ディエゴ・マラドーナ 二つの顔のレビュー・感想・評価
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愛され、憎まれ、消費された天才
マラドーナがナポリでどれだけ熱狂的に愛されたか見たかったのでドンピシャリの映画だった。マラドーナに狂喜する暴走族状態の車とバイク、家々の窓から顔出し叫びサインを求める人々、すごかった。
その頃、ナポリで生まれた男の赤ちゃんはみんなディエゴと名付けられたとか(ディエゴの子どもじゃないが崇められたスーパースターの名前にちなんで)、ピザ屋に行ったらお勧めは「ピッツァ・マラドーナ」(実際はマルゲリータと変わらないようだったが)と言われたという私の友だちの話は本当だ!と思った。
その後、カモッラとの関わりで結果的に憎まれ断罪されたのは悲しくてかわいそうだった。イタリア北部に馬鹿にされてたナポリを優勝に導いたのに。アルゼンチンの人間としてワールドカップに出場し対イタリア戦の会場がナポリだっただけなのに。そこでゴールを決めただけなのに。コカインだってみんな以前から見て見ぬ振りだったのに。ナポリ人、イタリア人、極端!激し過ぎ!
サッカーのことは何も知らないけれど面白かった。そもそものきっかけは映画で、ソレンティーノ監督の「グランドフィナーレ」。その映画の中、セレブが集うスイスの保養地にすっごく太った「マラドーナ」が居る。同じくその保養地に滞在している登場人物の一人が彼に言う「あなたのことは世界中の人が知っていますよ」
私は知らない!私は「世界中の人」に入ってない!とちょっとショックだったので、ディエゴ・マラドーナについて知りたかった。60歳で亡くなるなんて早過ぎる。
ドキュメンタリーの題材として最適すぎる人物
エミール・クストリッツァが溢れるマラドーナ愛を全面に押し出して撮った『マラドーナ』とは異なり、こちらはイタリアのナポリチームに移籍した84年から91年までの記録に密着。
残されたフィルムに刻まれた栄光と挫折、天国と地獄の紆余曲折は正にドラマチック。「サッカーは騙しのスポーツ」と自身が語るように、あの“神の手”も故意だったことをあっさりと認め、黒い交際も女性問題もなんのその。
こんなにも嫌われる要素を持ちながら、“マラドーナ教”なる教祖として崇めたてられる悪童。そりゃドキュメンタリーの被写体として追っかけるには面白すぎる。
ただ、ナポリ時代の7年間に特化しすぎて、彼の“今”にほとんど触れられていない構成は、やはり物足りなさを感じる。
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