ストレイ・ドッグのレビュー・感想・評価
全56件中、1~20件目を表示
ずっとこんなキッドマンが見てみたかった
照りつける陽光、ザラついた手触り、汗とアルコールの匂い。その全てが混ざり合った臨場感にむせ返りそうになる中で、時を追うごとに高まっていくものがあった。それは「こんなニコール・キッドマンが見たかった!」という強い思いだ。特殊メイクでシワやシミや肌のたるみを加え、ぶっきらぼうな仕草や度胸の据わった眼光を放つ彼女は、なりふり構わず突き進む装甲車のよう。とは言いつつ、決してこれ見よがしな変貌ぶりではなく、抑制が効いている。このあたりのさじ加減が絶妙なのも、彼女とカリン・クサマ監督との相性の良さゆえか。一方、ストーリーはなかなか手の内を見せず、語り口も油断ならない。交錯する過去と現在。因縁の強盗事件。打ち明けられることのなかった事の真相。謎が持続する中で、中盤ごろ投下される白昼の銃撃戦もドライで胸にガツンと響く。それほど大きな物語ではないが、手狭な世界観の中で極めて鮮烈に火花を散らせた秀作と感じた。
ラストに驚愕。かなり面白い。
ノワール感漂う雰囲気と迫力のあるニコール・キッドマンの演技。過去を回想する形で徐々に明らかになるストーリーテリングだけで充分すぎるほど面白かったのに、ラストの衝撃でぶっ飛ぶほど面白くなったのには驚いた。
見えているストーリー展開はこうだ。
まず他殺体が発見される。改造銃で射殺されたようだ。主人公が過去に因縁のある相手が再び動き出したらしいことが分かる。
改造銃を扱う男のところへ行き銃を押収。この段階では凶器の出処を押さえたように見えるのがうまい。
時を同じくしてインクの付いた1ドル紙幣が主人公の元に送られてくる。その紙幣を調べてもらい主人公が追う男の仲間の居場所を聞き出す。
こうして順番に潜入捜査中の仲間の元を訪ねて行き目的の男までたどり着くサスペンス。
サイラスはなぜ1ドル紙幣を主人公に送ってきたのか。潜入捜査中に何があったのか。娘の父親は?と、多くの謎があり面白い。
中でも送られてきた1ドル紙幣が興味を引く。送り主がサイラスだとするならばサイラスもエリンをおびき寄せようとしているように思えるからだ。
サイラスがエリンと会いたい理由はなんだ?というのが最大の焦点になる。娘の父親がサイラスなのかもしれないという考えが頭をよぎる。
しかし本当のストーリー展開はこうだ。時間軸がいじられていて見えている順番と実際の順番が違う。
まず娘に恋人ができる。娘を町の外に越させるため過去の強盗時に手に入れた紙幣を使おうと決心する。しかし紙幣には追跡用のインクが付着していて使えなかった。その中から使えそうな金を娘の恋人に渡し別れされる。
この頃、改造銃を無理矢理押収する。後のサイラス殺害に使うつもりで手に入れたのだ。
今までサイラスについての手がかりを持っていなかったエリンは手元のインク付きの紙幣を足がかりにサイラスを探し始める。自分の紙幣を自分宛てに送りサイラスが再び動き出したように見せかけたエリンはFBIの知り合いに情で訴え昔の仲間の居場所を聞き出す。
こうして順番に仲間を辿ってサイラスまで行き着くのだ。
エリンはサイラスに復讐を果たし紙幣をばら撒く。この瞬間に、冒頭の他殺体がサイラスであったことが分かり、見ていたストーリー展開と本当のストーリー展開が違ったことを知る。
なんてことだ。上に書いた謎なんてものは最初から存在すらしていなかったのだ。時間軸をいじることでありもしない謎を創出したわけだ。
エリンは娘の父親であるクリスが殺されてしまったことで荒れに荒れていた。娘の成長と、手を付けていなかった手元の紙幣をきっかけに過去の精算に動き出す。
復讐以外にやり直せる方法を見出せなかったのは悲しいことだが、かつての潜入先での仲間は誰もあのときに囚われたままだったのかもしれない。
【”犯人を知っている、と呟き女刑事は射殺された男が横たわる現場を去った。”過去の潜入捜査の過ちにより、愛する男を失った復讐鬼になった哀しき女刑事を描いた作品。】
■LA市警の刑事・エリン(ニコール・キッドマン)。
若き日の美貌は衰え、今は過去に失敗した捜査の罪悪感を引きずりながら家族からも見放された孤独な人生を送っていた。
ある日、彼女に差出人不明の封筒が届く。
中身は紫色に染まった1ドル札。
それは17年前に行方をくらませた事件の主犯からの挑戦状だった。
◆感想
・ストーリーは、現在と17年前の過去を行き来しつつ描かれる。
・エリンの脳裏には17年前FBI捜査官だった同僚のエリン(セバスチャン・スタン)との捜査の過程が沁みついている。そして、その際のミスにより、心を寄せていたエリンの死にも・・。
<今作は、サスペンス映画としては一定水準ギリギリである。
だが、私は美貌を特殊メイクで変貌させ、復讐鬼になったニコール・キッドマンの気概を感じた作品である。>
全然共感できない
わざとそうしてるのかと思うくらい誰にも共感できない映画。恋人を殺されて失意のどん底にいる主役のニコール・キッドマンに肩入れすべきなんだけど、潜入捜査中から投げやりな警察裏切るような言動の根拠が分からなかったし、娘の彼氏確かに真っ当な人ではなさそうだけどそこまで頭ごなしに反対する根拠も見当たらなくて、愛する恋人が殺されて頭おかしくなったってことなのかしら?娘と一緒に暮らしてる男性の素性がさっぱり分からなくてニコール・キッドマンの兄弟かなんかなのかなと思ってたけどネタバレサイトで離婚した元夫って書いてあって人物像の描き方のヘタさにがく然としました。私がシーン見落とした?でもいろんな項目がフワフワしたまま映画が進行してたからきっとただただ下手な映画なんだろうな。
悲しい《落とし前》
2018年(アメリカ)カリン・クサマ監督。
エリン・ベル刑事(ニコール・キッドマン)の生きてきた17年間。
その生き様が過酷でリアルでした。
17年前、FBI捜査官のクリスとともに犯罪組織に潜入捜査をしていたエリンは、
銀行強盗の片棒を担ぐことになる。
そして潜入捜査に失敗して、犠牲者を出し、愛する人も失ったエリン。
外見も過去の美しさを失い、砂漠のように肌がカサカサにひび割れて見る影もない。
ニコール・キッドマンの変貌に驚いた(特殊メイクと聞いてもそれでも・・・)
まったくの別人。美人女優の面影は全くない。
ハードな役でした。
アクション・・・機関銃の連射も、殴り合いも、仕返しも容赦なかった。
暴力には倍返しの暴力で返すエリン。
傷に塩をなすり付ける毎日だ。
犯罪映画の刑事ものとして、辛口で鮮烈でした。
娯楽性は少ないけれど、主人公の刑事・エリンの人生が見事に描かれている。
潜入捜査の危うさ・・・後の生活を破綻させるほど、引きずって行くエリンが
不憫でした。
そして17年、刑事を辞めず罪と向き合い遂に《落とし前》を付ける。
責任の取り方として正しいと思うし、
この結末でいいのだと思う。
美しさ封印のニコール・キッドマンの素晴らしい演技
罪と贖罪
自分の罪に対する贖罪の映画でおじゃるよね。
子供を背負う姿は十字架を背負った殉教者そのものに映るでおじゃる。
ラストの鳥は天使であり、罪に対し赦されるというキリスト教的宗教映画だと
感じたでおじゃるよ〜
そう考えると、サイラスはただの悪役ではなくあの方のメタファーに感じてくるから
不思議でおじゃるね。
彼女の演技
むらさき
サスペンスより親子関係
過去の潜入捜査でトラウマを負った女性刑事が、その時の犯人を追うストーリー。
二コール・キッドマンがくたびれた中年女性刑事をしっかりと演じた作品。他の方のレビューを観ると賛否が分かれているようですが、個人的には高評価です。
親子関係の描き方が秀逸ですね。娘が悪い道に堕ちて欲しくない気持ち、でも自らの姿に説得力がないことも自覚していて・・・上手く説得できないその苛立ちをキッドマンが良く表現出来ているように思います。
サスペンスとしては、少々分かり難い。ラストを観て、改めて最初からみれば分かるところもあるのでしょうが、映画としては少しやり過ぎのようにも感じます。
私的評価は、やや低めの標準です。
これ、ニコール・キッドマン!?
というくらい、シミやシワの特殊メイク。物凄い辛い過去を背負って生きてるのだろうなというのが革ジャンから伝わってくるほど、くたびれてるニコールの演技。しかし、眼光は鋭く、夫を殺した犯人を追う執念、また、娘につく悪い虫への敵意は凄味があった。徐々に彼女の過去、過ちが明らかになり、本当のことを娘に言えなかったこともわかる。しかし、ラストの時間軸の逆転には驚いた。彼女はこのまま死んでしまったのだろうか。一時でも悪に手を染めてしまったことから、幸せになれなかった。ニコール迫真の演技だった。
「成功に必要なものを知っているか?」「再起する力だ・・」
映画「ストレイ・ドッグ」(カリン・クサマ監督)から。
FBIが絡んだ話なのに、いまいち地味な展開で、
インパクトのあるセリフも少なかった気がする。
そんな中で、気に入ったシーンを2つ。
警察官の相棒になる相手と、こんな会話をする。
「キスしよう」「なぜ?」
「慣れたい、人前で動揺しないようにさ、本気だ」
「わかった、キスを楽しむふりは?」「たぶんできる」
周りの目をが気になり、思った行動ができなくなるのを防ぐため、
人前でキスをする・・なるほど一理ある。
その心の動揺こそ、企みを失敗させる要因だと理解した。
一番、気に入ったのは、
「成功に必要なものを知っているか?」と問いかけて、
「再起する力だ。失敗にくじけず、人生を築き・・」と続けたセリフ。
ありふれた会話だけど、このフレーズがなぜか輝いていた。
たぶん、東京2020オリンピックで、多くの方に期待されながら、
メダルを逃した選手が、申し訳ない・・大粒の涙を流すシーンを、
観続けたからかもしれない。
アスリートだけでなく、普通の生活をしている私たちでさえ、
いろいろことに失敗し、立ち上がれなくなることもある。
しかし、その後に大切なのは「もう一度・・」と強い気持ちで、
自分と向き合い、立ち上がってくることだ、と諭された気がする。
漫画「あしたのジョー」の丹下段平の決め台詞。
「立て、立つんだジョー」がふと浮かんでしまった。(汗)
毎回、思い通りにいくなんてありえない。
「成功したかったら、成功するまで何度も立ち上がること」
結局は、これに尽きるのかなぁ。
中途半端が大嫌いだ‼️❓
そういう流れなの。
時系列フェイクですやん、これw
銀行強盗潜入刑事ものに外れ無し
全56件中、1~20件目を表示