「余生」キング・オブ・シーヴズ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
余生
なんというか中途半端な感じもしなくはない。
案外簡単に金庫破りは成功するし、その後のイザコザも緊迫感満載と言うわけでもない。
爺さん達が達観しすぎてるのか…そうそうアタフタする事もない。
クライムストーリーとしては至極退屈ではある。
ブリティッシュなジョークもピンとはこない。原本がそうなのか和訳の弊害か、結構支離滅裂な会話なのだけれど、誰も気に留める素振りはない。
ただ、老俳優達の気負いのなさは目を見張るものがある。結構な会話劇ではあるものの、芝居を見てる感じは薄い。それが返って緊張感を削ぐ要素であるのかもしれない。老練な名俳優達の仕事を堪能するのが、正しい鑑賞の仕方なのかもしれない。
ラストシーンもそうなのだけれど、結構な裏切りがあった割には、皆仲が良く見える。
ジョークを交え談笑しながら裁判に向かう。
その空気感たるや中々に見応えもあり…アレは若い俳優達には出せないものなのだろうと思う。
命への執着が薄いというか…結局、この後何が起ころうとも、どうせ棺桶に片足突っ込んでる俺たちだ、みたいな。
案外、爺さん達の暇つぶしが動機だったのかもしれない。ただ、ちょいとニヤリとするのが「警報機のスペシャリスト」の存在だ。
ホントにいたのだろうか?
それこそ、老い先短い爺さん達の置き土産ではないけれど、遺産としてどこかに隠されているのかもしれない。
全く関係のない昔の作品を、それぞれの若かりし頃として本作に引用できたりしちゃうとこは、さすがの経歴と感嘆しつつも面白い。
そんな事を考えると同窓会なような気もするし、一風変わったコメディと捉えるのもアリなのだろう。