「イルカ雲」空白 うじさんの映画レビュー(感想・評価)
イルカ雲
マスカレード・ホテルに続き、事前のネット上の評判が、
やらせと思うくらい高いものでしたが
今度はあまり期待しないで観に行きました。
ストーリーは、監督のオリジナルとは言え、よくあるお話で、
ジャック・ニコルソン主演、ショーン・ペン監督の
「クロッシング・ガード
(娘を轢き殺して服役後出所した主人公をニコルソンが追い詰めていく。)」
に似ていると思いました。
前半はドリフのコントにある、もし〇〇が〇〇だったら、という感じで
もし、古田新太がモンスターペアレントだったらというお話です。
かなり激しいモンスターぶりで、もともと人の話を全く聞かないタイプの
人間という描写がありますが、娘が轢き殺されたあとは、何重にも輪をかけた
モンスターぶりが発揮され、逆に気持ちのいいくらいです。
古田新太にびったりあっており熱演しています。
松坂桃季は、なんだか映画やドラマやCMに出過ぎており、
賞味期限が切れかかっているような印象がありましたが、
今作では古田新太に追い詰められても何も抵抗できない、
やる気のない、つかみどころのない役は意外とはまっていました。
(万引きした娘に何かしようとしたと疑われています。)
古田新太に反撃しないのでいらいらします。
寺島しのぶが、松坂桃季の経営するスーパーの店員を演じて
いますが、これが善意を押し付ける偽善者の役で、寺島しのぶの
演技がうますぎて、これは不愉快で気持ち悪かったです。
古田新太は、漁船でカニを捕る仕事をしている漁師なのですが、
漁師にしては全く日焼けしていないのが、違和感がありましたが
最近の漁師はUV対策をしているのでしょう。
酒焼けはしているようでした。
タイトルの、「空白」は「くうはく」と読むのかと思っていたら
そんな説明はサイトなどを見てもされておらず、
映画の内容からもなんで「空白」?と考えました。
古田新太は娘との関係で空白があり、娘が死んでからその空白を
埋めようとしていること、松坂桃季は、別に望んだわけでもなく
父親が残したスーパー経営を継いでおり、特に生きがいもなく
それが空白、寺島しのぶは、善意で松坂桃季をマスコミやバッシングから
かばっても、めいわくがられるだけで、ボランティアをしても
承認欲求は満たされることなく、それが空白、という感じで
それでタイトルが空白なのか、
監督のインタビューでそんな感じの話もしていましたが、
だまされてはいけません。
映画の後半で突如雰囲気が変わって、笑えるシーンも出て
きますが、その笑えるシーンの中から最後にタイトルを理解できる
ようになっており、監督はうまいと思いました。
※娘が轢き殺されるシーンは直接のゴア描写はないのですが
見せないゴアという感じでかなりリアルです。
苦手な方は観ないほうがいいです。
※娘を轢き殺した車の運転手は若い女性ですが、
何度も古田新太にお詫びに行くのですが、都度ものすごい剣幕で
追い返されてしまい、ついに自死してしまいます。
古田新太がそのお通夜に行った時に彼女の母親からあることを
言われます。泣きます。