劇場公開日 2021年2月27日

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「アドリブ」DAU. ナターシャ Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0アドリブ

2021年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「DAUプロジェクト」の16本(?)ある内の1本にすぎない本作品は、「衣装4万着、1万2000平方メートルのセット、主要キャスト400人、エキストラ1万人」という宣伝文句とは、全く無縁の内容であった。

始まってすぐ、変だと気づくのは、ナターシャとオーリャの会話がかみ合っておらず、しかも、いつ果てるともなく続くことである。
2人のつかみ合いのケンカも、何だかおかしい。
監督との“オンライントーク”によると、シナリオはなく、演技者の言葉を“自然に”記録したという。
つまり、状況を設定しただけで、具体的な台詞はアドリブ(即興)だったらしい。

ということは、性交シーンも自由にやらせた可能性が高い。
ちなみに、本作はポルノであるかを巡って、ロシア文化省と係争中だそうだ。(刑事罰で6年?)

“ハプニング”を取り入れる手法は面白い。
後半のKGBの尋問シーンだけは、アドリブのおかげで、奇妙にリアルになって、成功していると思う。
しかし、例えば映画「エレファント」(ガス・ヴァン・サント監督)の場合のアドリブと異なり、この作品は基本的に会話劇である。
台詞にこそ意味があるのに、アドリブに任せるとは、何という無謀な試みであろうか。
それこそが、「DAUプロジェクト」の本質なのか・・・?

この映画は、結局、139分かけて、“ナターシャという女の乱痴気騒ぎ”を描いただけになっている。
別に観たくもない映画だった。劇場公開は、日本が初めてというのもうなずける。

Imperator