであったり、楓が思い立った計画、秋好に対する思いの痛さ、そして自分がなにをしたのかを気付いた時の脆さがアップテンポで構成されており見ていて飽きない内容です。その青くて痛くて脆いという感情
から、得られる何かが少なくともあると私は思います
一度見ていい作品だと言えると思います。
予告編で抱くイメージと違う物語でした。
想像していた物語ではありませんでしたので、どうしてめ評価が低めになってしまいます。
予告編で完全にミスリードしています。
「あなたはこのウソが見破れるか?」
そう言う話ではないですよね。
しかし、自分の作ったサークルが3年でその存在を忘れられてしまいますかね?まだ大学在籍中ですよね?
脱会にまつわるエピソードも全カットですが、これこそ大事なシーンでは?
一番分からんのは、先生?が引きこもり?の子と絡むシーン。あんなに大立ち回りする意味がよく分かりません。
最初は、変わり者の子に振り回される展開で面白かったんですけどね。
確かに、自分の作りあげたものが組織で肥大化して自分の意に反するものになっていくことはありますわな。
これもまた青春
青春と言えば、部活動で友と共に汗を流し目標に向かって切磋琢磨したり、好きな人と恋愛するような王道の青春を思い浮かべるが、若いがゆえに失敗をする、そんな苦い青春も他と変わらず価値のある同じ青春であることは間違いない。
勝手に好きになり、勝手に裏切られたと思い、心のどこかでは間違ってるのではないかと思いながらも復讐に走り、すべて終わってしまった後に悔やむ。もしかしたらありえたかもしれない未来を妄想し、さらに悔やむ。
小説版も読んだが、映画では映像ならではの表現の仕方で、パラパラ漫画や、秋吉との幻の未来を想像しながら泣く場面が特に良かった。
苦い苦い青春を悔やみながらも前へ進もうとする主人公の成長に感動した。
傷付いたっていい
この物語の趣旨とは、主人公の楓が「傷付きたくない」から「傷ついたっていい」に変化する過程を描いたものです。僕がこの物語を考える上で、着目した点は下記の3つです。いづれも脇役の何気ない一言と漫画示す意味についてです。
◎「人はその時々の間に合わせで人と付き合っているじゃない?」~脇坂さんの言葉~
◎「お前一度、秋好と真剣に話をしてみた方がいい」 ~董介の言葉~
◎ 憎しみは自分に跳ね返ってくること ~パラパラ漫画の示すもの~
◎「人はその時々の間に合わせに人と付き合っているじゃない?」~脇坂さんの言葉~
楓の「秋好は自分を間に合わせに使った」という言葉に対して、脇坂さんが楓に返した言葉です。
続けて脇坂さんは「人は寂しさや悲しさを抱き、その時にたまたま近くにいた人を、間に合わせ人として使い付き合っていくのではないか?人間関係とはその繰り返しなのではないか?」という発言をします。脇坂さんの言う「間に合わせ」とは僕の解釈では、「縁」という言葉に置き換えられるのではないかと感じます。楓が大学でたまたま秋好と出会ったのも何かの縁。楓がその時に抱いた感情と秋好がその時抱いていた感情が二人を引き合わせた。そう考えると楓が秋好の元を去り、モアイを脱退したのも一つの縁であったと思います。この「間に合わせ」という言葉に、人間関係を考える上での核心があると感じました。
◎「お前一度秋好と真剣に話をしてみた方がいい」 ~董介の言葉~
モアイの個人情報流出をネットに晒そうとする董介が楓に、頭を冷やさせる意味で発した言葉です。楓は秋好が自分をモアイから追い出したと思い込んでいます。楓は秋好への憎しみや嫉妬心が増幅し、人や物事に真剣に向き合う姿勢から、どんどん遠ざかっていっていました。「人と向きあうこと」とはすなわち「人と話し意見を交換すること」それにより誤解を解くことだと僕は思います。誤解を生んでいる相手に対して、話し合うことで誤解が解けた、単なる自分の思い込みだったなんてことは、世の中にはたくさんあると思います。
董介は楓にそのことを分かって欲しかった。楓が抱く秋好への憎しみや嫉妬心は、楓の中の単なる思い込みであり誤解だということ。そのように私はこの言葉を解釈致しました。
◎ 憎しみは自分に跳ね返ってくること ~パラパラ漫画が示すもの~
楓がメモ帳に描いていたパラパラ漫画は、走っている人が壁にぶつかり、また走り出し岩を登っていくというものでした。「壁にぶつかる」=「傷つくことを恐れない」ということを象徴しているのではないかと感じました。楓は周囲との摩擦を恐れず「傷つくことを恐れない」秋好の姿を潜在的にまぶしく思っていたのでしょう。自分も秋好みたいになりたいと。だから楓がモアイや秋好に向けられた憎しみや嫉妬の感情は、ある意味で不器用な自分に向けられた苛立ちから来る感情でもあったのだと思います。
僕は物語を観る時に脇役の何気ないセリフなどに着目します。そこに主人公の存在以上の物語の核心が内包されているように感じるからです。一つの参考にしていただければ幸いです。
「青い」「痛い」「脆い」
原作が発売された時から気になっていたが、原作未読のまま鑑賞。主人公の勝手に勘違いして、被害妄想して、全部他人のせいにする感じ、自分もそんな経験が何度もある。そんな時って良くないってわかっていても勢いで変な方向に行動してしまうんだよなあ、、そしてすぐにこんなの間違ってたって気づくんだけど、どうすればいいかわからなくなって、、ほんとにこの点は共感した。この後、傷つくことを避けてきた主人公が傷つくことを覚悟で動き出すことができたのがすごい。自分じゃできないなと感じた。青臭い学生生活を痛いと感じながらも傷つきやすい脆い心。そんな心は若者なら誰にも、いや人間なら皆持っているのではないか。誰もが自分の意見をバンバン言えたりできるものではない。そういう人間のなんとも言えない感情をひしひしと感じた。
俳優陣も素晴らしい演技で、吉沢亮さん、杉咲花さんはもちろんだが、森七菜さんのシーンでは演者魂というか、必死さがとても伝わってきた。タイトルを見て少しでも引っかかったらぜひ見てほしい作品です。
題名通りの若気の至り
原作は単行本発行当時に既読。住野よるさんの作品は、等身大の青春像とその時代の淡さや切なさ、そして、若さに任せて突き進む姿が、若者の共感を呼ぶのでしょうね。
時の流れの中で変化していく理想…。そこに、この主人公のようについていけない若者も、世の中には多いのかもしれません。
『誰もが鳴りたい自分になって、世界平和を願う』という当初の理想像を掲げて、モアイを立ち上げた田畑と秋吉。しかし、現実と理想のはざまの中で変化していく理想論。自分が信じ、恋愛感情も芽生え始めた秋吉に裏切られたと思い込み、その腹いせに、自分が感じた傷と同じ傷を秋吉に追って欲しいと願った田畑。
しかし、その結果として残ったものは、自分自身に対する後悔と恥だけだった。大人の階段を行きつ戻りつしながら、厳しい世の中に一歩踏み込み、自分自身や人生の価値観に葛藤しながら歩んでいきます
題名通り、若さゆえに突っ走ってしまう、正に『青さと痛さと脆さ』がテーマとなるストーリー展開。あとタイトルに付け足すなら『後悔、そして成長』かな(笑)
杉咲さんは、本のイメージにピッタリ。また、吉沢君はもう少しオタク的なイメージでしたが、青く痛く脆い青年役をスクリーンいっぱいに演じていたと思います。
全97件中、41~60件目を表示









