「観た後にはタイトルのイメージが変わる」まともじゃないのは君も一緒 shironさんの映画レビュー(感想・評価)
観た後にはタイトルのイメージが変わる
「どうしよう。この映画をお守りにしたい!」自分でもいったい何を言っているのか?と思うけれど、見終わった直後に湧き上がった率直な感想なので仕方がない。
おそらく、疲れた時に何度も見返したい気持ちが高じて「なんなら常に身につけておきたい!」と、イメージが飛躍したのではないかと思われます。(^^;;
実際、映画を手のひらで持ち運べる時代ではありますが、映画は出来るだけ映画館で観たい派の私を狂わせる程、心地良い映画です。
とにかく成田凌くんが可愛いくて、声にだして笑えて、気がついたら泣けていました。
▼心のメンテナンスコースはこちら▼
・まずは笑いでコリをほぐす
・固定概念をスッキリ洗い落とす
・心にたっぷり潤いを与える
◾️まずは笑いでコリをほぐす
・テンポの良い掛け合い
ニュアンスが読み取れない男と具体性に欠ける女の会話がこれ程面白いとは!
つまずくポイントが細かすぎて、会話が全く進まないww
役者さんの息の合った演技が素晴らしいのはもちろんですが、カットバックのテンポが小気味良い!
想像していた以上に心理のズレが面白くて、声に出して笑ってしまいました。
声に出して笑うとスッキリしますよね〜。身体にも良いらしいし。d(^_^o)
それに緊張していると笑いは生まれにくいと聞きました。
有名なコメディアンと無名なコメディアンが寸分違わないネタを披露した場合、有名な方がウケるのは「知っている」という安心感で体に笑う準備が出来ているからだそうです。
つまり自然に吹き出してしまったということは、体が安心してリラックス出来た証拠。
そして一度笑えてしまったら、あとは雪だるま式に面白さが転がり出します。
はい。お察しの通りコメディ至上主義者です。泣かせるより笑わせる方が難しいと思っています。
笑いは突き詰めると人の不幸で出来ているので、ポリコレに配慮してブラックな笑いやトンがった笑いが難しい昨今、ディスコミュニケーションだけでもこんなに笑いが作れるんだ!と希望が持てました。
それに年齢より高校生かどうかを気にするくだりでは、笑いに昇華させながらマスコミ報道のイメージ操作にもチクリ。
ある意味時事ネタとも言えますね。大いに笑わせていただきました!
・作り込んだキャラクター
とにかく成田凌くんが、可愛いくて、可愛くて…とてつもなく可愛い!(≧∀≦)←語彙貧
遅ればせながら『窮鼠はチーズの夢を見る』で成田凌くんの可愛さにハマった私ですが、更に輪をかけてハマりましたっ!!( ̄^ ̄)ゞ
『愛がなんだ』『カツベン!』では、そこまで良さがわかっておらずお恥ずかしい限りなのですが、それでも「ものすごくナチュラルな演技をする役者さんだ」ということは感じていました。
今回の役は、かなり作り込んだキャラクター!なのに自然体。
自然体に見える演技が素晴らしい。
生理的に無理なきわどさを突きながら、笑わせてくる。
簡易度の高いコメディー芝居も出来るなんて。無敵かよ(≧∀≦)
もちろん、仔犬のようなお目目に、甘い響きの低音ボイスも健在。
それに加えて、待っている立ち姿の可愛さよ。(*´∀`*)
佇まいの所在なさで笑いを取れるところもコメディアンとして高ポイント!(私にとってはかなり大事)
変わり者だけど真剣で愛おしい。魅力的な人物像で笑わせてくれました。
◾️ 固定概念をスッキリ洗い落とす
掛け合いが良い!…って、さっきも書きましたよね(^_^;)
いや、笑いの話しだけではなくて。
会話をしていて何度も聞き返されると疲れますよね。
こっちが言った言葉をそのまま聞き返されると確かにムカつく。
聞く方も聞き方が大事で、理解出来なかったからと言って、ただ同じ言葉を聞き返すのは不親切だし失礼。
コミュニケーションというのは相手への思いやりに尽きますね。(。-_-。)
で、聞かれた方も聞かれた方で、実は具体性を持たないで話している事の多さに驚きました。(だから、そこをつっこまれると余計に腹が立つ)
それに、何気なく使っている言葉も、ニュアンスでわかった風でいたけれど
大野が言葉の意味を真摯に追求する姿に、笑いながらハッとさせられました。
キラキラした言葉の中身のなさ。(発する側の理解不足もありますが)
曖昧な言葉や漠然とした表現は、聞く側に真意を読み取る負荷をかける。
そんな言葉達に翻弄されて疲れ果て、かといって大野のように直接真意を聞くのは大人じゃない気がして、じんわりとストレスだけが溜まっていき…いつしか上辺だけでスルーする事に慣れてしまっている自分に気づきました。
そう感じると、次から次へと言葉が引っかかってきます。
「普通は〜だから」
いっけん、価値観の共有や一般常識を解いているように聞こえますが
相手に向かって言えば“価値観の押し付け”だし
自分自身に向かって言えば“諦めの言い訳”になる。
目から鱗の発見の連続でした。
◾️心にたっぷり潤いを与える
大野から美奈子への問いかけが、深く心に残りました。
「それでいいのか?」
人の心は複雑怪奇で、その時点の答えを見つけていくしかない。
いい大人が自分を変えるのは難しい。(いい大人って?)
もっと言葉に敏感になって、丁寧に伝えようと感じる一方で、全く同じ言葉でもニュアンスで意味が変わることもあるし、受け取る側の心理でも変化する。
解釈のゆらぎを楽しむ面もあるし、解釈のゆらぎで救われることもある。
言ってほしい時に言って欲しい言葉ってあるし、酔ったフリして吐き出す言葉は聞いて欲しいだけの甘えで、ただただ共感してほしいことだってある。
表面だけでは計り知れない複雑さがある。
実は美奈子もサポートに生き甲斐を感じているのかもしれないし、影から操りやすい男を選んでいるのかもしれないし、やっぱり惚れているのかもしれない。
そもそも、感じたことをそのまま相手に伝える言葉があると思うこと自体が乱暴で、
そんなことが出来ると思うのは傲慢な気がしてきました。
何度も何度もコミュニケーションして、揺らぎを微調整して関係性を作っていく。
それは根気のいる難しい作業だけれども、合うか合わないかで簡単に切り捨てないで、お互いの関係を育てていく行為がきっと愛なんだなぁ。
恋人だけでなく、家族も友達も。社会も国も地球にも。
自分も自然界の一部だと意識する謙虚さと、何一つ無駄な事のない自然界の調和に身を委ねる心地よさ。
“まとも“の呪縛からも承認欲求からも解放される瞬間でした。
多様性を高らかに歌い上げるでもなく、女性の社会進出へのハードルを嘆くでもなく、エコロジーを呼びかけるでもないけれど、
一人歩きしがちなワードに振り回されずに、原点に立ち戻って見えてくるシンプルなものを根気よく育てていけば良い。
それなら私にも出来そうだ。
自分でも気づかないうちに背負っていた肩の荷を下ろしてくれて、気持ちがリフレッシュされる映画でした。
はい。ではこちらで全コース終了になります。(←ツッコミポイント)
お付き合いくださり、有難うございました。
素晴らしい脚本と素晴らしい演出。
仕掛けも楽しくて、鑑賞前と鑑賞後では『まともじゃないのは君も一緒』から受ける言葉のイメージが真逆に変わっていました。
『婚前特急』のコンビでしたか。
かなり好きな映画ですが、その後追えていませんでした。
実は『わたしのハワイの歩きかた』公開当時、私が主催している映画部のアンケートで男性の部員さんが薦めてくれていて
男性がオススメするなんて意外…と感じたのですが
あの時、見ておけば良かった〜〜。(>_<)
男も女も関係なく楽しめる映画だったに違いない。
自分の固定概念に激しく後悔。
これから注目します!
部員さんの中には、昼休憩を利用して1本の映画を3〜4日に分けて観る猛者もいて、作品の事を思うと胸が張り裂けそうですが、
いろんな娯楽がある中で、そこまでして映画を観てくれる気持ちが嬉しかったり☺️
手のひらサイズで観て「つまらない」と評価するのは乱暴な気がしますが、“別物”だと認識したうえで、沢山の方に観ていただけると良いですね。
劇場映画を配信する時は、テレビぐらいのレンジに落としたバージョンに作り直すそうです。
細やかな音の演出が削られる〜😭
おっしゃる通り“別物”です。
それに、劇場で観た映画は記憶の残り方が全く違う!
とは言え…いろんな事情で劇場に足を運べない方にとっては有り難い。
私自身15年程映画が観られなかった時期があるので。
⇒よく太る良太さん、コメント有難う御座います。
ほんとスッキリしました〜!首マッサージの後に視界がクリアになる感覚にソックリで、確かに安いかも。笑
『ようこそ映画音響の世界へ』のトークショーで初めて知ったのですが、劇場のダイナミックレンジが0〜120だと、テレビは7〜10しか使っていないらしく…
どんどん自分の内側にダイブする感覚が面白くて、レビューを書くようになってから映画の見方が変わった気がします。
書きすぎるのも野暮だと思いつつ、今回はテンションが上がってどうにも止まりませんでした😆
ネタバレありなら、もっと書きたいことが。笑
⇒サプライズさん、コメント有難う御座います。
考察だなんて恐れ多い😅
クソ長い駄文を読んでくださり感謝です。
レビューを書く作業は、自分が映画とどう向き合ったかを深掘りしていく作業かな?と感じています。
面白かった!→どこが?
感動した!→なんで?
素晴らしいレビューですね!
ひとつの映画でここまで考察できるとは...私はもっと勉強しないといけません笑
にしても最高の映画でしたよね!またまた成田凌が好きになりました