「つらい」空白 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
つらい
それぞれの立場で、後悔を背負いつつも自分が今できることに実直であろうとするが故に、自分や他人を追い詰め、傷付けていく人々。
作品中、4分の3くらいまで、そのつらさが連鎖していくので、本当に観ているのがつらかった。
ラスト、それぞれに示される小さな光。
映画では描かれなかったが、結局のところ彼らにとってその光でさえ「取り返しのつかない過去」を悔いることにしかならないと考えると、決して幸せな結末ではない。
「でも、生きていかなくちゃいけない」
どこまでも胸を締め付けられる。
ひとつ気になったのは、メディアやネット・野次馬たちによる煽りは、特に我々観客に近い存在のあり方としてもちろん無神経さを非難されるべきなんだけど、その辺りの描写があまりに一方的にデフォルメされた結果、むしろ不自然な気がして、不幸すぎる展開が、嘘くさく感じられてしまった。
決して繰り返し観たい映画ではないけど、今日という一日の生活に、ガッツリと跡を残す作品。
役者陣も素晴らしかった。
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