劇場公開日 2020年7月10日

  • 予告編を見る

「近未来犯罪とホラーの境界線に足を踏み入れた」透明人間 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0近未来犯罪とホラーの境界線に足を踏み入れた

2020年7月22日
PCから投稿

『 ザ・マミー 呪われた砂漠の王女 』からスタートした、ユニバーサル・モンスターズを連続リブートし、ユニバース化する企画「ダーク・ユニバース」において、ジョニー・デップ主演で映画化される予定であった「透明人間」の企画は白紙となったが、ユニバース化ではなく、独立した世界観として連続リリースする方向にシフトした第1弾として製作された今作。

同じくリー・ワネル監督によって「狼男」のリブート企画がライアン・ゴズリング主演で進められている他、『透明人間』自体も続編製作も決定しており、更に女性版となる『インビジブル・ウーマン』もエリザベス・バンクス主演で映画化され、更には『トイ・ストーリー4』の監督であるジョシュ・クーリーによってアニメーションとのハイブリッド作品『リトルモンスターズ』といった異色作、その他にもユニバーサル・モンスターズを扱った多数の企画が浮上してきている状態である。

それらの起爆剤となったのが今作であるが、娯楽アクションテイストを強調した『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』と比べて、数段ホラーテイストが増しており、ユニバーサル・モンスターズはエンターテイメント化するよりも、何なら原作よりもホラーテイストを強調したて方が世間にはウケることが証明されたと言ってもいいだろう。

確かに今までにもユニバーサル・モンスターズを再始動させる企画映画として『ヴァン・ヘルシング』や『ウルフマン』が公開されたが、1作で止まってしまっているのは、エンターテイメント性を強調したことが理由なのかもしれない。

ただ、今作がヒットしたからといって、ハイペースで量産することで質を下げることだけは避けてもらいたいところだ。

AI産業や軍事産業において、科学の進歩によって可能性が広がってはいるが、それと同時に、今までSFやファンタジーの世界であったことが現実に起こるかもしれないという恐怖も与えている。

この『透明人間』に関しても、透明になる能力のあるプレデターや2000年の映画『インビジブル』の頃は、おくまでSFとしてとらえることができたが、軍事産業で、風景や物体と同化させることができるステルススーツが現実化されつつある現代において、今作で描かれる恐怖というのは、実は起こりうる可能性のある恐怖を描いているのだ。

「誰かに見られている気がする」「何かがそこにいる気がする」という、感覚的だったりオカルティックな部分も現実の恐怖として襲いかかってくる中で、「映画だから」と言い切れない、今後起こりえる新たなストーカー行為や支配的圧力要素が詰まっていて、近未来犯罪とホラーの境界線に足を踏み入れた作品となっている。

『インシディアス』のリー・ワネルの神経を逆なでするオカルト演出と『パージ』『ゲット・アウト』などのリアルとオカルトの境界線を描いた作品を多く手掛けてきたジェイソン・ブラムのマッチングによって、新たな恐怖体験を作り出すことに成功しているといってもただろう。

バフィー吉川(Buffys Movie)