「観終えた後に感じる感情に名前を付けるならば混沌」僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46 青鞠さんの映画レビュー(感想・評価)
観終えた後に感じる感情に名前を付けるならば混沌
部分的にネタバレに近い部分がありますが、映画の核心部分の内容はフワッと説明したつもりなので、参考にしてみてください。
私は欅坂46のライブに何度も足を運び、演出のクオリティに圧倒されました。その立役者といってもいいのが、平手友梨奈です。私自身はキャプテンである菅井友香さんを推していますが、平手友梨奈が居なければ、ライブの雰囲気は並々ならぬもの、見たことも無いもの、身体のエネルギーを根こそぎ持っていかれるようなあの感覚にならなかったのは確かです。このように言うと反論する方もいるのは承知です。ただ、私が今まで見てきた中で余韻として残っているライブを順番に挙げてみると、そこには大体平手友梨奈がいます。
その中で今年の1月、その平手友梨奈が脱退しました。これはあまりにも衝撃的でした。欅坂どうなるの?どうして?こうした疑問符が絶えず湧き出てきます。こうした疑問が覚めやらぬことないままに、新しい欅坂を築き上げていこうというメンバー意志が最近の活動に反映されるようになってきました。
さて、私が感じている欅坂46に関してのまるで哲学のような疑問は以下のことです。平手友梨奈はどうして居なくなったのか、平手友梨奈は欅坂46のなかでどのように表現したかったのか、平手友梨奈は欅坂46にとってどういう存在だったのか、平手友梨奈を軸に揺れ動くメンバーはどういった心持ちなのか、ということです。今まで雑誌などを見てても表層的に見えて全く実態が掴めなかったような事柄だらけです。上の疑問に対するある程度の答えはまとまってきたように思います。
とはいえ、欅坂を好きな人間にとっては大きな棘を突き刺すような場面も見られました。このあたりは、一長一短ではありますが、本当に好きな人は、最後観終えた途端に、「ありがとう」とか「ごめんなさい」みたいな気持が入り交じった混沌とした感情が頭の中に渦巻くように感じることになるでしょう。1ミリでも欅坂のことが好きだった、素敵だなと思ったことある人であれば、この気持を共有出来ると思いますので、是非見に行ってほしいです。
ぶっちゃけ口だけで「平手友梨奈が必要」と言うのは簡単かもしれませんが、メンバーのそういった今までの台詞は偽りのないものであったことを実感しました。
一度、予告編を見てみると分かりますが、デビューしたての平手友梨奈が「いつか来ますかね、そんな日が。」と言うシーンがあります。これを映画で全文を聞いた瞬間、そのライブを見に行っていた私はある光景を想い起こしました。本人の願いが叶うかどうかは劇場で確認してもらうとして、その答え合わせの時には自然と涙が溢れてしまいました。
また、2人のメンバーに注目して見て欲しいです。小池美波さんと石森虹花さんという方です。あえてそれぞれの場面にタイトルを付けるならば、小池と二人セゾンと平手、石森と平手と石森から見る欅坂46といった所でしょうか。この二人が欅坂46とどのように向き合ってきたか、特に私が気になっていた最後の質問の答え合わせとしては、あまりに理想的すぎて美しすぎてそれでも辛い気持にさせられるような解答を突きつけられました。
疑問を解決してくれる映画と私は銘打ってしまいましたが、正直モヤモヤもさせられます。小林由依と欅坂46と平手、10月のプールに飛び込んだと平手、今泉佑唯や長濱ねるなどの卒業メンバーから見る平手や欅坂46、黒い羊のMVの場面での出来事、大人の事情というものでしょうから割り切っていますが、全て答えを提示してくれるわけではなく、推測の域を出ません。こうした、ミステリアスな所も欅坂46の威厳を保ってきた部分なのではないかなと個人的には感じています。
ですが、ドキュメンタリー映画までも感情を揺さぶってくるようなアイドルグループは二度と私の中で現れることがないなという気持ちを再確認することが出来ました。このドキュメンタリー映画を見て、「やっぱりな」と予想通りに思うことも「そうだったのか」と不測の事態と感じたとしても、総じて想像の斜め上を行く、時間を忘れて、欅坂にひたすら魅了されていく、そんな力強さをもった最強の音楽映画兼ドキュメンタリー映画でした。