劇場公開日 2020年6月13日

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「井戸塀政治家・ですら、ない。」なぜ君は総理大臣になれないのか お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5井戸塀政治家・ですら、ない。

2020年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

小川代議士は、保守王国の四国・高松で、地盤も看板もカバンもなしに強力な自民党現職に挑み続けてきた代議士です。

50歳までには総理大臣になる、と宣言して32歳の時に初当選。
ただ、もうすぐ50歳に手が届く今でも、野党でくすぶっています。

小川氏は、というか、多くの人間に共通する点でもあるのですが、ウソをつく時や、どう誤魔化そうかと考えている時、左側に視線が泳ぐという共通の特徴があります。
画面で言えば右側に視線を泳がせながら小川氏が何かを話している、そんなシーンがけっこうあるので、この点を注意深く観察すれば、人間ウォッチングとして楽しめます。

一般的な政治家では、このような眼の動きを見せる人は少ないので、そういう意味でも小川氏はプロではなく、素人っぽさが抜けないままの政治家なのでしょう。
だから君は総理大臣にはなれないのだよ。
私はそう思いましたが、監督や小川氏自身はこの点に気がついていないのかも知れません。

「井戸塀政治家」というのは政治を志す者の一つの理想の姿だと思いますが、この言葉の意味を小川代議士には噛みしめて欲しいと思ったのでした。
つまり、たくさんの個人資産を自分の理想の政治のために注ぎ込んで、最後、家屋敷もなくなり、井戸と塀だけが残ったという状態を、尊敬の念を込めながら揶揄するのが「井戸塀政治家」という言葉の意味。
最初から無資産の小川代議士は、失うべき井戸も塀すらも持ち合わせていないじゃないか、ということなんですが。

もちろん、政治で蓄財するなんてのはもってのほかなので、清貧を貫く点だけは小川氏を高く評価できる点です。
ただし、のちに「党首の生活が第一」みたいな名称の政党を作った蓄財王「お縄先生」とのニアミスが存在するはずなので、そういう点についても知りたかったところですね。

ドキュメント映画ではあるものの、監督が取捨してしまった側にこそ、いったいどんなエピソードが隠れているのだろうと気になりました。

お水汲み当番