劇場公開日 2021年5月14日

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「明日への活力」海辺の家族たち はなもさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0明日への活力

2021年6月11日
iPhoneアプリから投稿

 マルセイユと、聞くと、長友、フランス国歌、セザンヌしか思い浮かばないが、地中海気候のためか、画面も人々もカラッとしている感じが、伝わって来た。が、かつての避暑地も人口減のせいか、過疎化で、難民がたどり着いてくる様だ。

 映画は、とても自然で分かりやすく さりげなく三人の兄妹のそれぞれの現状、過去の映像を交えて進む。作り方が上手いなぁと思った。

 アンジェルを崇めるバンジャン、拒絶されても妙な笑みを浮かべて、なんだかキモいけれども、お互いの幼い頃を知る知人として見た。
 バンジャンは、マルセイユの地が好きで、その地で日々を慎ましく生きている人物。で、見知ったアンジェルが舞台で光り輝いているのを見てミューズとし、その舞台台詞を暗誦、誦じてアンジェルと共有する。

 ヨーロッパ映画を見ているとよく、お互いが聖書や詩、文学の一編を言い合ったりしている。普通の事なのだか、その豊かな文化にちょっと畏敬の念を抱く。
 フランス映画よろしくと言うか、肉食文化なのか、二人はめでたくくっつく。うーむ、アンジェルのアバンチュールはすごい。

 五年前に撮られた映画だが、介護、過疎化、難民問題、人生の終い方、初老の人達のこれからの生き方を描いている。そして、さりげなく、地球温暖化も描いていた。それは、山火事になると消火活動に入れないと、アンマンは一人山道を整備し、枯れ枝等を取り除く作業もしていた。マルセイユの山火事は過去何回か起こっている。

 始め、三兄妹は、何故父親役と見分けがないくらいの初老の役者たちなのか?と思ったが、初老ならではの、これからの自身達の在り方を示す為のものだったと思った。

 三兄妹は、子供時代に戻ってお互いの名前を鉄橋の下でこだまさせる。それは、父親の気力さえも、呼び戻す、この最後は、とてもいいシーンだった。

楽しい過去を共有した事のある人たちの明日への活力を現しているのだと思った。

はなも
きりんさんのコメント
2021年8月10日

はなもさん
こんにちは、コメントありがとうございました♪
僕は5人兄弟で、それぞれ仲良しもいれば没交渉派もいて、この映画と同じで悲喜こもごもですよ(笑)
離れて暮らす両親にも会いたいのですが、悩んでいます。
⇒先日ラジオでズバリ「コロナで会えなくなったけど」という歌(岡林信康)を聴きました。

「パリの調香師」もいい作品でしたね。自由に旅がしたいですねー

きりん