「「まとも」な判断で人を好きになれるか」まともじゃないのは君も一緒 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
「まとも」な判断で人を好きになれるか
塾講師と生徒の恋愛練習物語
予告編で一風変わった恋愛映画だろうなと予想しつつ鑑賞
いい感じに不器用な二人がすれ違いながらも気持ちが重なっていくじれったさ、よかったです。
最近見た映画だと「花束みたいな恋をした」もなかなかの変化球恋愛映画でしたが、本作はちょっと非現実的な感じがしましたね。
清原果耶演じる主人公はまだ現実に居そうな頭でっかちこじらせ女子でしたが、成田凌の塾講師はかなり非現実的な気がしました。
自分が出会ったことがないだけで、彼のような性格?喋り方、思考を持ってる人は実際いるかもしれないけど、なんだろういかにも作られたキャラクターといった印象。
「花束みたいな~」は時代の移り変わりや、流行りものなどで現実感をマシマシにしていたけれど、「まともじゃない~」は主要キャラ4名による小さな世界でその他は極力排除してるので現実感が薄かったですね。
いかにも創作された世界、物語だと思った。嫌いではないけど。
恋愛物語にリアリティを求めるかファンタジーを求めるか人それぞれだと思うけれど本作はファンタジーとしてとっても面白かった。
少女漫画原作の映画とかだと美男美女が色んな方法で胸キュンポイントを突いてくる、また過度な演出で見ている側が恥ずかしくなる展開が多い。
正直こういった作品は苦手なのだが、本作は自分にはちょうどいい雰囲気でよかった。
昨今の一般女子中高生が見たいイケメンアイドルが出るわけでもなく、一般うけはしなさそうな感じだけれど。
何というか主人公みたいなちょっと世界を斜めに見てる若者向けの映画なんだと思う。
私は「花束みたいな~」よりこの作品が好きですね。
あんまり鼻につく演出もないし、リア充感が少なめで気楽に見てられた。
主演二人の演技もいいし、二人の掛け合いが面白かった。
いびつな二人の会話は現実離れしれしてて作り物感があったけれど、映画でしかお目にかかれないような場面だし小気味よく感じた。
成田凌はキモイ役上手ですよね、まともじやないのに意外と鋭い、さらにちらっと見せる真面目な顔とかズルいですよ。
小泉孝太郎のクズなのに憎めないキャラクターとかもよかったです、この人の演技ってあんまり見たことないけどいつもこんな感じのキャラじゃない?
誠実さと不真面目、信じたくなる真面目さと人懐っこさは天性の物だと思いました。詐欺師役ならトップレベルなんじゃないだろうか。
主人公の秋元ちゃんが先生の大野を初めて意識し始めるシーン良かったです。
二人で次の作戦考えながら歩く後ろ姿とか、まだ映画始まって30分位?だけど
「はい、終わり!完っ!」って言いたくなった。これから二人の恋が始まるんだね~って感じでもうここで終わってもいい位の綺麗なシーンでした。
いや本番はここから始まるんですが、なんか自分で勝手に一回終わらせちゃいましたね心の中で。
後半は大野をまともな普通の人間にする作戦を遂行しつつ自分の気持ちに戸惑う秋元のじれったさとかムズムズが続くけれど、二人が成長していく姿と自分の気持ちの整理が歩幅をあわせていく感じが良かった。
一目惚れもドラマチックだけど、見慣れた人をいつの間にか好きになるてのも地味だけどいい。
普段なんとも思ってない身近な人の意外な一面って魅力的に思えちゃうのはなんなんでしょうね。
森のエピソードとか聞いたら一緒に行きたくなるわ!
不器用な二人が「まとも」になろうとして足掻く、そして「まとも」ってなんなのか、それっていい事なのかを考える姿は自分にも当てはまるところがあって胸を打った。
こんな恋愛は物語の中だけって感じがいなめないけれど変に肩ひじ張る必要のない、気楽に見れるちょうどいい映画でした。
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劇中セリフより
「君が必要なんだ!・・・・・・協力してくれ!」
人生に必要不可欠な人物にはちゃんと気持ちを伝えないといけませんね。
言わなければわからない、気づいてもらえない。