「父のもとに集まった結果、それぞれの心を解放することができた。」海辺の家族たち jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
父のもとに集まった結果、それぞれの心を解放することができた。
原題「別荘」。父の暮らした海辺の村の別荘。倒れた父親のもとに久しぶりに集まった兄妹は、それぞれに事情を抱えているようだ。前知識なく見たのだが、父の今後を話し合うというより、それぞれの自立と心の解放がテーマだった。
見捨てられた村の展望、ご近所とのつきあい、老後の生き方、家族の在り方、難民問題、そして自分自身を見つめる姿勢など、少しずつではあるが大きな問題が盛り込まれておりどれも解決策は見つけられない。それでもそれぞれが自分の信じるやり方で前進していくであろうラストは希望が持てる。
1点だけ気になるカメラの視点が気になった。父親がタバコを灰皿に捨てた瞬間に倒れるのだが、その後灰皿がアップになり空へパンする。この灰皿の構図が、父親からの視点だということだ。父親が最後に自分の好きなバルコニーから空を見上げるという意図があるのだろうが、観客は、海側から父親の倒れる映像を見ているので、一瞬違和を感じるのだ。フランス映画はこのように少々「おやっ」と感じる視点や編集の妙がある点がとっつきにくいといわれる所以なのだろう。
コメントする