「「先生、どんな感情?」」まともじゃないのは君も一緒 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
「先生、どんな感情?」
ら~ら、らららら~ら、らららら~ら、なんて。エンドテーマと一緒にハナウタしたい気分になる、すっごく素敵な映画。今んとこ、俺的には年一ですもん、これ。無茶苦茶好きですもんw
「おとなの恋はまわり道」はキアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーの「ナルシズム」をテーマにした会話劇。ひん曲がりのラブコメ。「月極オトコトモダチ」はレア設定の中で、徐々に自分の恋心を認めて行く女子のラブストーリー。最高のB級邦画です。
この2本を思い浮かべてしましまいました。
脚本と主演の2人の演技が、ほんとに好き過ぎてヤバい。劇中人格も演技も最高です。2人とも「フツー」じゃ無いです。男も女の子も、十二分にウザくてメンドクサイ。でも、はたと思った。「オレも、ツマも、もしかして、もっとめんどくさくてフツーじゃないことないか?」
予備校の、成田凌と清原果耶の正面激突がツボに入りまくりでニヤニヤしてしまいます。成田凌の返事に、いちいち頭抱えたくなります。清原果耶のツッコミが、こちらのハートにもグサって来ます。「あー、何か、それ、言われたことあるw」
「かすみ」「もう一回」「かすみ」「もう一回」「かすみ」「もう一回」
もうね、この辺りの清原果耶の可愛さが半端ないです。
メリハリ付けてリズム感を感じさせる時間感覚。軽くても刺さる言葉。予備校講師である大野の生き方と価値観への共感。
最後にわかるんです。
スタート時点の「フツー」は「幸せ」の読み替えであったことが。いや、2人の中では脳内変換後だったってことが。
だから。映画タイトルは「フツー」じゃなくて「まとも」なんだと。
普通(まとも)になる事に、何の意味も見出せなくなった2人の関係は、友達だとか、恋人だとか、普通の言葉では定義できない。まぁ、幸せになるのに、誰が決めたのか分からないルールに従う必要も無いよ。って事で。
「グフフフッツ」
「いや、その笑い方気持ち悪いって」
良かった。とっても!
-----------
3/22
21日に2回目を見てしまいました。夜、遅い回だったとは言え、観客2名です。これは先行き不安だすw
ところで。パンフ買ったんですが、¥800-の。小さすぎ、軽量すぎ。と言う事で、あまりパンフを買わない私が持っている、他のものと比べてみた。
まときみ=102g
シンエヴァ=366g
鬼滅=274g
マイルスデイビス-クールの誕生=128g
シンエヴァの1/3にも満たないんですよ、これが。内容的には文句ありませんけど、ちょっと「定量的」に比較してみたかっただけ。パンフを質量で比べるのも、変な話なんだけどw
----------------
3/23 3回目
お客さんは3人。やった、1人増えた!
けど、もっとひと入っても良い映画なんだけどねw
やっぱり、愛おしい映画です。単館B級感覚も、すごく好きw
星も修正だす!
------------
3/25 4回目
「実は、大野と美奈子が一番上手く行くんじゃない?相性も最高そうじゃん、二人とも魅力的だし!」と言うところも、物語りの魅力を引き立てたと思います。美奈子に「元のさやに収まった理由」を説明させなかったところも、後味の良さにつながってて。脚本が最高に気が利いてるし、計算されてて、足立紳さんを更に良くした印象を持ちました。高田亮さん、追っかけ確定ですw
4回目にしても、飽きるどころか、森から立ち去る二人の後ろ姿が愛おしくてたまらないってのは。これ、やっぱり良い映画です。
よほどの事が無い限り、今年の邦画の年一はこれだよ!
って言う映画がある年に限って、後半にドカーンって言うのが来るんですよねぇw
-------------------
4/1 追記
大野の言葉と考え方は、この語りに現れます。
「森の中は調和が取れており変化もある。数学はすでにある法則の一部を解明しているだけに過ぎない。人の社会も同じ。沢山のルールに縛られている様に見えるけど調和と変化のためには必要なのかも知れません。」
「たくさんのルール」は調和と変化のために必要なこと。そこで生活することが「普通」になるという事。
かすみが宮本に傷つけられたと思い込んでいる大野の悟性は、かすみの言葉に過剰に反応してしまいます。
「普通は何かを諦めるための言い訳なのか。俺は君のことを傷つけたアイツのことが許せない。」
美奈子の困惑した表情を見ながら、冷静さを取り戻した大野は、概念の内在的な発展を自ら感じつつ、こう言います。
「あなたがそれで良いんなら良いんです。それが普通なんでしょうから。サヨウナラ。」
かすみは「友達」ってのとは違う。「恋人」は言い過ぎ。でも、彼女を傷つけた奴は許せない。でもって、最初から好きだった。「普通は」女の子を連れて行かない様な定食屋だけど、彼女が行きたいっていうなら良いか。普通になるのも止めたんだし。
「全部ウソ」だと言われ、うろたえる先生。「さっき好きだって言ったのもウソ?」
常識も無く、人とのコミュニケーションの取り方も知らず、孤独死に向かっている様にしか見えなかった男ですから。それが、世間一般で言うところの「恋愛感情」であると気づくだけの悟性は、まだ身に付いてないと思われ。
聞いてみたいよね、彼に。
「どんな感情?」
こんにちは。
お金をかけなくても、優れた脚本、優れた俳優さんの素晴らしい演技(あの、テンポの良い掛け合いは、凄かった・・)があれば、原作がなくても面白き映画は出来る、と言う事を久し振りに思い出させてくれた作品でした。