「【”凡庸に屈するな! 迎合するな!” 余命宣告を受けた大学教授の、新たな生き方をコミカル要素を絡めて描く。“素顔”のジョニー・デップは苦み走った格好良い男である事を再認識した作品。】」グッバイ、リチャード! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”凡庸に屈するな! 迎合するな!” 余命宣告を受けた大学教授の、新たな生き方をコミカル要素を絡めて描く。“素顔”のジョニー・デップは苦み走った格好良い男である事を再認識した作品。】
■印象的なシーン
1.肺癌ステージ4の診断により、余命半年を言い渡された大学文学部教授リチャード(ジョニー・デップ)が妻と娘に夕食時告白しようとする場面。
まさかの妻ヴェロニカからの不倫宣言、しかもお相手は”タマが3つの”下衆な学長・・。
さらに、まさかの愛娘オリヴィアからのレズビアンカミングアウト・・。
-それは、生き方変わるよなあ・・リチャード。きっとまじめに働いてきたから教授にまでなっただろうに・・。可笑しいのだが、かなり同情する。-
2.リチャードの講義が大激変する様
自分の講義を受ける学生を選別するシーン。彼なりの線引きが面白い・・。”公務員何かを目指している奴は・・”
そして、生徒から調達したマリファナを燻らせながら、バーで講義。
気に入ったウェイトレスは”光の速さ”で落とし、トイレで情交・・。
で、学生たちに”帰るぞ!”
-うーむ、イロイロ問題はあるが、ジョニー・デップだから良し!-
更には、妻ヴェロニカが浮気しているアパートにより、フロントガラスに”機能した”と書いた紙を挟んで立ち去る。ークスリと笑える。ー
(夫婦喧嘩の際に、妻から”貴方のは機能するの!”と言われていたのだ・・)
生徒たちとは、学園内の芝生で自由にテーマを与えてマリファナを吸いながら、講義。
―何だか、楽しそうである・・。リチャードも憂いを浮かべながらも、破天荒で自由な振る舞いで生活を送る。親友から心配されても・・。-
3.親友のパーティで少し羽目を外し、妻を寝取られた学長にはドスの効いた声で、
”大学の予算が限られている中、ペニスのような醜悪なオブジェを次々に建てているな・・。その芸術家の夫はこの大学で働いている・・”と脅したり・・(そりゃ、そうだ)
で、学長に”強制的に”招かれたパーティでは、末席に案内されるが、ナミナミと給仕に注がせた赤ワインを片手に、妻、親友に礼を述べた後、滔々と自分の現在の状況を喋る。
ー このシーンが、何だか良かったのである、私には。
”もう、俺には怖いもんはないぜ!残りの人生、自由に生きさせてもらうからな!”
という、リチャードの皆への決別宣言に聞こえたのだ。-
■そして、満天の星空の下、T字路で一度車を止め、不敵な笑いを浮かべながら、”真っすぐに”道なき道”を突き進んでいくラストは、実に印象的であった。
余命宣告を受けた男の生き様としては、私は”是”だと思ったシーンである。
<ジョニー・デップって、矢張り良い役者だなあ・・、と思った作品。
メイクを施しての大作も良いのだが、あの役者として脂の乗った姿、色気ある渋過ぎる表情を大スクリーンで観るとなあ・・。佇まい、低い声のトーンに引き込まれるよ・・。
大作でガッポリ稼いで、今作のような作品で”素の姿”で演じる映画をもっと沢山見せて欲しいです。>