「そして本当の父になる」空白 ぷらずまさんの映画レビュー(感想・評価)
そして本当の父になる
もし、この作品のメインビジュアル、泣き顔バーン!土下座バーン!でなんとなく鑑賞を避けている方がいらっしゃったら、騙されたと思って一度観てください。本当に良い映画です。
事故で娘を亡くした被害者の父・添田と、そのキッカケを作ってしまった加害者・青柳の2つの視点から物語が進みますが、どちらも良い意味でかなり嫌〜な感じです(笑)
相手の立場に立とうともしない、自己中な人たちのデカい主張や善意の押し売りの中で、思いやりのある人たちが心を痛める社会。観ていて気分の良いものではないかもしれませんが、ぜひ添田というキャラクターを観てください。
最初は「娘を失った父親である"自分"」が可哀想で暴れていただけの添田が、後半、亡き娘の遺品と少しずつ向き合い、少しずつ本当の父親になろうとする姿には心を打たれます。
死んでから向き合おうとしたってもう遅いんだよ!と思いながらも、あのいじらしい姿には愛おしさすら感じます。終わりには全てのキャラクターに愛着が湧くほど、人物描写が丁寧で好きです。
「ヒメアノ〜ル」もそうでしたが、最後の最後にこれまでの感情が一気に押し寄せる幕の閉じ方もとても美しいです。本当の感動は言葉にできないと言いますが、まさにこの作品がそうです。素晴らしい映画でした。
コメントする