「予告、というより予想していたものとは全くの別物。そしてタイトル通りの物語」青くて痛くて脆い みゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
予告、というより予想していたものとは全くの別物。そしてタイトル通りの物語
予告を見て想像したものとは全く違います。
ヒロインの秋好が死んだ、というのも物理的に死んだのではなく、主人公の楓が過去に理想論を語っていた秋好はもういないと勘違いしての比喩表現でしたし。
サスペンスや過激な復讐劇を楽しみにしていた人にとってはガッカリすると思います。
ただ、私はそれでもとても面白いと思いました。
青くて痛い理想論から始まった二人の関係は、少しのすれ違いで簡単に壊れてしまうほど脆い、というまさにタイトル通りの物語。
つまらない意地やプライドで自分に正直になれず、それが原因ですれ違いが起き、関係が切れてしまうというのは現実でもわりと起こりやすいことだなと、少し恐怖を覚えました。
人のうわさや目に見える情報のみを信じることであの人はこういう人だ、最低だと決めつけてしまうところや、炎上の様子もとてもリアルで最初から最後まで面白かったです。めちゃくちゃ盛り上がる、というわけではないですけど。
それと、フリースクールにいた中学生の女の子と担任の会話にもすごく現実感を感じました。
私自身、元不登校で似たような体験をしたことがあり、「元気な様子が見れて嬉しい」「学校に来ない?」「みんな待ってるよ」などの言葉一つ一つが私の過去と重なり鳥肌が止まりませんでした。不登校を経験した方で先生のトラウマがある人は見るのが辛くなると思います。
途中で秋好は結局生きてるの?死んでるの?とわからなくなったりしましたが、それでも今こうして面白かったと言えるのは終わりが良かったからだと思います。
いままでにいろんな映画を見てきましたが、ここまで終わりがいいと思った映画はそんなにありませんでした。
なりたい自分になるために、あの悲劇をもう繰り返さないように変わろうとしている楓の様子はもちろん、「ちゃんと、傷つけ」に心を打たれました。
傷つくことを、傷つけてしまうことを恐れすぎず、自分の気持ちをぶつけ話し合う。
一見簡単そうに見えるそれは、本当はとても難しくてとても大事なことなんだと気づかされた映画でした。
みゆうさん いままで観た映画の中で こんなに終わり方が、良い映画はなかなかないとのこと。本当にそうですね!ラストあ10分くらいからは映画のオリジナルシーンでしたが それが素晴らしい演出だったと思いました!「ちゃんと傷付け」っていい言葉ですよね!