「おおお!ムチャクチャやりおる!」タイラー・レイク 命の奪還 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
おおお!ムチャクチャやりおる!
『アベンジャーズ:エンドゲーム』のアクション監督が、同作のルッソ兄弟のプロデュースで監督デビュー。主演は雷神ソーことクリス・ヘムズワースと、マーヴェルファンには気になる要素満載のノンストップアクション。内容的には、誘拐された麻薬王の息子の救出を依頼された傭兵が、敵だらけの街から脱出を図るという非常にシンプルなもので、『ザ・レイド』とか『ガントレット』とかの仲間だと考えていい。
中盤の延々と長回し(実際には数カットを繋いでいるのかも知れない)で続く市街チェイスがアクション的には最大の見せ場で、とにかく全体的にアクションが重い。鈍い、のではなく重い。登場人物と一緒にカメラマンがビルから飛び降りるなどアクロバティックなアイデアはふんだんに盛り込まれているのだが、マーシャルアーツやパルクールを取り入れたような軽業的なスタントはほぼ皆無で、重力と痛みが刻まれたような地に足のついた描写が腹の底に響く。危険極まりない現場まで想像してしまう、力押しの快作。
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