「ロングアイランド売春婦連続殺人事件と見え無い壁問題」ロストガールズ コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
ロングアイランド売春婦連続殺人事件と見え無い壁問題
内容は、場所はアメリカ🇺🇸ニューヨーク南東部に位置する高級別荘地ロングアイランド。時は2010〜2011年にかけて9人の売春婦と幼児1人の殺害遺体が発見された実際の事件を題材としたドラマ。現時点では有力な容疑者2人を捜査線上に浮上させたが事件は未解決のまま。好きな言葉は『どうせ色仕掛けでしょ?!』冒頭の主人公母メアリーの言葉。メアリー自身もシングルマザーであるし、もう色仕掛けを使えない(昔は色仕掛けを使ってたと思われる。何故なら父親が違う娘のが沢山いる為)年になった嫉妬と閉塞感をこの言葉が映画のテーマを伝えているように感じる。そして里子に出した後に殺されるシャナンにお金の工面をしてもらう場面は一連の流れが無駄なく表現されていて辛い。歌手を目指していたシャナンが貧乏な実家の家族にお金を入れるために自分の夢より、体を売る事で家族を思う気持ちを示そうとしている事が悲劇に結びつく。売りに出したシャナンにお金をせびるばかりでどうやって稼いだか聞きもしない!この時の毒親ぶりがいい感じだ。シャナンに会うよりも家庭が困窮しており、結果お金に使われている堂々巡りの貧乏からの貧困な状況と売りに出した娘でも自分の娘だと思う親心と行方不明になってからは、手段が目的に変わる姿が何とも見ていて痛い。根本的な解決策は社会的な格差や貧困にあるのにメリトクラシーなアメリカ🇺🇸の現代の病巣を見ているようです。需要があれば供給がある様に、金持ちが貧乏人を都合の良い様に扱う。生活に困れば娘を売る。その様な構図が呪われてるなぁと感じる。好きな場面は、あれだけ娘の為に頑張って探している様に見えて、その実自分の為に頑張っている様に見える事。この事が、周りの人にも見透かされる一種異様な感覚に陥る場面が何とも業が深いなと感じます。この映画を観て似たような邦画を観た事あります。それは母親が子供に祖父母殺しをさせる『MOTHER』主演・長澤まさみがありましたがそれよりもリアルな毒親ぶりが発揮されている様に感じました。その結果、最後には自身の娘に200回以上体を刺され亡くなりますが後味の悪さには現代🇺🇸のリアルを感じる作品でした。