「何を強いて、歪めたのか」空白 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
何を強いて、歪めたのか
あることを境に…人生は不都合な変化の連続で、生きることとは、折り合いをつけることだと思い知らされる。この思いは、本作の感想と同意だが、単に映画の感想だけにあらず。それぞれの母の言葉が真実を言い当てていた。善良な行いとは、そこに至る心理を誠実に描いている作品に対し、そう素直に思うのだ。逃げず、見つめ、話す者と、戸惑い、伏せ、避ける者。しかし、両者が共存し合い、両方が誰しもに存在することを理解する時、思いがけずにもやは晴れ、少しずつ拗れていた網の目は解けだすのではないか。同じ空を、同じ思いで見上げている人々は、図らずも側にいた様に。
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