「瞽女という存在を心に刻む。」瞽女 GOZE ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
瞽女という存在を心に刻む。
「瞽女」という存在とその文化をこの作品で知る。
以前の全盲の女性が生きる重要なひとつの道、職業であり、唄のプロフェッショナルでもある瞽女。
小林ハルさんという実在した瞽女の人生を元にしている。
一言で表すならば、壮絶…!
ストーリーはハルさんの幼少時から青年期が主で、トメさんという実母、サワさんという師匠かつ母親的存在の2人の影響を大きく受けながら、ハルさんが自立した瞽女となっていく話。
時代のせいもあるけど、ハルさんの修行時代がかなり壮絶…。
ハルさんを生きていかせるために鬼(のように厳しくしつけをする)となった母・トメさんの修行もまだ幼いハルさんにはかなりキツいスパルタだったし(指定したことができなければごはん抜き、弱音を吐けばビンタ、少年マンガも真っ青の重い荷物を背負った階段上り、雪の上を草履で歩いて吹雪の中唄わせる、など)、底意地悪い師匠に弟子入りして旅に出れば理不尽な仕打ちの数々、良いお師匠さんに弟子入りして幸せな日々を過ごしたのも束の間、意地悪な姉さんにひがみから取り返しのつかない酷いことをされる(このシーン本当に辛かったし、サヨ姉さんに心底殺意湧いた…)。
でも母・トメさんは心からハルさんのためを思う愛情から厳しくしており、トメさんのそんな姿は私がこの作品で一番心震えたシーンでもあった。
トメさんが健気に頑張るハルさんを見てこっそり涙したりしてるシーンは観てるこっちも涙が出たし、鬼として振る舞うトメさんが辛そうな顔を見せる度に(わたしが)泣いてた。ハルさんの頬をぶった手を後で震わせてるシーン、思い出しても涙出る…。影の主役はトメさん。
瞽女という存在を知る(そして心に刻む)には良い映画。かつての全盲の女性が置かれていた状況を知るにも良い。最後には小林ハルさんご本人の力強い瞽女唄も聴くことができる。
新潟でロケをしたという自然の景色も美しかった。
ただ、壮絶なので覚悟は持って観た方が良い作品。