「人生に必要なのは、空白ではなく、余白だ」空白 eigaeigaさんの映画レビュー(感想・評価)
人生に必要なのは、空白ではなく、余白だ
スーパーで万引きし、店長に追いかけられ、走って逃げる途中で道路に飛び出し、車に轢かれて即死した娘の父親が暴走し、店長を追い詰める。背景には、事実を捻じ曲げて報道するマスコミ、怒りの矛先を変えるために父親に嘘を伝えた学校の存在がある。
気立は良いが、優柔不断の店長に迫る父親の原動力は、亡き娘への愛ではない。空虚で愛のない自分自身の人生への八つ当たりだ。
こういう人は、自分自身しか見えていない。周りから求められることは乱暴にはねつけ、自分の欲望だけを満たす。いつも怒ってばかりだ。そのような態度が娘を万引きへと追い詰めたと自覚したきっかけの重さに、涙が出た。
人生に必要なのは書くべきことが書かれていない空白ではなく、愛から生まれる余白なのだ。
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