「選挙っておかしいんだなぁ」なぜ君は総理大臣になれないのか ぽほぞんさんの映画レビュー(感想・評価)
選挙っておかしいんだなぁ
よくよく目を向けてみれば、政治活動とは歪なことばかりだ。
時代錯誤な選挙カーや、ポストイット。家族まで巻き込む広報活動。
誰にくっついていくか?民主主義では大事だが、自分の正義を蔑ろにしてはいけない。発言力の強い人についていき、自分の正義を押し通すなら徒党を組むほかない。まあ、この社会ではぜんぶそうなんだろうけど
小川じゅんやはとても魅力的な人間だと思った。
彼は政治家に向いていないのではないか?
それがこの映画のテーマだった。
我々の想像する政治家像は、強かで、嘘つきだ。
彼は強かでも嘘つきでもなかった。
どんな質問にも真っ向から向き合い、ギリギリのところで踏ん張りながら、前を向いた答えを返していた。
もっと上手くやれるだろう、とは思わない。
ただ、政治家ならもっと口先で民衆を丸め込めるのではないか、と感じる。
彼は本当に世の中を変えたいのだ。変えたかったのだ。
しかし、政治の現状が彼を打ちのめし、ときに無力感に駆られていることが見てとれた。
2003年、初めて選挙に出た彼は青臭く、生き生きとしていた。
しかし、現在の彼はどこか疲れて見えた。
当然だと感じた。それくらい、政治家の活動というのは私から見て、世の中を変えたいと思えば思うほど無力感に駆られるものに映ったからだ。
娘です。とタスキをかけて、自分の知り合いもいるだろう商店街を駆け回ることは、どれほどの忍耐が要るだろうか?
政治と聞くと、どこか他人事に感じる。私自身、とても強くそう思う。政治に関わっているなんて、異端だと周りから見られる。そんな社会は異常だ。きっと小川じゅんやもそう思っている。そう思っているからこそ、32歳でエリートの人生を捨ててまで、若者達に啓蒙しようとしたのだ
その思いはこの映画を観た1人の若者として、腹の奥に残しておきたい。