劇場公開日 2021年9月23日

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「不寛容という副題が良いね」空白 わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不寛容という副題が良いね

2021年9月23日
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明確に「空白」という言葉がセリフにあるわけでもないのに、この映画にこのタイトルをつけるだけで安心できる座組だと言っていいと思う。

この物語に空白らしい空白はない。常に考えさせられる。

交通事故のシーンがリアル。

実際問題、頑固な性格かどうかを抜きにしても、自分がこうだと思ったらこうとか、自分なりの善意を相手に受け取ってほしいとか、想いが乗っかれば乗っかるほど想いの空白の部分は少なくなっていく。どの登場人物もそこでがんじがらめになって苦しくなるんだよな…

松坂桃李は何重人格なんだと思うくらいの振り幅を見せていて良かった。古田新太のゴジラ的な立ち位置。後半向き合おうとするけども向き合えられなくて捨ててしまうもの、向き合った結果やっと理解したような気になれるもの、時に大胆に時に繊細に演じ分けていた。決定的に彼には謝らないのが良いよね。モヤモヤしちゃってとか言っちゃって。

直接的な加害者でない人物に恨みを持つという視点も話として新しい。都合のいいときにだけいるマスコミはこういう話のとき健在なんだけど、その先も少し見せていたのも新しい。

あの時不自然な空のカットあったよな…でも今思えば自然だわ。後半グッと話の強度がますのもこの監督らしい。

わたろー