「片足上げの死体はふせえり岩松了以上に滑稽」大怪獣のあとしまつ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
片足上げの死体はふせえり岩松了以上に滑稽
2022年映画館鑑賞9作品目
2月23日(水)イオンシネマ石巻
監督と脚本は『イン・ザ・プール』『亀は意外と速く泳ぐ』『ダメジン』『インスタント沼』『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の三木聡
怪獣映画ファンのオタクは酷評しているようだが期待が高すぎたんだろう
そもそも三木聡作品が向いていない人種に思える
腹癒せで映画のレビューを書くタイプの人たちはおふざけが過ぎる監督を嫌う傾向があるので好きな人にとっては当然だが全く参考にならない
自分は三木聡作品を全肯定するわけでないがどちらかとというと好き
大怪獣の死体処理を巡って右往左往する現場と内閣のみなさんのコメディー
主人公はジャニーズの山田涼介
ヒロインは土屋太鳳
ベタベタして欲しく無いのはわかるがそれもビジネスである
山田のファンは変な人ばかりだというイメージがつくと彼にとっても損だし大人になってほしい
山田ファンは土屋太鳳になったつもりで観れば良い
土屋太鳳というよりツチブタっぽいかも知れないが豚呼ばわりされているわりには顔はスリムだからまあいいだろう
西田敏行が総理大臣役
内閣は豪華名脇役の面々
自分だったらこの内閣は支持率100%
現場は抑え目にして彼らを中心に話を進めた方がもっと良かったかもしれない
特にふせえりが良かった
岩松了にふせえりだとまるで『時効警察』
まさしくあの雰囲気あのやりとり
現場にはオダギリジョーもいるし
でも麻生久美子は出ていない
テレビドラマ版『釣りバカ日誌』の名コンビが今回の作品でも共演
でも広瀬アリスは出ていない
今回は濱田岳がイケメンに見えなくもないのは美人女優とのキスシーンがあるからだろう
しかも2人
本人は役得かもしれないが彼女らからすればやはりこれもビジネスであり冷めたものである
同じシーンに登場しないが菊地凛子染谷将太夫妻が共演
ハリウッド映画に出演したせいかDHよしこに謎の大物感
それに引き換え昔の怪奇映画に登場するようなキノコ人間と化した年下の夫
二階堂ふみが食堂のの従業員という贅沢なチョイ役
大怪獣のネーミングが『希望』というのもなんともシュール
希望の光
結局のところ光の巨人が何から何まで助けてくれる
劇作家のブレヒトは作品の中で『英雄のいない時代が不幸なのではない。英雄を必要とする時代が不幸なのだ。』という名言を残している
だがこの映画の登場人物にそういった悲壮感が漂わせるような者はいなかった
物足りなさは否めないが決して星1とか星2の作品だという評価には全く共感できないしする気もない