「多少気になる点はあるが、今週の中では比較的(サッカーに興味がない方でも)お勧め。」ディエゴ・マラドーナ 二つの顔 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
多少気になる点はあるが、今週の中では比較的(サッカーに興味がない方でも)お勧め。
今年23本目(合計90本目)。
映画というよりドキュメンタリー映画というものに近いでしょうか。また、マラドーナ氏を語るにあたっては色々な切り口が考えられるのですが、本映画は他の方も書かれていた通り、イタリアでの活躍と代表(アルゼンチン代表)としての葛藤を描いたものです(内容は史実通りで、W杯でイタリアvsアルゼンチンというカードになったため、国中で意見が対立した。この点は後述)。
なお、私自体は日本のJリーグの1チームのサポーターくらいです(そのくらいの知識量)。
内容として上記のような事情もあり、淡々と当時の画像が挟み込まれたり、関係者の証言なども入っています。そのため、本当に純粋なドキュメンタリー映画としてみたほうが良く(「スタンドウーマン」に類似する)、「超久しぶりのサッカー映画だ」と思って見に行くと肩透かしを食らいます。それこそサッカーに興味がない方でもお名前くらいは知っている方かと思いますが、知られざるところも結構あり、サッカー好きでも嫌いでも良い映画かな、と思います。
※ もっとも、今週に限っていうと、先週に先行公開されたとあるホラー映画(日本モノ)があまりに支離滅裂なので(ここでも評価が無茶苦茶低い…)、大して難がある映画でもない以上、相対的に評価は高くならざるを得ないでしょうね。
内容としては史実を描く以上に「映画というよりドキュメンタリー映画」なのでストーリーというストーリーが存在せず、「描き方の好きこのみ」という論点くらいしかないかと思います。もっとも、だれしも知っている有名選手ですが、どのような人生を歩まれたか(ご存じの通り、最近亡くなられています(2020/11/25)が、元の映画がどうもそれより前に公開されたものです(PROの方も書かれている通り。「この映画を亡くなられたマラドーナ氏に捧げます」みたいな内容は一切出てこない)は、最低限何かの情報源(有名な選手なので、サッカー雑誌でも何でも本でも色々出ています)見たほうが良いかな、と思います。
評価は下記を考慮して4.5としました(4.6を七社八入で4.5まで切り捨てています)。
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(減点0.2) 今ではあまり表立ちませんが、マラドーナ氏が活躍していたころのイタリアでは、また北イタリアと南イタリア(日本のように縦長な国です)の対立がかなり大きいです。これは結局、イタリアの成立史(イタリアが国として成立したのは、19世紀にさかのぼるほど新しい)を把握している必要があり(国として統一はされたが、そのあとも北イタリア(地域)と南イタリア(地域)とでは別の国か?というほどバラバラだった)、そこは説明があってよかったのでは?と思います。そして、それこそが上述した、W杯のイタリアvsアルゼンチンで国内での対立を招いたものであり(当時、ナポリは低くみられていた(それでも、当時でも人口70万ほど))、この点の説明がないと、「せいぜい、どっちを応援しようかな」程度で、モノの投げ合いになったりブーイングになったりというのは理解しづらく、説明がいるかな…とは思います。
(減点0.2) 途中で「この試合に勝利するとナポリの優勝が確定する」といった説明がでますが、今の一般的なサッカーリーグの理解なら勝ち点の考え方があるので、「勝利ならもちろん、引き分けなら他チームの結果次第」ということになるはずです。
どうもこの点、当時(マラドーナ氏が活躍していた時代)、セリエAで勝ち点の概念は今とは違ったようです。
(参考) 2回目のナポリの優勝(勝ち21、引き分け9、負け4)で勝ち点51? →おそらく、「勝ちの勝ち点2」「引き分け1」「負け0」。前後でもこの計算だとつじつまがあう
(参考) 2019年のデータ(勝ち18、引き分け8、負け12)で勝ち点62 →計算通り(現行のルールの通り)
この部分はさすがに説明がいるのでは…と思いました(さもないと、単純な勝ち数「だけ」で決まる、というようにしか考えられなくなる。実はおそらく上記のような計算方式で、だからこそ「他チームの結果次第で」ということが勝ち点2と3の違いでは単純に言えなくなる。いわゆる直接対決は勝ち点6の価値があるといわれるが、このルールでは勝ち点差4の価値にしかならない、「他チームの結果次第」という等、大きく解釈が変わってしまう)。
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