空白のレビュー・感想・評価
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恐怖→切ない、高低差
前半は、ちょっとグロくて、モンスターが何人か出てくる、観るのが辛くなる感じです。
特に古田新太は恐怖。ホラー。
ほかの登場人物も基本は共感出来ず。
最後の30分くらいは急に切なくなってくる。
あんなにキチ〇イだったのに、共感できるからすごい。
加害者と被害者の両面の話ならよくあるけど、全員被害者で加害者が不在という不思議なストーリーで考えさせられる。
終わり方が想像できなかったけど、なんか良い終わり方。泣けた。
古田新太の凄み。アカデミー賞いけそうね。
「空白」なるほど。
【ネタバレ】テンポ良し。ただし古田新太の主人公、コイツが一番悪い全てのの原因なのに最後すら行いを謝らない、「光が見えた」とも言い換えられるが、単なるクズ野郎で終わったのが残念。
荒くれのデタラメ父親役の古田新太の悪辣ぶりと、その他非常に繊細で常識的な人々のコントラストで終盤まで引っ張る。飽きることはない。ただ最後のモヤモヤな感じが残念。あと学校の教頭たるものが何の根拠もない痴漢の噂話しちゃダメだろう。
古田新太も、常に低姿勢弱気な店長松坂桃李も、中年独身女性の悩ましいポジションを演じた寺島しのぶも好演なだけに残念。
そもそも、成長期の娘、内気であることくらい毎日会ってればわかるだろが💢💢中学生の娘の申し出を、乱暴な男の暴言でドヤしている時点でDV確定。都合の良いバカで愚かな男だなぁ。おまけに娘の気持ちっとも考えず、話し合おうともせず。スマホ取り上げるのではなく、外へ投げ捨て。そりゃ娘おかしくなるわ。
それで、何だよ交通事故で残酷な状態で死んだら「娘を返せ、お前が悪い」ってか?💢犯罪には到底ならないのに、後述するようにトラッカーの会社にも怒りを向けるのがスジだろが。「遠いから無理」ってか。トラック運転手以外の2人は誠意を持って謝ってるではないか。オマケに学校まで乗り込んでイジメの詮索する有り様。松坂桃李を一方的に恨んで「娘は盗みなどしていない。」って
段々と私の中で古田新太の主人公ボコボコにしたいマグマが爆発寸前だった。
それで、何ですか?罪もない人が自殺して、風評被害で潰れたスーパー店長にも、盗みの証拠らしきもの見つかったにもかかわらず、双方に一言も謝らない無神経、唯我独尊ぶりが「希望の光」とはとても見えなかったなぁ。こう言う人間ドラマ系統は「(カタルシス 魂の浄化)がキモなだけに残念だ。
コレ敢えて言うと最初に突き飛ばした女の車は完全な不可抗力。スーパーの店長の松坂桃李は、敢えて言えば、追走距離が長過ぎ、昭和の昔あったコンビニでパン2、3個盗まれて、行き過ぎた正義感で犯人追い詰めて、返り討ち刺殺された事件思い出した。つまり結論としては、法定速度守るトラッカーなんて殆どいない現状で、解雇はともかく法人のみならず個人にも莫大な損害賠償かかるトラッカーが一番悪何だよ。法定速度を守り「前から何か落ちている」「なんか横から飛んできた」時点で急ブレーキ踏まないといけない。意外とブレーキ痕って難しいから。
善良なふりをする一般市民の怖さ
加害者家族と被害者家族。本来は相容れないがどちらもマスコミの報道によってバッシングされるという共通項がある。たとえ殺人を犯した人間だとしても、その家族は事件と何ら関係がないはず。でも加害者家族は責められ、嫌がらせを受けたりする。被害者家族も似たようなものだ。被害を受けたことをアピールしたり、公判での加害者の態度や証言を批判すると、調子に乗ってるとかいい加減許してやれとかのバッシングを受けたりする。なんて理不尽。
スーパーから走って逃げ車に轢かれて死亡した少女の父親と、万引きした少女を追いかけたスーパーの店長。基本的には真相を知りたがる父親が暴走したり、店長を詰問したりしていく。どっちもマトモには見えない。でも、もっと怖いのは興味本位で報道するマスコミと一般市民だ。特に一般市民は、スーパーに抗議の電話をかけたり、スーパーを放火したり、客として利用しなくなったり、誹謗中傷のビラや落書きをしてくる。姿が見えなくて、自分たちが善良であることを信じてやまない。なんて怖さ!
父親が被害者家族で、店長が加害者のような描き方だが、実は真の加害者は車で轢いた2人のドライバーだ。最初に轢いた女性はちゃんと描くが、トラックの運転手は途中から出てこない。ミステリー的な見方をすると、夜のシーンであそこでトラックが止まれるなら、あの子はあそこまで引きずられることはなかった。ミステリーなら、真に悪いのはアイツだ!と、スピード違反か前方不注意で追及される展開になるだろう。でも、本作はそんな映画ではないから仕方ない。
内容は全く異なるが、同日に鑑賞した「由宇子の天秤」とテーマがカブる気がした。正義・正しさ、報道の姿勢、遺族の悲しみ…。現代社会で無視できないテーマだ。本作の方が救いのある終わり方だったのでやや点数を高くした。
今週(9/23~)の本命筋には入ってくるかな…。
今年126本目(合計190本目)。
※ 「プリンセス・プリンシパル」(Ver2)もみましたが、このレビュー需要はないと思うので飛ばしています。
私自身は去年(2020年)に行政書士試験に合格した程度の知識(このご時世なので開業はしていないです。というかできません)。
さて、「空白」というタイトル、それ自体が何を意味するのかは映画内では明示的に出てきませんが、多くの方が書かれている通り、「それぞれの人がうまくいくこと、いかないこと、他人と意見があうこと、あわないこと」そうしたものがあって、その「隙間」のことを"空白"と指しているのではないか…と思います。
映画自体は架空のお話で、映画内では漁港も出ますが町(市ですらもない?)が異様にしょぼいので、漁港で成り立ってる人口1~2万人の都市が舞台なのかな…と思います(実際には、エンドクレジットで「●●市協力」と流れる)。
架空のお話とはいえ、万引きとそれをふせぐ(このような零細規模の)スーパーとのやり取りというのは壮絶なものがあるといわれ、スーパーはまだしも個人経営かそれに近い書店等だと廃業をやむなくされたり、というのはリアルにあります。そうすると、お話自体は架空のものとはいえ、「いつ起きてもおかしくない」類型ではあると思います。
採点にあたっては、下記がきになったので、まとめて0.5減で4.5としています。
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(減点/まとめて0.5)
・ 今回の映画の描写では、第一義的にはスーパー側にかなりの落ち度が言えるのではないか…と思えます。たとえ万引きであっても「告知と防御の機会」(実際に防犯カメラを見せて、やったよね?と確認すること)がなされておらず、かと思えば「(経費か何かの予算で)あれは偽物」とか言い始めるので、スーパーの落ち度はかなりあります。
また、すぐ追いかけるのではなく、不審な行動を見かけたら「お客様、何かお探しでしょうか?」と声をかけるのは常識で、あのやり方だと、正直その「告知と防御の機会」を何ら保証していないまま被疑者が死亡しており(よって、刑事事件としては、未成年者という事情もあるので、おとがめなしか(なくなっているのにどうしようもない)、行政からは「そんないい加減なフェイクな防犯カメラをつけるのはやめてください」ということ程度にしかなりません。
この点において、「誰を悪者にするのか」というのはこの映画の「ひとつの問」ですが、私であれば「店側の対応に何らの問題もないとは言えない」のではないか…と思います。
ただ、そこの問題提起もなく、人口1~2万人のいわゆる「スーパー」で当該商品(ネタバレなので回避)を、ああいう形(万引きを誘導すると言われても仕方がない。人口1~2万人のスーパーで、それが絶対的に必要で置くスーパーがおよそ考えられない)で置くのも、「万引きをしてもよい」理由になりませんが、「どうぞやってください」といっているのも等しい部分は否めず、そこの問題提起が足りないのでは…と思います。
・ 上記の通り、この事件は被疑者が死亡していることから刑事事件としては何もおきず(せいぜい疑い程度にはなるが、亡くなっている未成年者にそこまでするのかという道義的な問題もある)、行政としても「そんないい加減なビデオカメラはやめてください」ということ「くらい」にしかなりません。
しかし、問題が映画の描写のように複雑になり、やったのやらないだの証拠を出せだの何だのという、人口1~2万人程度と推知される町(か、市?下手すると、村?)で、「私人どうしで」争っても仕方がないんです。
こういうことは、弁護士や一定条件で認定司法書士(訴額が140万円を超えない)に話を持っていくべきで(なお、行政書士は「一通り話を聞いて、こうしたらいいと思いますよ」とは言えても、具体的に顔を突っ込むとアウト)、これらの人達は一切出てきません。
もっとも、そうした人を出すと、彼ら彼女らがいろいろ調べて、和解案などを出してはいおしまい(映画としては60分で終わってしまう)ということになるので、彼ら彼女らが出なかったのだろうとは思いますが、私人間であそこまで支離滅裂な事件が起きれば、誰かしら無料弁護士相談を呼ぶとか、行政も行政で「無料で弁護士の方と話してみませんか?」とか言うものであり、「そうすると、話がすぐ終わってしまうので仕方がなくそれらを全て無視した」ともいえますが、映画の作話の範囲ならともかく、あのようなトラブル(特に万引きがらみ)はよく多く、そこで私人間でやったのやらないの延々を何か月も(月のカウントは明示的にされないものの、3か月くらいは喧嘩してるっぽい)やってたら、関係者(上記のように、あまり大きな町ではないと推知できる)の「気がおかしくなる」レベルです。
そういうことを考えると、「空白」というタイトルでそういう人の葛藤を考えさせるという点は理解するものの、「事件の解決という観点」では私人間でやったのやらないのやってもダメであり(もっとも、今回のケースは、スーパーの防犯カメラがフェイクとか、証拠のとりようが制限されるので、「判断不可能」になる可能性さえある。そのくらいスーパーの対応は問題があると言われても仕方がない)、「いや、そりゃ弁護士やらを出したら30分で終わるけど、それじゃ映画にならないでしょ」は理解できても、「下手に泥沼化して、どうにもこうにもならない状況」になるのならそうするべきで、そこの配慮が足りない(たとえば、行政(市役所(町役場?)が「無料相談を利用してみませんか?」とか言わない)のは、ちょっとどうか…と思いました。
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鳥肌の連続
吉田恵輔監督作品を劇場で鑑賞するのは初めてです。「ヒメアノ〜ル」や「BLUE」は配信などで鑑賞しましたが、それぞれ衝撃的で、それぞれの作品の素晴らしさに感服しました。
そして今作。劇場の出入りも7割方埋まっていて一安心。
一言で言ってしまえば、休むことなく衝撃が襲ってくるという感じでした。序盤の交通事故のシーン、予告では1台の車に轢かれたように見えたのですが、実際はそこからトラックの追撃があるという衝撃的なスタートでした。娘の頭は潰れ、眼球ははみ出し、骨は何本も飛び出し、遺体は損傷が激しく本人確認ができないほどというとんでもない状態で、父親と娘は対面します。そこまで娘に無関心だった父親がここで心の底から泣き崩れます。あんなに普段楽しそうな古田新太さんのあんな表情を見てしまってはこちらも絶句です。
今作では、登場人物全員が感情を剥き出しにしているので、妙に生々しく、他人事には思えない作品です。古田新太さんの毒親っぷりはとんでもなく、怒鳴るシーン怒鳴るシーンに毎回ビクついてしまいました。松坂桃李さん演じるスーパーの店長はどこか頼りないが、終盤に秘めたる狂気が一瞬解放されて、おどろおどろしかったです。寺島しのぶさん演じる店員は、とっても良い人ではあるのだけれど、人の良さが限界突破しており、善意の押し付けをしてきて、とても気持ちが悪いです。当の本人は親切のつもりでやっているのもタチが悪いです。そんな人も何かを失った瞬間に感情を爆発させるのもひとつの狂気でした。なだめからのキスには驚きましたが笑。藤原季節さん演じる若手漁師も、不真面目そうに見えて、しっかりしていて、暴走する充を徐々に慕うようになり、充の心の支えのひとつになっているのも良いなと思いました。マスコミを退かせる姿には漢気を感じました。
今作はマスコミがとにかく酷く、偏向報道なんのそのな勢いで、この事件に絡む人々全てを悪に仕立てていきます。店長のインタビューの中での小さな小言のみを切り取って報道するという、報道機関としてあってはならないレベルの偏向報道を平気でする姿は、コロナウィルス関連で不安を煽る現在のマスコミに似てる気がしました。他にもニュース映像を切り取ってYouTubeに上げるなど、これも現実でよく見るものだなと思いました。
追い詰める父と逃げる店長の攻防は、ひたすらに緊張が溢れており、交通事故現場の再現で、店長が車道に向かい飛び出していこうとする姿に恐怖を覚えましたし、車の運転手に向かって「ゴチャゴチャ言ってるとぶち殺すぞ」という誰をも黙らせる暴言を浴びせた父にも恐怖です。
事件の解決へと近づいていくたびに、虚しい気持ちでいっぱいになるのですが、最後に娘の書き残した絵、閉店したスーパーの常連からの感謝の言葉で、追う側と追われる側の両者が少しだけ救われ物語は終わりました。
見終わったあとは放心状態でした。なぜこんなにパワーのある作品なんだろうか。なぜこんなに辛い物語なのに面白いのか。なぜフィクションなのに他人事に思えないのか。色々と考えることは山積みでした。正直レビューでは言葉に書き表せないものばかりです。トンデモ傑作です。ぜひ劇場へ。
鑑賞日 9/23
鑑賞時間 13:50〜15:50
座席 H-12
「空」の中の「白」こそが傷む心の空白を埋める
胸が痛い。こんなに痛みを伴う映画は他にない。
観客に心の痛みに立ち向かわせ、どうすぺきなのか考えさせせるような作品だ。
誰しもある日突然辛いことが起こる可能性はある。
そんな時に耐えられない辛さに対してどう受け止めて、どう消化するのか。
正解なんてないから、登場人物達はみなそれぞれの立場で苦悩する。
人の心はそう簡単に人の死を受け止めきれないものだから、家族の死が突然訪れた側も、死の原因を作った側もみんな苦しいのだ。
そんな中、そう来るか!
と思わせてくれるのが片岡礼子演ずる母親だ。
ハッ!とする。
答えはないけれども自分がこの立場でこう言えるのかが試される。
ポスターの古田新太の顔と松坂桃李の土下座の写真はこの作品をこれでもかと言うほど表現している。
寺島しのぶのスーパーの店員の正しさの押し売りがまた何が正しいのかなんて無いのだと考えさせる正しさの物差しにもなっていた。
娘がつけていたマニキュアは透明だと田畑智子の母親は気がついているところにドキッとさせられる。
年頃の娘のことをなにも分かっていない古田新太演ずる父親が描いた下手くそな絵は、心の空白を埋めるものなのだろう。
青い空に浮かぶ白いイルカ雲を死んだ娘も確かに見ていたのだ。
質素で心に届く映画
心が苦しくて、観ていて息が詰まるような
漁師で気性の荒い父親。
気が弱そうで生気のないスーパーの店長。
タイトルの意味ですが、娘が店長に捕まりスーパーから逃げ出すまでの空白の時間の事だと予想していたのですが、事故が起きてからその事実と客観的に向き合えるまで期間の事だったようです。
観ていて本当に辛かったんですが、古田新太が徐々に他人に優しくなっていく姿に泣かされました。
これは凄いものを見た
ダークホース。
予告編を見てモンスター化した父親の理不尽に店長が振り回される一種のサスペンス映画かと思っていたが、もっと深く心に突き刺さる映画であった。
双方が被害者でありつつも加害者でもある複雑な関係。
それをマスゴミや周囲の野次馬たちが煽り責め立て追い込んでいく。
一体どうすればよかったのか、この映画で示されることはない。
ただ、ある母親の慟哭を噛み締めつつも毅然とした態度で語られた懺悔の言葉が頭から離れない。
被害者の椅子取りゲーム
喪失と微かな希望
不運な交通事故により娘を亡くした父親の暴走と、その父により人生を崩壊させられていく一人の男を中心に、人の弱さや愚かさ、そして赦しを、吉田監督ならではの人物描写で描く物語。
吉田監督作品の中では、ユーモアやえぐみは抑えめで終始シリアスな空気感。それでも重苦しくなり過ぎないのはさすがです。
娘を失った哀しみと憤りを、憎しみと怒りとして発散させることでしか自身を保てない添田の行動で生まれる憎しみの連鎖。マスコミの過剰報道も拍車をかけて、更なる悲劇が生まれていく。皆が辛く苦しい時間が長く続く中で、少しずつ生まれていく希望や赦しが胸を打ちます。
人によって傷付けられるけれど、人によって救われる。相手を分かろうとすることや、自分と向き合うことで、人は変わっていく。
たくさんの喪失のあとでも、些細な言葉で救われる。
希望を感じるラスト、良かったです。
一番悪いのはレジ袋有料化だろ?
「容器包装リサイクル法」(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)。コンビニ等で毎回「レジ袋はご入り用でしょうか?」と、聞く方も聞かれるほうもうんざりする昨今。プラスチックごみなどの問題よりも、万引きが増えたというニュースほうに目を引かれてしまう。コンビニでもマイバッグ持参の客が増えているし、当然店側もバッグの中まではチェックしない。コロナ禍で貧困に喘ぐ人も多いので、今後ますます万引きは増えていくようにも思う。
罪、偽り、赦しといったテーマの通り、誰にでも起こりうる事件や事故に人間が持つ隠された何かが露見する。完全な善人もいないし、完全な悪人もいない。普通の人でも加害者や被害者になり得るのです。
登場人物のそれぞれの性格が痛いほどリアルであり、凶暴であったり、従順であったり、卑屈であったりと、特徴がよく現れていました。誰しもが自分が正しいと主張したり、ぶつかり合ったりする世の中。自己中心的であればあるほど対立が生まれ、寛容性が失われていくのだと思うけど、どこかに欠点は存在するものだ。わかりやすい古田新太と松坂桃李の他にも寺島しのぶの善を押しつけるキャラ(唇も押しつけてたが)もいたりして、観客は自然と登場人物と自分とを比較してしまうような多様性もあった。
普通ならば法律や損害保険などで収まるところ、一つの事件が関係者のみならず、多くの人を巻き込んでしまったのは、怒鳴り散らす主人公の性格や勝手な報道をするマスコミ、さらには隠蔽しようとする教育者やネットで炎上させようとする傍観者たち。情報過多の時代だからしょうがないかもしれないが、どこかで「赦し」、添田充の言葉を借りれば「折り合い」をつけなければならないのだろう。
様々な性格の登場人物の中で最も感動したのは、事故を起こした女性の母親(片岡礼子)だった。そして、頑固者である漁師を慕う野木(藤原季節)だった。単に謝ったり宥めたりするだけでなく、行動で示すことが大切なんだろうなぁ・・・。そして、バッシングを受けてる人に対しても、弁当が美味かったと言ってたドライバー。捨てる神あれば拾う神ありだよ。
誰が良いとか悪いとか考えながら見ていくうちに、自分の中にも善悪があるものだと気づく構成にもなっているし、「赦す」ことで多少は前向きになれる作品でした。喪失感を表す空白感と親子が描いた白いイルカ(空と白)のダブルミーニングも絶妙。重いながらも秀作だ!
何知ってる?おまえら本当クソだな!本当に
《証拠》この答えは今を生きる現代人に託されている。観察洞察に満ちた警鐘と、それでもなお藁をも掴む想いで微かに残された最後の希望。本来作品とはそういうものだとは思うけど、本作はより監督に突き付けられている気がした。魂が泣いた。本物の感動に突き動かされる。あらゆる要素やテーマを内包しており、一概には言えないけど、確かにここには何より感情が、生が、魂が息づいているのを感じる表現としての有無を言わせぬ熱量。こんな狂った世の中でも相手を知ること。あるいは親にできること、亡くなってから知ること。空白=時が解決するのか?失われた時間を取り戻すことはできないけど、皆どうにかやって日々生きてるんだ。折り合いなんてつけられなくてもイライラモヤモヤしながら。
今最も目が離せない監督・吉田恵輔 × 俳優・松坂桃李!! しかも松坂桃李主演『新聞記者』はじめ昨今の日本映画界を牽引する圧倒的熱量を放つ作品を次々と世に送り出しているスターサンズ製作。この組み合わせは見るしかない!…と以前から注目していた本作。何より古田新太の熱演、強烈なインパクト。演じるのはイカつく、確かに現実世界では関わりたくないような取っ付きにくいキャラクターではあるものの、その分非常に真っ直ぐで、己の価値観・信念のまま決して揺らがない存在感。影では文句も言いながら彼と独特な師弟・信頼関係のようなものを築いていくのは注目の藤原季節。彼も流石の存在感で魅力的。対するは、上述したように最新作が待ち遠しい脂乗りまくりな松坂桃李。こういう役似合いすぎる。そして彼の"理解者"?=寺島しのぶ。一見するとヤバいキャラ・オブ・ザ・イヤー。「正しいんだから!」と正しさを武器に振り回して、善意の押し売りという厄介さ。偽善とまでは言わないまでも、"皆に好かれたい"みたいな似たタイプの人で、以前苦手な人がいたので、いるいる分かると既視感覚えた。
二人だけじゃない主人公=普通の人々にスポットを当て掘り下げていくことで作品全体に群像劇的側面を持たせつつ、社会の不寛容と個人での解決を描く。他にも、符号的扱いでなく、それぞれの立場でしっかりと生きている登場人物たち。幾分極端な描き方をされているとしてもリアル。原因と結果、歯がゆく苛立ち憤る。例えばショック話題性や目先の数字に取り憑かれ、自らの見せたい部分だけを切り取るメディアの偏向報道や心無い人々。もちろんどこを撮=取り、編集し、伝えるか等の作業が不可避で、それら主観が入ってしまう時点で避けては通れない問題ではある。が、やはり当人たちが話すべきところを、周囲外野が余計にかき回し本質を遠ざけややこしくする。そうした波紋は悪いほう悪いほうへと予期せぬ形でまた広がっていく負の連鎖みたいに。吉田監督、今回もやはりスゴかった!
P.S.数えていないけど恐らく10回くらい、あるいはもうちょっと、10分に1回くらいスマホの着信音だかバイブだか鳴らしている人がいて、多分1席空いた隣の人だったけど、確信がなく黙っていた。けど腹が立った。まず本人はそれ気にならないのか?なんとも思っていないのか?神経図太すぎるだろ。…なんて思うけど、それはまだ今日というヤバいくらいツイてない日の始まりに過ぎなかったのだとその時は知る由もなかった(続く)
キャスト陣それぞれ素晴らしいが 古田新太さんのリアリティにつきる ...
伝染する苦悩と頭を下げる意味
はじまりは万引き未遂事件だった。
娘を亡くした父親の狂気と破壊、そして再生の物語。
ひとつの女子中学生の死によって、皆が傷つき、苦しみ、憎み、そして寄り添う。
彼らの心の空白は埋まるのか。それとも…
辛く苦しい中に少しでも希望を見出せる、とても自分好みな傑作でした。
前半はとにかく辛い。
一度轢かれたあと反対車線のトラックに轢かれるという、やけにリアルな事故シーンがトラウマレベル。
その後に、頭が潰れたとか内臓飛び出たとか、言葉で聞くだけでも辛い。
加熱する偏向報道、ネットの憶測。
本当にマスゴミ過ぎてもう。
なんというか、すごくリアル。
〇〇をよく知る〇〇の知人ってよくあるけど、信じちゃいけないね。
誰も悪くないし、誰もが罪を抱える。
進めば進むほど自分の首を絞めるように苦しくなって…
そして、後半。
謝罪と感謝。
次第に世間の関心は薄れていき、当事者の心も落ち着いてくる。
キャンバスに筆を当てる音、夕凪の海辺、優しさに包まれるラスト。
何度も何度も泣いてしまった。
レクイエムのような音楽にエンドロールの文字が滲んでいた。
信じたくない、許せない、疑念は晴れない。
でも、俺はあんたに謝ってない。
今は謝れないが、少し時間をくれ。
誰しもどこかしら共感できるところがあると思う。
ああいう父親やああいう雰囲気の家族も相当数いると思う。
少女の死亡事故という非現実的なことが起きた時、“普通”の人たちはどうなってしまうのか。
現れる本性と最後に包み込む優しさ。
きっとまだこの世界は美しく優しい。
あの日、心は繋がっていなくとも、同じ空を見ていた。
あのイルカ雲の空を。
当事者になり得る話
空白 レビュー
中学3年生女子です。受験の作文練習として感想を書かせていただきます。日本語変なところたくさんあるかと思いますがどうか温かい目で見ていただけると幸いです、、。
映画「空白」大変素晴らしい作品でした。観終わった後の満足感本当にすごかったです。
しかし、いっしょに観に行った父と映画の感想を語り合っていると、どんどん桃李くんに対するモヤモヤが出てくるのです。私と父が特に違和感を覚えた二点を紹介します。
まず一つ目、万引き未遂をしたカノンを倉庫へ連れて行ったあと、2人のやりとりがあったはずなのになぜそのシーンを映さず、カノンが逃げるところだけ映したのかというところ。
二つ目、古田さんが桃李くんに謝りに行った時、宥める古田さんを差し置いてずっと謝っていたところ。この二点です。
なぜこの二点に違和感を覚えたのか。
まず、劇中で桃李くんは昔、性犯罪で捕まったことがあると言われていましたよね。「ロリコン」などとも書かれていました。しかしその昔の真相は全く語られていませんでした。
あくまで私たちの考察ですが、一つ目の倉庫のシーンを映さなかったところ。そこで桃李くんはカノンに対して、そういった行為をしようとしようとしたのではないのでしょうか。それを嫌がって逃げたカノンを追いかけるところだけを映した。つまり劇中では語られていませんでしたが、桃李くんが昔、性犯罪で捕まったことがあるのは本当だったということです。二つ目も同様にそういった行為をしてしまったが為、劇中で桃李くんはずっと謝っていたのだと思いました。
そんなモヤモヤが残ったものの、やはり素晴らしい映画だと感じます。古田さんの前半と後半の表情の変わりようや、映画に出てくる人間の感情、言動が非常にリアルで気持ち悪いところ。油絵を始め、娘の漫画を読み、娘を理解しようとし始めたところなどとても素晴らしかったですし、涙なしでは観れませんでした。また私は父子家庭なので、より感情移入して観れたと思います。(関係は映画と真反対ですが笑)
もう一度観たい作品ですし、誰しも一度はみるべき作品だと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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