「今週(9/23~)の本命筋には入ってくるかな…。」空白 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
今週(9/23~)の本命筋には入ってくるかな…。
今年126本目(合計190本目)。
※ 「プリンセス・プリンシパル」(Ver2)もみましたが、このレビュー需要はないと思うので飛ばしています。
私自身は去年(2020年)に行政書士試験に合格した程度の知識(このご時世なので開業はしていないです。というかできません)。
さて、「空白」というタイトル、それ自体が何を意味するのかは映画内では明示的に出てきませんが、多くの方が書かれている通り、「それぞれの人がうまくいくこと、いかないこと、他人と意見があうこと、あわないこと」そうしたものがあって、その「隙間」のことを"空白"と指しているのではないか…と思います。
映画自体は架空のお話で、映画内では漁港も出ますが町(市ですらもない?)が異様にしょぼいので、漁港で成り立ってる人口1~2万人の都市が舞台なのかな…と思います(実際には、エンドクレジットで「●●市協力」と流れる)。
架空のお話とはいえ、万引きとそれをふせぐ(このような零細規模の)スーパーとのやり取りというのは壮絶なものがあるといわれ、スーパーはまだしも個人経営かそれに近い書店等だと廃業をやむなくされたり、というのはリアルにあります。そうすると、お話自体は架空のものとはいえ、「いつ起きてもおかしくない」類型ではあると思います。
採点にあたっては、下記がきになったので、まとめて0.5減で4.5としています。
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(減点/まとめて0.5)
・ 今回の映画の描写では、第一義的にはスーパー側にかなりの落ち度が言えるのではないか…と思えます。たとえ万引きであっても「告知と防御の機会」(実際に防犯カメラを見せて、やったよね?と確認すること)がなされておらず、かと思えば「(経費か何かの予算で)あれは偽物」とか言い始めるので、スーパーの落ち度はかなりあります。
また、すぐ追いかけるのではなく、不審な行動を見かけたら「お客様、何かお探しでしょうか?」と声をかけるのは常識で、あのやり方だと、正直その「告知と防御の機会」を何ら保証していないまま被疑者が死亡しており(よって、刑事事件としては、未成年者という事情もあるので、おとがめなしか(なくなっているのにどうしようもない)、行政からは「そんないい加減なフェイクな防犯カメラをつけるのはやめてください」ということ程度にしかなりません。
この点において、「誰を悪者にするのか」というのはこの映画の「ひとつの問」ですが、私であれば「店側の対応に何らの問題もないとは言えない」のではないか…と思います。
ただ、そこの問題提起もなく、人口1~2万人のいわゆる「スーパー」で当該商品(ネタバレなので回避)を、ああいう形(万引きを誘導すると言われても仕方がない。人口1~2万人のスーパーで、それが絶対的に必要で置くスーパーがおよそ考えられない)で置くのも、「万引きをしてもよい」理由になりませんが、「どうぞやってください」といっているのも等しい部分は否めず、そこの問題提起が足りないのでは…と思います。
・ 上記の通り、この事件は被疑者が死亡していることから刑事事件としては何もおきず(せいぜい疑い程度にはなるが、亡くなっている未成年者にそこまでするのかという道義的な問題もある)、行政としても「そんないい加減なビデオカメラはやめてください」ということ「くらい」にしかなりません。
しかし、問題が映画の描写のように複雑になり、やったのやらないだの証拠を出せだの何だのという、人口1~2万人程度と推知される町(か、市?下手すると、村?)で、「私人どうしで」争っても仕方がないんです。
こういうことは、弁護士や一定条件で認定司法書士(訴額が140万円を超えない)に話を持っていくべきで(なお、行政書士は「一通り話を聞いて、こうしたらいいと思いますよ」とは言えても、具体的に顔を突っ込むとアウト)、これらの人達は一切出てきません。
もっとも、そうした人を出すと、彼ら彼女らがいろいろ調べて、和解案などを出してはいおしまい(映画としては60分で終わってしまう)ということになるので、彼ら彼女らが出なかったのだろうとは思いますが、私人間であそこまで支離滅裂な事件が起きれば、誰かしら無料弁護士相談を呼ぶとか、行政も行政で「無料で弁護士の方と話してみませんか?」とか言うものであり、「そうすると、話がすぐ終わってしまうので仕方がなくそれらを全て無視した」ともいえますが、映画の作話の範囲ならともかく、あのようなトラブル(特に万引きがらみ)はよく多く、そこで私人間でやったのやらないの延々を何か月も(月のカウントは明示的にされないものの、3か月くらいは喧嘩してるっぽい)やってたら、関係者(上記のように、あまり大きな町ではないと推知できる)の「気がおかしくなる」レベルです。
そういうことを考えると、「空白」というタイトルでそういう人の葛藤を考えさせるという点は理解するものの、「事件の解決という観点」では私人間でやったのやらないのやってもダメであり(もっとも、今回のケースは、スーパーの防犯カメラがフェイクとか、証拠のとりようが制限されるので、「判断不可能」になる可能性さえある。そのくらいスーパーの対応は問題があると言われても仕方がない)、「いや、そりゃ弁護士やらを出したら30分で終わるけど、それじゃ映画にならないでしょ」は理解できても、「下手に泥沼化して、どうにもこうにもならない状況」になるのならそうするべきで、そこの配慮が足りない(たとえば、行政(市役所(町役場?)が「無料相談を利用してみませんか?」とか言わない)のは、ちょっとどうか…と思いました。
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