劇場公開日 2021年9月23日

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「果たして彼はモンスターなのか」空白 nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0果たして彼はモンスターなのか

2021年10月5日
Androidアプリから投稿

自分は添田を単にモンスターやサイコ、凶気と称してしまうことに違和感を覚える。
確かに彼は自らの思い描く娘像に固執するばかり真実から目を逸らし、一方的に相手を責め立てていた。
ただ子を失った親はどこかで心のバランスをとらないと生きていくことさえ出来なくなってしまう。
心では間違った行為だと理解していたとしても、娘と真摯に向き合わなかった自分の過ちを理解しているとしても
そうすることでしか保てなかったのだと思う。
青栁を執拗に追い立てる姿は確かに凶気的に映るものの、その姿には どこか救いを訴えかけるような、何かに縋りたいんだという感情が滲み出ていた。
客観的に見てしまえば彼は身勝手であり、自分のことを棚に上げていると見られるかもしれない。
ただそうだとしても、唯一の存在を奪われた人間は、どこかに責任を追い求めることでしか自分自身を保てない。
その点において彼はモンスターどころか誰よりも人間的であったと思う。

理屈では片付けられない思いが映し出されており、それを全力で表現してみせた古田新太の演技
強く揺さぶられた。

また人の感情へ土足で上がり込みながら、露骨な印象操作を行い、さも自分達が正しいかのように振る舞うマスコミや都合の悪いことは明かさない学校といった組織が結局何の責任も負うことなく終わる というのも、モヤモヤとはするもの皮肉めいていて良かったのではないかと思う。

nazionale