劇場公開日 2021年9月23日

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「交通死亡事故から負の連鎖を見事に描くシリアス映画」空白 零式五十二型さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0交通死亡事故から負の連鎖を見事に描くシリアス映画

2022年1月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

とにかく古田新太さんの鬼気迫る演技。
得意技。
見入ってしまう。
それに尽きる。

これまで関心を示してこなかった一人娘を交通事故で失い、手のひらを返したように関係各位への攻撃が始まる。
さすがに愛娘がこんな事になればどんな親でもそうだろう。
古田新太さん演じる父親の事故後の言動はデフォルメとも思えない。
だから観ていて映画っぽい気にならず、やり過ぎぐらいの演出と脚本が抜群にマッチしていた。
もっと冷静にとか、
大人な対応でとか、
そんな事は出来はしない。

そこへきて、片岡礼子さん。
こういう立ち位置のキャラをやらせたら渋くて唸る。
古田新太さんだけが目立つ映画にならず、ココで見事に均衡が保たれた感じだ。

ヒメアノ〜ルに続いて同様の緊張感を描く吉田恵輔監督脚本作品はお気に入りになった。

2時間を切る長さだが、スッキリまとまりドロドロしっぱなしではなく最後は見ている側に考える時間をくれたような作品でした。

釈然としなかったのは、事故のきっかけになった彼女より直接死亡の原因となったトラック運転手は何故謝罪シーンがなかったのだろう。
業務上過失致死で即効懲役をくらったのかな?

零式五二型