「望みと絶望のルーレット。」望み bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
望みと絶望のルーレット。
と言うか。どちらに止まっても、絶望と希望がセットで当たります。イヤやな、それ…
もうね。堤幸彦劇場ですもん。高高度からのドローンで始まって、最後もドローンでサヨウナラ。これだけで堤幸彦だって分かるからw
ってのはさて置き。
望みはある。あるところには、ある。
どんな形でも良いから生きていて欲しい。これは母の希望。どんな結果になっていようとも、人殺しなんてしないでいてくれと言う父と妹の希望。
結果として、正義感の強い優しい子であり続けた事が、残された家族の生きる希望になった。
と言う話。
マスゴミはゴミ。正義感を振りかざす一般人もゴミ。雑誌記者はゲス。かと思いきや。記者のホンネが意外にも面白かった。
画のデフォルメVFXには好き嫌いがあるかねぇ。夕暮れの室内とか作り過ぎ、ちゃうかと思うけど。「映画音響の世界」を観た翌日だったので、結構集中して「音」をチェックしてしまいましたが。緻密ですねー、ものすごく緻密に作り込んでる!この世界、日本人向きなんかも知れないと、ちょっと感動してしまいましたw
過剰演出も、語り過ぎも排除で、生きる希望を淡々とした演出で見せてくれる堤幸彦劇場。安定の品質でした。っとくらぁ。
役者さんも揃って好演。清原果耶は相変わらず天使だけど普通でしたが、石田ゆり子さんには、最近、何か降りて来てる感があるw
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10/12 ちょっぴり追記
「生命のあるかぎり、希望はあるものだ。」
(スペインの小説家セルバンテス)
「人は希望なしには一日も活き得ない。」
(宗教学者 姉崎正治の言葉)
「生より尊いものがあろうか!なにもないのだ、なにも!」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』より)
母親の立場は、「ある種の宗教」的。母性に隠蔽されたテーマ性も感じます。
ちょっとドストエフスキーで攻めるw
「神と悪魔が闘っている。その戦場こそが人間の心なのだ。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
妹ちゃんが父親にだけ漏らした本音。
「人生はすばらしい。醜悪だったのは我々の方なのだ。」
(ドストエフスキー『作家の日記』)
息子は悪いことはしていないと確信した時の父親の気持ち。
「私たちはどうやって滅ぶか。愛なきため。」
(ゲーテ)
「地獄とは、愛のない生活のことである。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
「愛」を「望み」に置き換えてみると、この映画の主題になるんじゃないでしょうか。
ちなみに。
「人類を愛することは簡単である。しかし隣人を愛することは容易ではない。」
(ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』)
わかります。だから、人類愛や地球愛を掲げながら、隣人を攻撃し、分断と対立をあおる人が後を絶たないんですねw