劇場公開日 2020年12月25日

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GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生 : 特集

2020年12月21日更新

“驚きの世界”を知る映画が見たいならコレ!
94歳のおばあちゃんは、小学校を卒業できるのか?

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映画はときに、どんな物語よりも興味深い“驚きの世界”を私たちに見せてくれます。12月25日から公開される「GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生」は、“事実は小説よりも奇なり”ということわざがよく似合う鮮やかなドキュメンタリーです。

「世界の果ての通学路」のパスカル・プリッソン監督が、世界最高齢の小学生こと94歳のおばあちゃん・ゴゴ(アフリカはケニア在住)に密着。通い続けた小学校の卒業試験を受ける姿を追い、私たちが知らなかった世界をつまびらかにしていきます。

ゴゴのチャーミングさや“学び”への信念、あまりにもダイナミックなアフリカの学校行事、そしてキャラが濃すぎる関係者などなど。見れば知的好奇心が刺激され、ほっこりと笑えて、大切なメッセージが心に残る……そんな本作の見どころをご紹介していきます。


【予告編】子ども3人、孫22人、ひ孫52人。それでも私、小学生です。

【見どころ解説】 世界最高齢の小学生に密着!
どんな生活?卒業できるの? “知る”ができる良作!

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[興味をそそる題材]
94歳のおばあちゃん、小学校の卒業試験に挑む

ケニアの小さな村で暮らしてきたプリシラ・ステナイ。3人の子ども、22人の孫、52人のひ孫に恵まれ、助産師のキャリアは75年を誇り、皆からゴゴ(おばあちゃんの意)と呼ばれる人気者です。ある時、彼女は学齢期のひ孫娘たちが学校に通っていないことに気づきます。

自らが幼少期に勉強を許されなかったこともあり、教育の大切さを痛感していたゴゴは一念発起。周囲を説得し、6人のひ孫娘たちとともに小学校に入学します。

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ケニアの小学生というと、数十キロ先の学校に走って通う、そんなエネルギッシュなイメージがあります。事実、プリッソン監督の代表作「世界の果ての通学路」では、殺人ゾウが跋扈するサバンナを命がけで走り抜けて通学する少年たちを映し出し、日本でもスマッシュヒットを記録しました。

一方で本作のオープニングは、小学校の制服を着たゴゴが、ヨロヨロと家を出てくる場面からスタート。トラックの荷台に乗り込み、いざ学校へ! と出発しますが、荷台に屋根はなくシートは見るからにカッチカチなので「大きな段差でガックンとなったら、ゴゴは大変なことになるのでは?」とハラハラが止まりません。こちらはこちらで、通学は命がけ。

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“おばあちゃん小学生”という、真逆の属性が手を取り合った強烈なインパクトが最大の見どころ。ゴゴは80歳以上も年の離れた子どもたちと一緒に授業を受けますが、聴力も視力も衰えているからか、簡単な掛け算や英語にも悪戦苦闘。普通だったら「やめた!」と投げ出したくなる勉強の日々を、彼女が続ける理由とはなんなのでしょうか?

本作はゴゴが卒業試験に挑む姿を通じ、“その理由”を探るとともに、私たち日本人の胸にも突き刺さるメッセージを映し出していきます。

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女優でユニセフ親善大使の黒柳徹子さんは、本作に対してこんなコメントを寄せています。

「痛快だし勇気が出る。ケニアに住むゴゴは、牛の世話に追われて小学校に行ってなかったことを悔やむ。小学校に行こう! 94歳のゴゴは、小学校に通うことにする。同級生にひ孫がいる。修学旅行もバスで行き、キリンを見る。必死で、2×3=6と勉強する。94歳のゴゴはスゴイ!」


[知らない世界を知られる]
アフリカの小学校、行事がダイナミックすぎる問題

学校行事が映し出される場面は、鑑賞していてひたすら驚かされます。なにしろ、そのスケールがものすごい!

ゴゴが通う小学校“リーダーズ・ビジョン”の最終学年には、1週間の修学旅行が用意されています。どこへ行くと思いますか? ゴゴたちがクラシックなスクールバスに乗ってやってきたのは、なんとサバンナ! ケニアからタンザニアまで広がる巨大な大地溝帯で、のんびりピクニックを始めます。

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子どもたちは遠く広がる遥かな大地を見渡し、「ライオンいた?」「あ、キリンだ」と大はしゃぎ。バスで移動すればそのへんにライオンが寝転んでいる“リアル富士サファリパーク”状態ですし、夜は猛獣たちが雄叫びをあげる平原で寝泊まりします。日本の修学旅行とは比べ物にならない壮大すぎる行事に、もはや笑いがこみ上げてきます。

また、サラリと職員室が映し出されたりしますが、鑑賞していて「アフリカの小学校の職員室をしっかり見るのは初めてかも」とハッとしました。こうした“知らない世界”を映した一連のシーンは、きっとあなたを驚かせ、「もっと知りたい!」と知的欲求を掻き立てるはずです。

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[キャラ強すぎて笑う]
容赦ない先生、謝り上手な大工、おちゃめな親友

インパクトがあるのは学校行事だけではありません。ゴゴをはじめ、登場する人々がことごとく“キャラが強い”のです。

まずは小学校の女性教師。しばしばゴゴの補習を行いますが、そこで投げかける言葉がめちゃくちゃ厳しいんです。問題に答えられないと、「もう1年、小学校に残りたいの? もっとがんばらなくちゃダメよ」。

とはいえこれはイジメではなく、強い信頼関係と職務上の信念があるからこそ。50~60歳ほど年上で、しかも村の長老と同じかそれ以上の発言力を持つゴゴに忖度することなく、教師が生徒を導くために全力を尽くす……女性教師の姿勢が、本作のメッセージのひとつを象徴しています。

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また、ゴゴの働きかけで学校に新たな寄宿舎が建設されますが、そこで働く大工も印象的です。工事の遅れを激詰めされた際には、「ごめんよゴゴ! でも雨が降って仕方なくて。これから人員を増やして、2週間後には必ず完成させるよ」など、謝罪と原因と期限込みの対応策を即座に提示。論理的にモンスター・クレームを退け、現場とスタッフを守ります。う~ん、これは理想の上司。

さらに、ゴゴの同年代の親友もおちゃめ。彼女が小学校へ通うのを見て「私も来年、絶対に入学するんだ」と瞳を輝かせたり、とても応援したくなる人物です。ぜひ、この方の動向に注目してみてください。

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そしてもちろん、ゴゴもキャラが強いです。まずは授業中に「4×3は?」と聞かれ、答えがわからないので「ん? なんて?」と耳が遠いふりをしてすっとぼけます。続いて筆記試験の最中、隣のクラスメイトに堂々と「これの答えはなに?」と聞いて先生にキレられたりと、ひたすらチャーミングです。

あと94歳ですが身長は180センチ超。でけえ……。また彼女の一族は非常に長寿で、2人の兄も存命で100歳を超えているそうです。クセが渋滞しすぎている。

マスクをつけたゴゴ ビジュアルが強い
マスクをつけたゴゴ ビジュアルが強い

[映像が美麗で壮大]
「世界の果ての通学路」監督の巧みな手腕

監督は、前述の「世界の果ての通学路」や、マサイ族を主人公にした異色スペクタクル巨編「マサイ」などで知られるパスカル・プリッソン。世界的に名のしれた“匠”が計算に計算を重ね、極上の映像世界を創出しました。

アフリカを映すドキュメンタリーというと、弱肉強食のハードな世界を想像する方も多いのではないでしょうか。しかし本作は、鮮やかな“色”が弾ける映像美が堪能できます。

パスカル・プリッソン監督(右)
パスカル・プリッソン監督(右)

リーダーズ・ビジョンの生徒たちをはじめ、ゴゴが手助けする妊婦さんにいたるまで、登場する人々のファッションはみな鮮やかで上品。衣服や風景や動物たちや子どもたちなど、画面は隅々まで目を引くもので埋め尽くされ、アフリカの大地の環境音も心地よい――。

目と耳で感じられる諸要素は、大スクリーンと良質な音響で鑑賞すると、魅力が何倍にも膨れ上ります。ドキュメンタリーですが、実は映画館向きの作品なんですよ。

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[テーマは…]
小学校生活で示される“学び続ける”大切さ

最後に、本作の最も重要なテーマの一端をご紹介。作中、ゴゴは「この世にいる限り、助け合うんだ。そして学ぶ」と繰り返し語ります。長い人生経験を積んできた彼女は、互助や知識こそが世界を変えることを誰よりもよく知っています。

だからこそ、(たとえ生きるうえで不可避の選択だったとしても)自身が教育を受けられなかったことで、娘や孫たちにも教育を受けさせられなかった現実が、我慢ならなかったのでしょう。

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ゴゴの挑戦の原動力は、おそらく“後悔”。あと何年生きられるかとこぼしながらも、目の前に横たわる現実を変えるため、悠然と四則演算に取り組むのです。彼女のそんな姿を見ると、不思議と体の底から力が沸いてくる気がします。何歳になっても学びは始められる。大切なのは、学び続け、得た知識によって世界を変えることなのです。

本作を見れば、きっと“あなた”のなかで何かが変わる。「自分も頑張ろう」。ポジティブな勇気と活力が胸を温めるのを感じながら、劇場をあとにできる一作です。

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