「舞台を知らなくても楽しめるノンストップドタバタコメディ」シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! つばささんの映画レビュー(感想・評価)
舞台を知らなくても楽しめるノンストップドタバタコメディ
実際の舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」のことは知らず、その舞台が出来上がるまでの話らしいということを知っても特に前情報を入れずに観たけど、問題無く楽しめました。
時代背景や美術に衣装、ちょっとファンタジックな劇伴等、個人的に大好きな要素が重なったってのもあるけど、かなり面白かった!
話としては、19世紀パリの売れない劇作家エドモン・ロスタンに大物俳優の主演舞台を手がけるチャンスが舞い込むが、上演まで3週間、決まってるのはタイトルだけ!という状況を、アホなイケメン友達の恋仲を取り持つという体で勝手に相手の女性と文通を始め、そのやり取りにより執筆が進み、様々な困難が訪れるもの個性豊かな登場人物たちと一致団結して舞台を成功させる話し。
三谷幸喜ばりのドタバタコメディって感じで、テンポ感が抜群に良く最後まで飽きることなく鑑賞出来た。
舞台俳優陣の個性もさることながら、とにかくオノレ亭の黒人亭主オノレがめちゃくちゃ良かった。
謎のスケット外国人みたいな立ち位置で、実際何者なのかはよくわからなかったけど、舞台から締め出され落ち込んでるみんなを鼓舞するシーンはかなり痺れたね。
(他の方が書いてらっしゃいましたが、オノレ役の俳優さんは既に亡くなられているとのこと。悲しい。彼の活躍をもっと観たかった)
あとコメディ的な面白さ以外で個人的にめちゃくちゃ良かった点が2つあって、一つはバルコニーのシーン。
実際の舞台でも人気のシーンらしいけど、これがなんとも素敵で胸を打つセリフの数々で、わたくしもう30過ぎのおじさんですがときめいてしまいました。
「ロマンティック」とは正にこういうことか。
しっかりオチがついてるのも良かったね。
そして最後の5幕のシーンに完全にやられた。
ここまでのドタバタな勢いから一転、舞台上で行われていた演劇は舞台を超え実際の教会へと移り変わる。
その切り替わり方が絶妙で、息を飲むとはこういうことかと思った。
そして優美で穏やかな教会の中庭で最期を迎えるシラノ…
「役に乗り移る」という表現をここまで的確に表した映像は初めて観た気がする。
最後は拍手喝采で幕を閉じそのままエンドロールへ。
最初から最後まで気持ちの良い映画でした。
なんていうか、「シラノ・ド・ベルジュラック」という舞台作品を、成り立ちを含めて描いてる感じで、舞台として観せていないのに舞台の内容がしっかり分かる、その構成が凄く良かったな。上手かった。
そんな感じでした。
実際の舞台も観てみたいな。
なかなかの傑作!
101本目
iwaozさん
コメントありがとうございます!
>「観客への物語の没入感」
あ〜!まさしくそれです、それも書きたかったけど上手く書けてなかったですね…追記しようかしら…笑
物語に引き込まれていく感覚の表現が本当に凄かったですよね。
あまり話題にはなってなさそうですが、良い映画でした!
共感至極です。自分も久々にコメディで大興奮出来ました。(^。^)
第5幕の件ですが、「役に乗り移る」感もそうですが、「観客の物語への没入感」も現しているのではないかと感じました。^^;
最初は、舞台が観えてて、役者の演技がいいな、とか役者やセットが見えているが、どんどん物語に引き込まれると、観客一人一人が完全に物語の中に引き込まれて、本物のシラノやロクサーヌを見ている感覚!すごく良かったですね