「怪獣映画ではありません。悪しからず。」大怪獣のあとしまつ ボールパークさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣映画ではありません。悪しからず。
【映画鑑賞同好会】
なんか一部の人たちに酷評されているとの風の噂も聞いてたので、あまりハードル上げずに臨んで、もし、ほんとに面白くなかったら、感想などアップせず、ひっそりとスルーしちゃおうかなと思ってたのですが、とんでもない杞憂でした。いや、サイコーに面白いじゃないっすか❣️控えめに言って、湯水の如くお金使ってる感満載の大味な蜘蛛男映画なんて比べ物にならないくらい、こっちの方が好きです。自分が今年観た映画では『偶然と想像』の次、堂々第二位です。勿論、き〇〇とか、生理的にどうしても好きになれないシーンがあるとか、若干お行儀の悪い笑いのツボがどうしても自分の上品さとはズレまくるとか、そもそも、怪獣出てくる時点で守備範囲外とかなら、ネガティブな感想も、理解はできるのですが、手仕事感のあるアナログ中心の表現ならではの繊細な味わいや深みを、全てのカットに感じられる希有な映画だと言うことは感じられませんでした?とお伺いしたいです。まさか、単なる、シン・ゴジラのB級版を期待しちゃったりしたんじゃないですよね?それは全然違います。物差しの置き方間違えてます。勿論、この作品、過去の様々な特撮映画のエッセンスをパクりまくってはいます。でも、単なるパクリの継ぎ足しではなく、過去の日本特撮映画の様々なエッセンスを、志しある映画職人さんたちの匠の技を借りながら、三木監督が、一旦自分の身体の中にしっかり飲み込んで消化してから、全てを自分の表現として勢いよく吐き出して、新たな表現に昇華させてます。全てのカットにそれが感じられる痛快無比な活動大写真でした。竹槍でB29に勝てるのが表現の世界です。分からない人は、ご無理なさらず、マーベルとかディズニーとかだけ観ててください。それはそれで勿論ありです。いや、僕も、ディズニー映画も、好きではあるのですよ。アナ雪泣いたし😁。そこは誤解なきよう。でも、これも観て欲しいなぁ。き〇〇が苦手でなければ。
例えば、怪獣よりも始末が悪いのは、怪獣並みの脳みその各大臣たちだと言う視点で見ると、風刺喜劇として、めっちゃ面白かったりします。最早、怪獣映画として、どうかと言う、評価枠の中からも外してあげた方がよいかという感じもします。例えば、タイトルはそのままで、ビジュアル的には生々しい怪獣を前面に押し出しつつ、なおかつ、『怪獣映画ではありません、悪しからず』、くらいの売り方をした方が良かったのではないかと個人的には思いました。
『怪獣より始末の悪い、でも愛すべき人たち!』というところが、この映画のミソだと思います。とてもよく出来た痛快無比なアクションコメディであり、めっちゃ面白かったです。